あなたは、誰かに頼みごとをする時、
どんな言い方をすることが多いでしょうか?
1.指示命令型
例:「これ、やってくれる?」
2.信頼型
例:「あなたにしか頼めない/あなただったらできる」
3.お伺い型
例:「~をしてくれたら助かるけど、できそう?」
4.懇願型:
例:「困ってて…お願い!/なんか体調悪くて…お願いできる?」

頼みごとが上手な人は、
患者さんにも仕事の仲間にも信頼され、
好かれます。

なぜなら、
相手に負担の少ない頼み方ができるからです。
逆に下手だと、相手をイラつかせるだけでなく、
自分の評価を下げてしまうかもしれません。

そこで今回は、
頼み方の種類とその使い分けについて
考えてみます。

種類別の特徴

1.指示命令型 例:「これ、やってくれる?」

強制的な雰囲気を醸し出す頼み方です。

行動を直接指示する言い方であるため、
上下関係がある相手には使わない方が
無難です。

しかし、
「これをそこに置いておいてくれますか?」
などの相手に負荷を掛けなさそうな
頼み事には最適です。

2.信頼型 例:「あなたにしか頼めない/あなただったらできる」

信頼と期待を寄せ相手をいい気分に
させるとともに、必然性を強調することで、
断りづらくする頼み方です。

心理学的に言うと
「返報性の法則」を利用しています。

「信頼してもらったんだから、
何かお返しをしないと。」
このお返しが、
頼みごとを聞き入れるということです。

3.お伺い型 例:「~してくれたら助かるけど、できそう?」

上下関係または利害関係がある、
心理的な距離がそこまで近くはない、
そのような相手に頼みごとをする時には、
無意識にこの頼み方を選んでいるものです。

自分の都合を伝え、
相手の意向を聞く余裕を見せることによって、
「断る」という選択肢を相手に与えることが
できるという丁寧な頼み方です。

バリエーションとして、
「~してくれたら助かる」の
「助かる」を「報酬」に変え、
交換条件を提示するパターンもあり、
ビジネスシーンでは最も使用頻度の高い型
だと言えます。

4.懇願型 例:「困ってて…お願い!/なんか体調悪くて…お願いできる?」

相手の良心に訴えかける頼み方で、
心優しい人には効果てきめんです。

しかし意外と強制力が高く、
相手には負荷がかかりがちです。

4種類の頼み方 その使い分け

使い分けのポイントは、
相手への影響とその後の関係の変化を予想することです。

具体的に見ていきます。

1.指示命令型

頼みごとを断ることで、
相手が危害や不利益をこうむる可能性が高い時は、
この型を使うといいでしょう。

【例文】
・うがいをして下さい
・動かないで下さい

2.信頼型

相手の能力や人間性に頼りたい時は、
この型を使うといいでしょう。

逆に、
人脈や財力を密かにあてにしている時に使うと、
自分の品格を損ねますので注意が必要です。

【OK例文】
・急患が来られて…順番を変わっていただきたいのですが。
○○さんにしか頼めないんです。
・(スタッフに)明日のAさんのカウンセリング、
頼めないかな?○○さんならできると思うんだけど…

【NG例文】
・どなたかご紹介くださいませんか?
○○さんならご存知かと思いまして…

3.お伺い型

業者・同僚・患者さんなど、
相手と一定の距離間を保ちたい時や
対等な関係を維持したい時は、
この型を使うとスムーズにお願いが通ります。

【例文】
・○○なのでいつもより10分だけ早く
おいでいただけると助かるのですが、
いかがでしょうか?

4.懇願型

募金やボランティアへの協力をお願いする時には
功を奏しますが、使用する人を選びます。

自分の都合で使う場合は俗に言う
「一生のお願い」になりますから、
使用頻度も課題です。

使用頻度が高いと
相手の都合を考えないワガママな人と
判断されることがあります。

【例文】
・恵まれない子ども達の為に、
募金をお願いします!

頼み方は、自分が相手をどう思っているかを表す

仕事を日々こなす中で、
患者さんや同僚・スタッフへの頼みごとは
避けては通れません。

変に下手に出てしまったり、
逆に高圧的になってしまったりすることで、
自分への信頼の度合いが変わってきます。

本来は、患者さんと医療機関のスタッフは、
立場の違いこそあれ対等なはずです。

自分より下だ、と思う人を、
あなたは信頼するでしょうか?

あるいは、自分を見下している人に対し、
信頼を抱くでしょうか?

「こう頼んだら、
患者さんはどう思われていると思うだろうか」

この想像力で、
患者さんからの信頼を得ることが、
結果として定期メンテナンスに通う患者を
増やすことになるでしょう。

治療中断やキャンセル率が気になるなら
意識してみるのもいいですね。