治療終了時に予防への移行を勧めたいときに、
スタッフはあなたの期待通りに患者さんに
説明できていますか?

実は、スタッフの「売込み」意識が抜けない限り
患者さんには伝わりません。

そんな状態から抜け出す、第1ステップを紹介します。

これは、予防のための自費のメインテナンスや、
メタルフリー治療、インプラント治療等の
自費治療を勧めたいとき、全般に言えることです。

TCがカウンセリングで忙しいときには、
院長であるあなたが代わりに勧めることもありますよね。

TCが不在の医院も多数あるでしょう。
そんな医院は、院長かベテランスタッフや
歯科衛生士が代わりに説明することになりますよね。

院長である歯科医師が患者さんへ勧める…。

この行為が時間の無駄だと思ってしまう時も
あるかと思います。
そうではありませんか?

予約患者さんで埋まる1日の中で、
患者さんへの説明はチョットした空き時間で
できるようなものではありません。

そんな対応をしていたら、
患者さんは敏感に不満を感じるものです。

だから、ベテランスタッフや歯科衛生士の出番になります。

「「いいものですよ」って言うだけなんだから
誰でもできるじゃないか」と思い、
「●●を患者さんへ勧めてほしい」と
スタッフに頼んでも、反応がない、勧めない…。

「あるある」ですが…。

スタッフにはスタッフなりの
「勧めない理由」があるようですよ。

「何で勧めないんだ?」

「デンチャー抗菌処理機器」を新しく導入したA医院さん。

セット前のデンチャーに抗菌処理を施すことにより、
口臭やヌメリを軽減することができるサービスで、
治療費とは別にサービス料を頂きます。

コストパフォーマンスが良く、
機器の取り扱いも簡便であったり、
助手・衛生士でも操作できることから、
導入を決めました。

販促用のポスターやパンフレットをメーカーからもらい、
スタッフ向け説明会も開きました。

モニターになっていただいた患者さんにも好評です。

「デンチャーの患者さんには必ず勧めるようにしよう!」
とスタッフに伝えたところ、
「わかりました。」との返事。

来月の医業収入報告が楽しみです。

導入から数日が経ったある日、
完成したデンチャーのセットの予約が入っていました。

抗菌処理を勧めるには最良のタイミングです。

院長はアシスタントに入ったスタッフに
抗菌処理を勧めるように指示をしました。

別のチェアに入りつつ,耳をそばだてていました。
しかし,一向に勧める気配がない…。

「院長,セットお願いします。」とアシスタントの声。

院長は自分で抗菌処理を勧め、患者さんのご理解を
得ることができました。

「今はいいものがあるのね!」と患者さんは喜んでいます。
しかし,院長は不満そう。その理由は…わかりますよね?
そう、
「何で勧めないんだ!」

「いいものなのはわかっているけど…。」

悶々とした院長は,チーフに相談しました。

チーフは「断られるのが怖いのではないか?」と
言います。

患者さんの意向に添わなければ断られるのは当然ですが,
勧めてみないことには何も始まりません。

「上手くいっている医院さんは、
どのように勧めているのでしょうか?」
という質問を、チーフがメーカーに問い合わせます。

メーカーが質問への回答として
送って来たのは1枚のFAXでした。

「○○医院に関する報告書」というタイトルの
そのFAXに書いてあったのは…。

「抗菌処理を勧めるときは ”基本トーク“ に沿っている。」

”基本トーク“の内容はもちろん伏せてありましたが,
おそらく台本のようなものだろう、
と察しがついた院長は、
早速先程のアシスタントスタッフを
呼んで尋ねました。

「さっきは突然頼んで悪かったね。
どう言ったらいいのか…と考えていたんだよね?」

「そうなんです…。いいものなのはわかっているんですけど、
勧めるとなると…何て言ったらいいのかと…。
言い方によっては失礼だと思われるんじゃないか…と考えてしまって…。」

売り込みではないトークスクリプトが必要

結婚式のスピーチを頼まれたときや、
学会で発表するとき…、
原稿を書いたり、スライドを作成したりして
「こう言おう」と決めたりしますよね?

営業会社やコールセンターにも
「こうやって伝えてね。」というセリフ付きの
マニュアルがあります。

「何を言うか」がある程度決められていれば、
きまりに沿って言えばいい。安心できます。

患者さんへの予防啓発など、
何かを勧めるときも同じことなのではないでしょうか?

院長に有給休暇の申請をする時にすら、
あらゆる反応を想定した台本を書くスタッフたちにとっては、
歯ブラシ一本を勧めるだけであっても
非常な緊張とプレッシャーが伴うわけです。

ましてや予防歯科の啓発などと言ったら…。

ここはぜひ、「こう言えばいいんだよ。」という
セリフまで決めて、スタッフたちの負担を軽くしませんか?

例えば、予防メインテナンスへの移行を勧めるときには、

「●●さん、これですべての治療が終わりましたよ。
長い間おつかれさまでした。これからはおうちでの
セルフケアをがんばってくださいね!

ただ、セルフケアだと…ちゃんとできるのか
どうかがわかんないですよね。
当院には、治療が終わった後にも通っていただける
定期クリーニングコースがあるんです。

〇か月に1度の通院で今のきれいな状態を維持できますよ!
1回〇円程度かかります。
お試しに今日ご予約を入れて帰られてはいかがでしょう?」
など。
会話調でしゃべりやすく作るのがポイントです。

スタッフたちが、
「院長自ら考えたセリフを覚え、患者さんへ伝える」。
その行為が、医院理念の浸透につながるという
素敵なオマケもついてくるかもしれませんよ!

 

ヘルスケアチーム コーディネーターmyより