あなたの歯科医院の患者さんは、
きちんと定期検診に通っていますか?

きちんとメンテナンスに通う患者と、
理由をつけて全く通わない患者さんの二極
だと思います。

リコールの案内が届くと
すぐに予約の連絡をする患者さんは
定期検診の大切さと予防に対する意識を
きちんと持っていると言えます。

しかし、そうでない患者さんに対して
メンテナンスの大切さと予防歯科の意味を
理解してもらうためには
どうすればよいのでしょうか。

きちんと歯磨きしているから大丈夫!?

患者さんにとって「予防歯科」とは
どのように認識されているのでしょうか。

「自宅での歯磨きをこれまで以上に
頑張って行う=虫歯や歯周病の予防」と
思われているのではないでしょうか?

確かに自宅でのセルフケアは
健康な歯にとって必要不可欠です。

歯磨きがきちんと行えていなかったことは
虫歯や歯周病を招く基本的な要因であり、
治療を終えた患者さんに
「これまで以上に歯磨きを頑張ろう」という意識が
芽生えることはとても良いことです。

しかし、患者さんは予防歯科の本来の意味
そしてメンテナンスの重要性を
理解しているでしょうか?

もう二度と虫歯や歯周病にならないために
きちんと歯磨きすることは
決して間違いではありませんが、
歯を守るために本当に大切なことは、
ここがスタートであることを
まず理解してもらうことから
始めなければいけません。

定期検診の案内をどのように行うか

ひととおりの治療を終えた患者に
「次回は定期検診でお越しください」と伝えて、
数か月後にリコールの案内を
届けたにもかかわらず、その後音沙汰なし、
という患者さんは決して珍しくはありません。

本当に忙しくて時間がないかもしれないし、
ただ単に面倒くさいと
思っているだけかもしれません。

しかし、患者が定期検診に来ない理由は
患者さんだけにあるのでしょうか?

あなたの医院の、定期検診の案内文には
なにを書かれていますか?

ほとんどの場合、
そろそろ検診の時期が来ましたので
ご連絡をお待ちしております、
のような文面ではないかと思います。

もちろん意識の高い患者さんや古くからの患者さんは
このような文面を見て
「ああ、検診の時期だな。予約しないと」と考え、
きちんと定期検診の予約を取ります。

しかし、調子が悪い時だけ来る患者さんや
初診からの患者さんには、
なぜ定期検診が大切なのか、
きちんと受けなければならないのかを
理解してもらうような案内を行わなければ
来院の動機づけになりません。

また案内ハガキだけでなく、
口頭でメンテナンスの必要性と重要性を
伝えることも重要です。

特に、担当医から直接に説明する、
カウンセリングの時間を設け、
歯科衛生士やTCなどスタッフがお話をするなど、
治療した歯と今ある歯を大切に残すために
必要な処置であることを、目からだけでなく
耳からもインプットすることが大切です。

患者に予防歯科とは何かを植え付けるような案内を

では、患者さんに予防歯科とはどういうことか?
定期検診の来院を促すようにするためには
どのようにアプローチすれば効果的なのか?
を考えましょう。

① 歯科医師による口頭説明

 

まず口頭による意識付けは、
治療終了前に歯科医師から直接話すことです。

補綴物セットなら印象採得のとき、
CR充填は即日終了が多いため、
治療前に説明するとよいでしょう。

患者さんは、歯科医師の言葉は「絶対」と捉えます。

レントゲンやモニター、資料などを使って
定期検診を受けた場合と受けない場合の
残存歯率や予防の内容とその定義など、
ポイントを踏まえて患者さんに説明することで、
患者さんの中に危機意識が芽生えるのでは
ないでしょうか?

歯科衛生士やTCが直接説明する場合は、
事前にカウンセリングの時間を
取るとよいでしょう。

歯科医師に比べ、歯科衛生士やTCになると
若干インパクトは弱くなるかもしれません。

特に中高年層の男性患者さんは、
歯科医師以外の話はあまり真剣に聞こうとしない
傾向があります。

治療前に10分程度のカウンセリングの時間を設け、
定期検診と予防について説明し、かつ治療後に
歯科医師から「先ほどスタッフが説明しましたが~」と
ひと言伝えると、より効果が期待できます。

なお言い方は「ソフトな脅し」程度でいいでしょうが、
言うことを聞かなさそうな患者さんには、
少々怖い表現を入れて説明するくらいが
いいかもしれません。

② リコール案内ハガキ

 

これはどこの歯科医院も行っていると思います。
最初に述べたように、ただ時期が来たという
案内だけでなく、定期検診を受けることで
どのようなメリットがあるのかを
箇条書きにしたものを定期検診の内容に
盛り込むとよいでしょう。

例えば、
「着いてしまった歯石は歯科医院でしか取れない」
「バイオフィルム(プラーク)はどうしてもついてしまう、これが将来歯を失う原因」
「早期発見、早期治療で歯の健康を守ることができる」
(これはだいたいの歯科医院でも書いてあると思いますが)
「予防とは、患者と歯科医院が一体となって行うもの」

といった表現を盛り込み、
自宅でのセルフケアだけでは不十分であること、
そして本当の予防歯科の意味と意識を
植え付けるようにしてみましょう。

このようなアプローチによって、
患者さんの意識は確実に
変わってくると思います。

メンテナンスの大切さと予防歯科の意味を
理解した患者さんを増やすことが、
あなたの歯科医院のリコール率向上に
つながります。

是非、これまでの取組みを見直し
工夫してみてください。