理想の医療を追求することは歯科医師としての
理想の姿ですが、院長という立場になると
経営についても考え、上手に両立していくことが
求められます。

今回は、持続可能な医院運営を実現するために、
理想と市場ニーズをどう調和させるべきかを
考えていきましょう。

“やりたいこと”起点での運営には限界がある

院長先生の中には、「自院の理念に共感して
くれる患者さんだけが来てくれればいい」
「自分が得意とする自費診療や、理想とする
予防歯科を徹底したい」という
熱い想いを持っている人も多いでしょう。

プロダクトアウト(こだわりや理論を
優先して提供する考え方)の姿勢は、
高い専門性を維持する上では非常に重要です。

しかし、経営の安定性と持続性という
観点から見ると、自分の“やりたいこと”に
過度に固執する運営はリスクが伴います。

自院の良さを理解してくれる特定の層をターゲット
に絞りすぎることは、分母となる患者さんの数を
極端に減らしてしまうことにつながりかねません。

せっかくのこだわりが、敷居が高い…
と捉えられてしまう可能性があるのです。

経営上のキャッシュフローを安定させ、スタッフの
雇用を守り続けるためには、自分たちのこだわりを
押し通すだけでなく、市場の動向に合わせた
柔軟な視点を持つことが求められるでしょう。

“市場起点の運営”について考える

マーケットイン(市場や顧客が求めているものを
把握し、それに合わせて提供する考え方)の
視点を持つことは、地域に根ざした
歯科医院として生き残るためのカギとなります。

まずは、自院を取り巻く環境を客観的に
分析してみましょう。

地域性

オフィス街・新興住宅地・高齢化が進む地域
などエリアの特徴

競合分析

周囲の歯科医院がどのような治療に特化しているか

自院の現状

現在通っている患者さんが、
自院のどこに価値を感じているのか

例えば、平日の夕方以降に予約が集中している
場合、それは「仕事帰りに通いたい」という
ビジネスパーソンの切実なニーズの現れです。

会社員の方が多い地域であれば、
短期間での集中治療や、仕事への影響を最小限に
抑える効率的な診療体制が、
何よりも強力な「強み」になるでしょう。

市場が何を求めているのかという
「ニーズ(必要性)」を正確に洗い出し、
それに応える形で自院のスタイルを適宜調整して
いくことが、結果として経営の安定や
本来やりたかった医療を提供する”場”を
守ることにつながります。

今後増えてきそうなニーズと考え方

これからの日本の社会動向を考えると、
単なる治療技術の提供だけでなく、
患者さんのライフスタイルに深く踏み込んだ
市場ニーズの読み取りが必要となってきます。

これから増えてきそうなニーズ例

親子同時通院

共働き世帯が増加する中、仕事帰りに子どもを
迎えに行き、そのまま親子で受診できる
「ワンストップ」な環境
(駐車場・キッズスペースの充実・時間帯)

仕事終わりのメインテナンス需要

平日の19時以降や土日の受診ニーズ。

待ち時間なく受診できる体制や
審美性向上メニューの充実

QOL向上を目的とした受診

「むし歯にならないため」ではなく、
「いつまでも若々しく、食事を楽しみたい」
という、生活の質(QOL)を考える層の増加

このように社会の変化を読み、
患者さんが生活の中で抱えている不便や
不安を解決する仕組みを構築することが、
歯科医院経営の未来を切り拓くでしょう。

まとめ

理想の医療(やりたいこと)と
市場ニーズ(求められること)は、
相反するものではありません。

市場のニーズに応えて土台となる経営を安定させ、
そこで得た信頼をもとに、本来提供したかった
理想の医療へと患者さんを導いていくという
ステップが重要です。

まずは現在の自院の予約表や、地域の方々の
ライフスタイルを今一度整理し、今の診療
スタイルが「求められているもの」とズレて
いないか確認することから始めてみませんか?

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