歯科医院の経営に悩む先生の声をよく耳にします。

経営は、歯科医師にとって
専門外のことであることは明白です。

大学の講義でくわしく学ぶ機会もありません。

しかし、開業すれば常に経営を意識する
必要があります。

患者さんのための診療と同時に、
院長先生には、医院の経営能力が求められるのです。

そこで、一般企業で用いられている経営の指標
KPI(業績評価指標:Key Performance Indicator)を
歯科医院で応用する方法を解説します。

KPIは目標に向かうプロセスを評価する指標

KPIは、企業が目標を達成するプロセスの
達成状況を評価する指標です。

個人で例えると、海外で英語を使って発表するのが
目標とします。

英語の動画でリスニングできた語数、
英会話教室での点数が、KPIに設定できるでしょう。

つまり、目的を達成するために成果につなげる
アクションの進捗状況を評価するのがKPIです。

ゴールに対してどのように向かっているか経過をみて
軌道修正するための指標にします。

KPIは目標によって設定

では、歯科医院におけるKPIの例をご紹介します。

患者数に関しては新患数、リコール数、
診療患者数、キャンセル数。

売り上げであれば診療報酬、自費診療の収益、
カウンセリング案件数といった数値です。

歯科衛生士のマネジメントには、
メインテナンス人数、次回来院数といった業務に
関する内容がKPIになるでしょう。

大切なのはKPIを使ってどのように改善するかです。

KPIはいわば、自動車や飛行機の計器ともいえます。

運転するのは、院長先生をリーダーとする
スタッフです。

経営分析からKPIを設定

KPIを使って経営改善する方法をみてみましょう。

例えば開業10年目の歯科医院で、患者数は安定して
いるけれど、売り上げが落ち込んできたとします。

まず、売り上げの低迷を分析します。

再診患者数はある程度あるなら、
新患数がネックかもしれません。

新患は来ていても、治療につながっていない
場合もあります。

売り上げを向上する目的を達成するために、
KPIを設定します。

仮に、新患数、リコール数、キャンセル率と決めると
それぞれに対して実行できる方法が考えられます。

KPIを通して施策を実行

例えば、新患数をKPIに設定した場合、
ウェブサイトの改善、看板やチラシによるアピール、
紹介患者を増やす対応といった施策が考えられます。

ウェブサイトの改善には、通院中の患者さんの声や
近隣の他院との比較が役立つかもしれません。

例えば、ウェブサイトの操作性、地図の表示が
改善されると新しい患者さんが
来院しやすくなるでしょう。

オンライン予約は若い人に人気ですが、
歯科治療を必要とする高齢者の方には、
看板やチラシも有効です。

近隣の患者さんをターゲットとして、
費用対効果を検討して、導入するのもいいでしょう。

紹介患者を増やすのに1番大切なのは、
院長先生がこれまで努力してこられたように
来院した患者さんに満足していただける治療です。

その上で、患者さんの心をつかむ対応をすると
顧客満足度が紹介につながります。

設定したKPIが施策によってどう変化したかをみて
フィードバックを繰り返しましょう。

経営を改善して、よりよい歯科医院へ

多くの歯科医院があっても
「いい歯医者さん知らない?」とよく耳にします。

「いい歯医者さん」とはどのような医院でしょうか。

KPIの設定によって経営の視点から
患者さんのニーズも見えてきます。

医療は、ビジネスと性質が異なります。

しかし、奉仕だけでは経営は成り立ちません。

ビジネスの知識を応用すると、
安定した歯科医院の経営につながります。

おすすめの記事