
院長として病院の経営を担っている以上、
単に日々の診療をこなすだけではなく“経営者”目線で
医院の将来を考えた行動が求められます。
安定した経営に必要な策を見出すためにも、
まずは自院の立ち位置を客観視することから
始めてみましょう。
今回は「患者さんの層」に着目して、
定量的に分析する方法を解説します。
「患者さんの層」とは
ここでの“層”とは年齢層のことを意味します。
自院に通ってくれている患者さんを年齢別に分けて
考えて、どの層が多いのか・どの層を増やした方が
いいのかを見ていくというものです。
・直近3か月で来院した人の年齢層を集計
・昨年の同時期に来院した人の年齢層を集計
直近3か月の集計により、自院の「患者さんの層」を
数値的に見ることができます。
加えて、1年前のデータも集計できれば伸び率なども
可視化でき、より効率的な分析が叶うでしょう。
それぞれの層が持つ特性と将来性
集計結果をより経営に役立てるためには、
それぞれの層がもつ特性と将来性について
理解しておく必要があります。
乳幼児
地域ごとの医療費助成も影響し、
継続的な来院が見込める。
兄弟・姉妹の集患やママ友同士の口コミなど、
気に入ってもらえれば効率的に集患が狙える。
引っ越し等がない限り年齢が上がっても
通い続けてくれる可能性が高い。
10代
高校生頃までは医療費助成や保護者の後押しなども
あり、定期的な来院が見込める。
年齢が上がるにつれて、面倒くさい等の
理由から定期健診からは足が遠のきがちになる。
症状がある時のみの来院になるパターンが多い。
20~30代
審美性を高めることを目的とした自費治療を
積極的に取り組む人の割合が最も多い層。
その一方で、定期健診の受診率は下がりがちとなる。
ライフスタイルが変化しやすい年齢でもあり、
固定の患者さんにならないパターンも多い。
40~50代
加齢による心身の変化に気づきはじめる年代で、
口腔ケアにも目を向けてくれる人が増える層。
ライフスタイルも定着している人が多く、
気に入ってもらえれば固定の患者さんと
なってくれることが見込める。
金銭的にもゆとりのある人が多いため、
適切な声掛けで自費診療につなげることも可能。
60代以降
時間に余裕ができたり、医療費の負担割合が減る人が
でてくるため、定期的な通院が見込める世代。
新しい医院にかかることを苦手に思い、
以前から通っている病院を好んで通う人が多い。
保険適用の診療を好む傾向にある。
あくまでも一般的な傾向ではありますが、
このように層によって歯科医院に対する考え方や
フットワークの軽さなどに大きな違いが
あるということを理解しましょう。
開拓が必要な層の洗い出しと効果的な戦略
集計結果に加えて立地条件や自身の診療に対する
考え方なども考慮し、安定した経営に向けて取り込む
べき層がどこなのかを考えることをおすすめします。
効果的な戦略例を紹介します。
乳幼児
キッズスペース・装飾・ご褒美など、
子どもが喜ぶ雰囲気づくりが大切。
加えて、ユニット回りに保護者が付き添える
スペースを確保する・キッズスペースの清潔感など
親御さんの気持ちへの配慮も必要不可欠。
10~20代
SNSなどインターネット環境でのアピールが効果的。
明るい雰囲気や、審美性の高いメニューなど
積極的に発信していくとよいでしょう。
また、ネット予約への対応も効果的でしょう。
30~50代
口コミ評価や検索上位にヒットするかなど、
検索エンジンの結果を気にかけると効果的。
診療の方針を分かりやすく伝えることやスタッフの
態度など、誠意ある姿勢を好む人が多いため、ホーム
ページなどで上手にアピールすると良いでしょう。
60代以降
ポスティングやDMの他、地域新聞への広告掲載や
折り込みチラシも効果的。
のぼりや医院前の立て看板にて「60代からの
口腔ケア」などシニア層を積極的に受け入れている
ことが分かるようなものを置くのもよいでしょう。
まとめ
安定した経営を続けていくためには、
患者さんの層を厚くして幅広い世代の人から
愛される医院に成長することが大切です。
紹介した世代ごとの集患戦略を参考に、経営について
今一度考えを巡らせてみてはいかがでしょうか?