歯科医療の現場では、
歯科医院と患者、双方が納得のいくことを
目指したいですよね。

そのためには、
治療カウンセリングの取り組みが
患者満足度を上げることにつながります。

歯科医療の現場では、

  • 治療前に説明をしたはずなのに患者に伝わっていなかった
  • 治療後になって患者が不満を口にするようになった

このようなことが起きてしまいがちです。

あなたも経験があるかもしれません。

トラブルの原因のほとんどは、
「歯科医院と患者のコミュニケーション不足」
に集約することができます。

今回は、いろいろなトラブルの元になる
「歯科医院と患者のコミュニケーション不足」を
解消するための治療カウンセリングについてご紹介します。

治療カウンセリングとは?他のカウンセリングとの違い

初診カウンセリングやセカンドカウンセリングと違い、
治療カウンセリングは患者の治療内容について
詳しく話し合いをしていきます。

専門的な内容になることも多いので、
カウンセリング担当者には一定以上の歯科知識が求められます。
治療カウンセリングでは、
患者の口腔内にこれから行われる治療について説明し、
患者と共通理解を得ていくプロセスが大事です。

また、治療の選択肢がいくつかある場合には、
それぞれの特徴や違いを比較説明して、
患者が納得のいく治療法を選択できるようにします。

治療の必要な歯が少ない場合や
歯周病治療だけで終わる場合には、
以前ご紹介したセカンドカウンセリングだけでも充分です。

しかし、自由診療で治療費がかかる場合、
インプラント治療などの侵襲の大きい歯科治療が必要な場合、
治療方法が複数あるがどの方法をとるか患者と相談したい場合、
治療歯が多く治療する範囲や使用するマテリアルなどを
患者と相談したい場合などに治療カウンセリングは役立ちます。

こちらが患者と相談したいことがあるタイミングだけでなく、
患者から希望が出た時にも治療カウンセリングを行うと、
患者も安心して治療を受けることができます。

治療についての説明をするときに大事なのは、
その治療方法のメリットとデメリットの両面を伝えることです。

今のところ、メリットしかない治療は存在しません。
デメリットや予想されるリスクをきちんと伝えることで、
かえって患者の歯科医院への信頼感が増すこともあります。

インフォームドコンセントからインフォームドチョイスへ

治療カウンセリングのメリットは、
治療を提供する側と受ける側の双方が納得した治療をすることで、
患者の満足度を上げることにあります。

みなさんも治療の選択を患者に求めた時に、
「おすすめはどれですか?」「どれがいいですか?」と
聞かれることがあると思います。

患者が歯科医師の意見を求めたいのは当然のことですが、
ここで単純にこちら側の見解を伝え、
患者がそれを受け入れるだけでは、
双方向の歯科医療とはいえません。
大事な判断が歯科医師のみに委ねられているからです。

むしろ、治療後何かが起きた時に、
「先生にお任せしていたのに」と
責任を求められるリスクもあります。

こちらが決めた治療を患者が受け入れる
「インフォームドコンセント」から、
歯科医院側がきちんとメリットやリスク説明をし、
患者が主体となって治療を決める
「インフォームドチョイス」へと、
時代は移り変わっています。

カウンセリング専門スタッフが治療カウンセリングを行うメリット

カウンセリング専門スタッフがいる場合は、
是非そのスタッフが治療カウンセリングを担当しましょう。

それは、歯科医師と患者が一対一で話した場合、
患者が歯科医師に治療内容に対する不安を話したり、
分からないことを聞いたりすることに
遠慮してしまうことがあるからです。

これは無理もないことで、
先生は忙しそうだから、とか、
こんなことを聞いたら悪いかなという自然な感情からくるものです。

ある意味患者がこちらを配慮してくれている
からこそのものともいえるので、
それに合わせた対応をしてあげるのが親切です。

TCのようなカウンセリング専門スタッフや
歯科助手がカウンセリングを担当すると、
歯科医師には直接言い出しにくい患者の本音を引き出しやすくなります。

ただし、患者が背中を押してほしい場合、
直接歯科医師からの言葉がほしい場合も必ず出てきます。

その場合は数分でもいいので、
歯科医師や院長に同席してもらいましょう。

直接患者に治療を施す歯科医師にしか
与えることのできない安心感もあります。

治療カウンセリングにはチーム力が求められる

言うまでもなく、治療カウンセリングには
歯科医師の協力が必要です。

患者の口腔内のデータを集め、
それに合わせた治療計画を立案できるのは
歯科医師だからです。

カウンセリング担当者は、
それを患者に分かりやすく説明するため、
まずは自分が治療についてよく理解しておく
必要があります。

また、歯科医院の立場と患者の立場、
そして第三者の視点から客観的にみてどうか…
いろいろな立場からその治療の特徴を考えてみましょう。

そのためにもカウンセリング担当者は
歯科医師や歯科衛生士と事前によく話し合いをし、
疑問点や患者から出てくると思われる質問を
事前にクリアにしておきましょう。

歯科医師や歯科衛生士も、
必要に応じてカウンセリング担当者をフォローしてあげてください。

そして、カウンセリングで患者と話し合って決まったことは、
しっかりと歯科医師、歯科衛生士に引き継ぎをします。

この連携がきちんとできていれば、
スタッフ個人単位でなく歯科医院全体として
それぞれの患者の治療をサポートすることができます。

医院内のコミュニケーションが円滑でなければ、
治療カウンセリングをうまく機能させることは
難しくなります。

あなたの歯科医院のチーム力を生かして
治療カウンセリングを取り入れ、
歯科医院と患者の両方が満足のいく歯科医療を目指しましょう!