初診の診察が終わり、2回目の来院から
いよいよ本格的な治療に入っていきます。
患者に前向きな気持ちを持って治療を
続けてもらうためには、本人に自分の口腔内の現状を
正しく理解してもらうことが必要です。
そこで効果的なのがセカンドカウンセリングです。
今回はこのセカンドカウンセリングにおいて
重要な5つのポイントについて話をします。
1. 初診時の検査結果をきちんと伝えていますか?
あなたの歯科医院では検査結果をどう伝えていますか?
私の経験上、「検査はしたことあるけど検査結果を
きちんと聞いたことはない」という患者はすごく多いです。
私自身も自分が歯科医院に勤めるまでは、
歯科医院に行っても主訴をどのように治療するかという説明を
簡単に聞いただけで、歯周検査やレントゲンの結果を
きちんと聞いたことはありませんでした。
例えばカウンセリングをしていて、
歯周基本検査の結果の表を見せた時に
「こんな表をご覧になったことはありますか?」と聞くと
ほとんどの患者が「ない」と答えます。
検査自体が初めてというわけではないにもかかわらず、です。
最初の検査結果を患者自身が把握していなければ、
治療完了した後の検査で改善がみられても、
患者はそれを実感しづらくなります。
なんてもったいないことでしょう。
2. セカンドカウンセリングとは
検査結果を伝え、今後の治療について
患者と話し合う場がセカンドカウンセリングです。
予防歯科でのカウンセリングに携わっていると、
初診時の検査結果は患者自身が思っているよりも
深刻であることが多いと実感します。
それまで患者が歯科知識を与えられる機会が
なかったがために、自分の口腔内の問題に
気付いていない(知らされていない)ことがほとんどです。
セカンドカウンセリングで患者の口腔内の現状を
過不足なく伝え、患者自身にその問題を正しく
理解してもらうこと。
この入口なくして予防歯科での治療を上手く
進めていくことはできません。
それには私達が思っている以上に
労力が必要ですので、ここでもやはり
チェアサイドではなくカウンセリングの
時間をとってゆっくり患者と向き合って
話すのが効果的です。
3. 病因論を伝える患者教育の場
セカンドカウンセリングで検査結果を伝える前に
患者に話しておきたいことがあります。
それは虫歯や歯周病という病気そのものについての知識、
すなわち病因論です。
もちろん専門用語を使って難しい説明をする必要はありません。
歯周病や虫歯はそれぞれどのような病気で
何が原因で起こるのか、
目の前の患者が抱えている歯周病や虫歯のリスクは何か…
を分かりやすく話しましょう。
患者は「歯周病」「虫歯」という言葉は知っていても、
その病気については詳しく知らずテレビやCMで
耳にした知識しか持っていないことがほとんどです。
予防歯科は
“患者それぞれの口腔内の疾病の原因を取り除くこと”
を目標としています。
その目標を目指すには
歯科医院で治療を受けるだけではなく、
毎日のホームケアや食生活、喫煙等の生活習慣の見直し
といった患者自身の協力がどうしても必要です。
そのためには患者にもある程度の歯周疾患についての
知識を持ってもらうことが大事なのです。
検査結果を説明する前に
歯周病や虫歯について話すことで、
患者自身が検査結果を真剣に受け止めるための
布石を打つ効果もあります。
4. 「あなたは歯周病です」とはっきり伝えることの重要性
特に歯周病については、
患者は歯周病の病因論はもちろん自分が歯周病である
ということすら知らないケースが多いです。
歯が痛いという分かりやすい虫歯と比べて
自覚症状が出にくいので無理もないかもしれません。
しかし日本人の8割以上が歯周病と言われている
今の時代に自分が歯周病であると認識していない
患者が多いのは、今までに通院してきた歯科医院で
はっきりと歯周病と言われてきていないことも、
大きな原因のひとつです。
これは歯科医院の責任といえるのではないでしょうか。
私の経験でも、
初診時の検査では成人患者はほぼ全員歯周病!
でした。
あなたの歯科医院ではいかがでしょうか?
患者自身にもこの現実を受け入れてもらいましょう。
特に主訴が歯周病以外のものだった場合、
ここがきちんと伝わっていなければ
「歯石取りばかりされてなかなか治療をしてくれない」と
思われかねません。
あなたは歯周病であり、
あなたがこれから受けるのは歯周病治療である。
ただの歯石取り・クリーニングではない。
そしてそれこそが虫歯や歯周病の原因を取り除くことになる。
これを患者に理解してもらえるまで、
何度でも根気強く伝えるようにしましょう。
歯周病治療から始める予防歯科は
決して遠回りではないことを、
患者自身の検査結果からも実感してもらうことが
治療を続けるモチベーション(というより危機感
といった方がいいかもしれませんね)になります。
5. 結果を伝えた後は必ず意思確認を
初診時の検査結果を伝えた後、治療方針を前提にした
今後の治療方法を患者と相談していきます。
歯科に限らず医療機関で多いのは、
「このような検査結果だったのでこの治療をします」と
主治医が治療方針を決定するものです。
同意書を取ることもありますが、
これではこちらからの一方通行の
医療になってしまいます。
予防歯科で大事なのは、
「患者が自分の意思で治療を受け、
患者自身もホームケア等で協力すること」です。
それはこちらからの一方通行では成り立ちません。
検査結果を説明した後には、
必ず患者の意思確認をしてください。
初診時の内容と今回のセカンドカウンセリングが
うまくいっていれば、ほとんどの患者が
「ここの治療方針で治療を進めてください」と
予防歯科に協力してくれるはずです。
セカンドカウンセリングは患者自身が
自分の口腔内の問題と向き合う時間でもあります。
あなたの歯科医院でも
是非取り入れてみられてはいかがでしょうか。
オーラルヘルスケアチーム 歯科TC Nより