予防歯科医院経営を強化したいなら、
外せないこと、それは、チームワークです。

医院で働くスタッフが同じ想いを共有して、
診療にあたることが必要です。

漠然としていて何から取り組めばいいのやら・・・。

でも大丈夫です。

院長の過去を伝えてください。
たったこれだけで、チームワークを強化できます。

A歯科医院の「ヒアリングヒストリー」

A歯科医院はA院長と代診ドクターがひとり、
スタッフはチーフのCさんを筆頭に
20代~40代前半で占められており、
A院長が一番年上というよくある構成です。

A院長のCさんへの信頼は厚く、
それだけにちょっとした伝言は
Cさんが請け負っており、
Cさんは「院長とスタッフがもっと話をすればいいのに…。」と
感じていました。

とある秋の初め。
B学校からA歯科医院へ文化祭の招待状が届きます。
B学校卒業生のスタッフ〇さんと▲さんが
「診療はあるけど…見に行きたい」と
Cさんへ相談してきました。

これはコミュニケーションのチャンス!と感じた
Cさんは、A院長に同伴を頼んだらどう?
と提案しました。

幸運なことに、「求人票を出したいから、
そのついでに」ということで、A院長も同意しました。

文化祭では、懐かしい先生や後輩に会え、
お昼はA院長のおごりでとても楽しい時間を
過ごした様子です。

B学校も、院長のお出ましということで
丁重にもてなしたよう。

A院長も上機嫌で戻ってきました。

そして、その後〇さんと▲さんは
院長とよく話をするようになったのです。

文化祭に一緒に行っただけで、
なんだかでき過ぎなような…
不思議に思ったCさんは〇さんと▲さんに尋ねました。

すると、
「院長の同級生に偶然に会って、
一緒にお昼を頂いたんです。
そこで、院長の昔の話とか聞いて。
帰りもたくさん話しました。
めっちゃ面白かったです。」とのこと。

過去を知ると親近感が湧く

歯科医院のスタッフは20代~30代前半が多くおり、
「院長の年齢は父と祖父の間」…のようなケースが
最近増えてきました。

つまり、多くのスタッフたちにとって、
院長は「接したことがない年代の人」なのです。

友達でもなく、先輩でもない存在…。
遠いんです。

最近は開業する女性歯科医師も増えましたが、
開業してそれなりの年数が経過している
歯科医院の院長は男性であることが多く、
当然のことながら理系男子。

異性との会話自体に慣れていませんし、
共通項もなさそうに思えるでしょう。

上のエピソードは、「ヒアリングヒストリー」とまでは
いかないものの、親近感を生むには十分なものです。

〇さんと▲さんは、院長も、自分たちと同じように
学生だったり、どこかに勤めていた、ということを
知ることにより親近感を抱いたに違いありません。

ヒアリングヒストリーの実施方法

それでは、正式なヒアリングヒストリーの
実施方法をご紹介します。

発表者は、以下の7つの要素を含めながら自分史を語ります。

  1. 現在の仕事を選んだ動機
  2. 勤務ではなく、開業した理由
  3. 「ここ」を選んだ理由
  4. これまでに言われたことの中で、一番うれしかった言葉とその状況。
  5. これまでに言われたことの中で、一番悲しかった言葉とその状況。
  6. 数ある標ぼう科目から予防歯科を選んだ理由
  7. 5年後にどうなっていたいか。

発表者が院長ではないときには、
2.3.を「自院を勤務先として選んだ理由」など、
話しやすい事柄に差し替えるといいでしょう。

話す内容は、ヒストリー、なので時系列に沿うと
考えやすいです。

また、可能であれば話す項目ごとに「写真」を用意して、
見せながら話すようにしてください。

赤ちゃんの頃、各学校卒業時のもの…。
前職がある人は前の職場で働いているときの
写真などもいいですね。

ヒアリングヒストリーは「板挟み」の予防にも!

ヒアリングヒストリーは、
聴く側にとっては院長の思いや生きざまを
知るチャンスです。

歯科医院は院長の思いに沿って動いていますから、
その指針たる院長の思いを知らなければ、
どこを目指していいのかわからないまま動くことになり、
迷います。

迷ったままでいることにより不満が募り、
より「言いやすい」人が不満のはけ口になってしまう、
ということは本当によくある話です。

いつも医院のためにがんばっている皆さんが
いたずらに板挟みにならないためにも、
院長の思いへの共感は不可欠。

新人研修の一コマとして、
小分けにして定期ミーティングで、
ぜひ実施してみてください。

ヘルスケアチーム コーディネーターmyより