どんなに患者さんから腕の良い歯医者さんと
慕われていても、スタッフもみな同じ思いとは
限りません。

結婚や親の介護などの理由はともかく、
入ったばかりのスタッフが長続きせず、
すぐに辞めてしまうことはありませんか?

良い職場の特徴のひとつは、
「スタッフが長続きすること」です。

しかし、入ったばかりの新人スタッフが
長続きしないため、常に求人を出さなければ
いけないのはどこに問題があるのでしょうか?

新人を育てたい?それとも辞めさせたい??

新人スタッフは、
まずその職場環境に慣れることが最初の仕事です。

未経験はもちろん、
経験のあるスタッフでも、
まずその医院のやり方に慣れなければいけません。

一般歯科の治療の場合、
手順はほぼ同じで使う薬剤が少し異なるといった具合ですが、
それだけではなく、院長のクセや好みなども当然あります。

そこに慣れるには少しばかり時間が必要です。

特に全く未経験で歯科助手や受付の仕事を
することになった場合、
まず何から覚えていいかもわかりません。

歯科医療で使う器具や薬剤、処置など
わからなくて当たり前です。

歯科衛生士ならともかく、
全く未経験から始める助手は
「歯医者さん=虫歯、歯周病、銀歯」くらいの
認識しかないでしょう。

このゼロの状態から知識と経験を得て一人前に
なるためにはまず、スタッフが一丸となって
サポートしながら教育していくことから始まります。

ここでまずポイントとなることが、指導係の器量です。

入ったばかりの新人に、
バキュームの使い方からライトの当て方など、
歯科治療における基礎を覚えてもらう必要があります。

 

ここで以前、私が勤めていた歯科医院でのお話になりますが、
こういった指導光景を目にしました。

まだまだ慣れない1週間目でスケーリングの
アシスタントについた新人スタッフに対し、
ライトの当て方が気に入らなかったのか、
ベテラン歯科衛生士の「ちゃんとライト当ててよ」という言葉。

このひと言で、既にこの医院のカラーが表れています。

スケーリング中のためマスクをしていますが、
目が既に怒っているのです。

新人は「ハイ、すみません」と一生懸命ライトを
当てようとするのですが、
コツが掴めないせいか、
なかなか思うようにライトが当たりません。

すると歯科衛生士の耳を疑うような独り言が。
「ちゃんと当てろ、下手クソが」。
目の前にはスケーリング中の患者さんがいらっしゃいます。

マスク内で放たれた独り言とは言え、
患者さんの前での暴言に私は唖然とし、
新人スタッフはますます萎縮していました。

ここからは茨の道の始まりですね。

どこの職場もありますが、
少しミスがあると新人はいびられやすい。

そしてこのベテラン衛生士は仕事ができるため、
院長のお気に入りです。

お気に入りベテランスタッフから嫌われる=院長から嫌われる
という構図が見事に出来上がっています。

こうなると、新人のヤル気モチベーションが
どうなるかなど考えるまでもありませんね。

厳しい指導はもちろん必要ですが、
新人を伸ばす教育どころか排除するような指導の
必要性などどこにもないはずです。

院長カラーが、スタッフに表れ出る

昔の歯医者は「怖い」というイメージが浮かびます。

「なんでもっと早く来なかったの!」と
叱られながら悪い歯を削られ、あるいは抜歯されていました。

今の高齢者が3~40代の頃は、そのような治療が主でした。

時代が変わり、歯科医も世代交代が行われると同時に、
治療スタンスも予防中心へと変わってきています。

それに伴い、歯科医院の雰囲気も随分変わりました。

気難しい昔のイメージはどこへやら、
お洒落な外観、おもてなしのようなサービスから始まり、
歯科医もにこやかに患者を迎え、昔のイメージを持つ
患者さんは驚かれます。

スタッフも明るくテキパキと応対し、
笑顔を欠かしません。

新人も、希望と熱意を持って一人前に成長するでしょう。

 

ここで冒頭の歯科医院に話を戻しますが、
暴言とも言える独り言を呟いたベテラン歯科衛生士は、
院長そのものの姿を映し出しています。

なぜなら、
院長自体が患者の目の前でスタッフに暴言を吐くからです。

注意喚起とかではなく、
「なにやってる、このボケが!!」と助手を激しく罵り、
患者さんがびっくりして
「僕のせいかな?嫌な思いさせてごめんね」と
助手に何度も謝っているのです。

この「俺様カラー」の院長の姿勢が、勘違いベテラン衛生士を
作り上げた典型的なタイプと言って良いでしょう。

院内には優しさや活気がなく、患者への配慮のないスタイルであると
歯科医院から患者離れが起き始めます。

当然スタッフも辞め、
残っているのは古くからのスタッフのみ。

新しいスタッフを募集するにも続きません。

結婚や妊娠で離職するスタッフもおり、
復職を打診するも「あの職場へはちょっと戻りたくない」
という思いが強く、適当に都合をつけた答えを返し、
復職しません。

この歯科医院の復職率はほぼゼロに近いと言っていいでしょう。

このような「俺様」スタイルが根付いた医院は
慢性人手不足症候群であり、これまでずっと働いてきた
スタッフにも少なからず思うことがあるようです。

このままでは既存のスタッフすら去っていく
危険性があることを、院長はわかっているでしょうか。

院長、スタッフを大事にしていますか??

良い職場、働きやすい職場とは、
スタッフが長く働くことができること、
結婚や出産などでいちど職場を離れても、
再び戻ってきたいと思えるような職場です。

特に個人経営である歯科医院は少人数体制ゆえ、
どこも人手不足の状態です。

入職した新人スタッフがずっと働ける環境とは、
院長のスタッフに対する姿勢からまず始まります。

歯科医1人勝ちの時代は過ぎ、
今や生き残りをかける歯科業界。

院長の腕だけでは良い歯科医院は成り立ちません。

スタッフは、患者のためはもちろんですが、
まず「院長のために」働くのです。

スタッフを大事にする院長は、
スタッフが院長のために頑張って働こうと考え、
それが患者応対や接遇に全て繋がります。

「給料さえ出しておけばよい」という考えでは、
スタッフも患者も去っていきます。
前出の俺様院長のように。

良いクリニックを目指すなら、俺様を捨てることです

今や歯科医院は飽和状態です。

良い評判が世間に浸透するのには
時間がかかりますが、
悪評はあっという間に広がります。

受付の応対が悪い、スタッフが無愛想など・・・。

口コミは何より怖いですよ。

それは院長、あなたの姿がそっくり反映されているのです。
院長はクリニックのトップであり経営者です。
俺様ではスタッフはついてきません。
スタッフによりクリニックは支えられているのですから。

 

歯科TC Aより