TC(トリートメントコーディネーター)として
多くの初診カウンセリングに関わってきました。
そこで身に染みて感じたのは、
「本当の意味でのカウンセリングの効果は
その後の歯科医師・歯科衛生士の口腔内診査を経て
初めて現れる!」
ということです。

と言うのも・・・、

カウンセリングは歯科診療において
とても重要な役割を果たし、
予防歯科の普及にも大きく貢献しますが、
それだけでは治療になりません。

その後の歯科医師、歯科衛生士の診察が
あってこそ機能するのです。
その連携が取れているかどうかによって、
その効果は何倍に膨れ上がることもあり、
逆にマイナスになってしまうこともあります。

だからこそカウンセリング担当者と
実際に口腔内を診る歯科衛生士や歯科医師との
チームワークや情報共有が大きなカギを握ります。

そこで、院内でのコミュニケーションの
とり方のコツについて、
今回は私が実際に体験した失敗例を元にお話します。

実録!カウンセリングをしてもチームワークが乱れているとこうなる!

ある日、
私は初診カウンセリングを担当した患者を
診察室に案内し、初診を担当する歯科衛生士に
引き継ぎその場を離れました。

次に診察室に入った時、私は驚きました!

なんと彼女は患者さんとこんな会話を
繰り広げていたのです・・・

歯科衛生士:「今日はどうされましたか?」
患 者  :「今日は、歯が痛くて・・・」

「まさか!」と思いました。
彼女は患者に再度主訴の確認をしていたのです。
そしてさらにその後も問診を続けていきます。

もちろんその内容は初診カウンセリングで
私が全て聴き出したものでした。

同じことを繰り返し質問することになるので、
診察時間の無駄にもなるのはもちろん、
患者を困惑させてしまったことと思います。

その衛生士は入社して半年ほどの新人スタッフでしたので、
無理もないことかも知れません。

しかし、
「カウンセリングで話したことが伝わっていないのかな?」
という印象を与えては、
せっかくのカウンセリングが逆効果になってしまいます。

これでは患者にとってもカウンセリング担当者にとっても
診察を担当するスタッフにとってもいいことはありませんね。
これはひとえに
「スタッフ間の連携がうまくとれていないこと」
が原因です。

では、
「スタッフ間の連携をうまく取るコツ」について
カウンセリング担当者側と診察を担当する側の両方から
みていきましょう。

カウンセリング担当者は積極的に情報の発信を!

原則としてカウンセリングは個室もしくは
ある程度プライベートが確保された状態で
患者と2人で行います。

当然その場にいないスタッフはその内容を知りません。
そこで聴き取った患者の話を診療に生かせるかどうかは、
カウンセリング担当者がいかに上手に情報共有を
していくかがポイントになります。

たとえば初診カウンセリングなら、カウンセリング担当者は

  • どのような項目を聴き取るのか。
  • どんなことを説明するのか。

について積極的に周知しておきましょう。

患者説明用に使っているツールや渡している資料があれば、
院内で共有しておくとさらにいいですね!
カウンセリング担当者にとっては当然のことでも、
実は周りはそれを知らないことは多いものです。

カウンセリング後は、すぐにカウンセリング内容を
共有できるシステム作りも必要です。

カウンセリングが診察を担当する歯科医師や歯科衛生士に
とっても有意義になるように、
共有方法や内容を検討する際は、
積極的に診察スタッフサイドと意見交換をしましょう。

診察スタッフとシステム作りを進めるプロセスそのものには、
医院のチームワークをよくするという副次的な効果もあります。

診察スタッフはカウンセリング内容を踏まえて患者と話そう!

カウンセリング担当者として、
カウンセリングの効果的なものにするために
診察スタッフに気をつけたいポイントは主に次の3つです。

①重複した質問を不用意にしない

より深く聴きたい場合は、
「カウンセリングでは○○と聞いていますが…」
「××ということでしたが、△△についてはどうですか」
などとカウンセリングの内容を踏まえた話し方を
するようにします。

②患者が気にしていることは繰り返し確認する

例えば、「麻酔が怖い」、「注意すべき既往歴がある」など。
「あなたの話はきちんと院内で伝わってますよ」と
アピールすることで、患者と安心させる効果があります。

③時間の都合等でカウンセリング時に患者から出た
主訴以外の症状を診査することができなかった場合、
次回以降必ず診ることを伝える

共通するのは、
カウンセリングの内容が他のスタッフにも
きちんと共有されていることを
しっかりと患者に伝えることを意識することです。
そうすれば患者に安心感を与えることができます。

さらに、初診時の診察が終わって次回の予約を説明する時にも、

  • 患者に治療方針を再確認する
    「最初のカウンセリングで、
    当院の治療方針についてお話があったと思いますが…」
  • 患者の意思を再確認しながら説明を進める
    「カウンセリングで当院の治療方針について
    ご了解いただいているようなので…」

といったことができれば、
患者を予防歯科にのっとった治療の流れに
スムーズに乗せることができます。

もちろんこれらの注意点は、
カウンセリングの内容をきちんと把握していることが大前提!
やはり、カウンセリング担当者と
コミュニケーションを十分に取れる環境づくりは重要です。

カウンセリング担当者と診察担当者のコミュニケーションが予防歯科を成功に導く!

初診カウンセリングをカウンセリング専門の
スタッフや歯科助手が行う場合、
そのスタッフは患者の口腔内を診ることはできません。

そのかわり、院内の誰よりも丁寧に患者の話を聴き、
分かりやすく説明するのがカウンセリング担当者の仕事です。

その一方で歯科医師と歯科衛生士は口腔内を診る専門職。
初診カウンセリングで患者から出た話が
実際に口腔内を診てどうだったのか、
その情報が予防歯科にとっては大きな足掛かりです。
どちらの予防歯科にとって必要不可欠な存在です。

ここで私が声を大きくして言いたいのは、
カウンセリング担当者と診察担当者が
それぞれの役割を果たしてフォローし合えば、
最強のチーム歯科医療ができるということ

カウンセリングで得た情報が、口腔内の診査に役立つ。
そして口腔内の情報が分かれば、
その後のカウンセリングの内容が充実する。
こうして、カウンセリングと診察の相乗効果を、
ぐんぐんと上げていきましょう!

あなたの医院では院内のコミュニケーションは
うまくと取れていますか??
「コミュニケーションがうまく取れている!」と
自信を持って言えるのが
予防歯科成功への「コツ」かも知れませんね。

オーラルヘルスケアチーム 歯科TC Nより