「予防歯科」という言葉は浸透しつつありますが、
それでも健診やクリーニングだけのために
来院するのを面倒だと感じる声は残ります。

当記事では、予防歯科の大切さを
日常生活への影響面から考えていきます。

患者さんへのアプローチ方法に悩んでいる方は、
ぜひ参考にしてみてください。

具体的なリスクを伝え意識を高める

不調が起こって始めて健康の大切さや
ありがたみを実感するもの。

しかし、歯や歯肉は一度ダメージを
受けてしまうと、治療しても元の通りに
再生することはありません。

予防的に歯科医院へ通うことのメリットを、
具体的なリスクを交えて
伝えてみてはいかがでしょうか?

リスクを知りそれに備えることは大切です。

脅し文句のように捉えられてしまわないよう
言葉を選びながら、
「予防しないことのリスク」
「予防することで得られるメリット」
を上手にアピールしましょう。

“日常”への影響

虫歯や歯周病は、風邪のように治療して症状が
治まったからといって完全に元通りに
なるわけではないことを伝えましょう。

・治療した歯は耐久性が低くなり、
再度虫歯になりやすい
・被せ物や詰め物には寿命がある
・治療により隣接する健康な歯を削る場合もある
・歯ぐきが下がって歯が伸びたように見える
・咀嚼力の低下

保険適用で白い被せ物ができる範囲が増え、
治療後の審美性損失は少なくなったものの、
一度虫歯や歯周病になってしまうと
日常に様々な影響を及ぼします。

“時間”の拘束

定期検診とクリーニングをまとめて行っても、
1回あたりの所要時間は30分~60分前後です。

一方、何かしら治療をスタートすると
複数回の通院が必要になり、
拘束時間も長くなることを伝えます。

忙しいことを理由に定期検診に通わない方も
多いですが、本当に忙しいのであれば
月に何度も予定をあけて治療に通うのは避けたい
と思うのが当然です。

数ヶ月前から事前に予約をして
スケジュールをたてられる定期検診の方が、
忙しい人には向いているとアピールしましょう。

“金銭”的な負担

定期検診にかかる費用は、保険適用で1回あたり
3,000~4,000円程度です。

3ヶ月毎に通っても、1年で12,000~16,000円・
半年毎であれば年間6,000~8,000円の負担です。

一方で、歯周病や虫歯の治療となると
1回あたりの負担額は一気に跳ね上がります。

治療内容にもよりますが、
保険適用でも治療完了までに3~5万円以上かかる
ことも少なくありません。

虫歯も歯周病も、早期発見・早期治療を
したほうが費用負担は抑えられます。

症状がないのにお金を払うのは勿体ない
と感じる気持ちも分かりますが、
長い目で見ると定期検診のコストパフォーマンスは
決して悪いものではないと伝えましょう。
(※費用は、あくまでも概算です。
尚、3割負担を前提として計算しています。)

まずは半年から提案してみるのもアリ

長期間通っておらず、症状が出て数年ぶりに
来院したという患者さんも少なくありません。

そんな、いままで定期検診をやってこなかった方に
とって「3ヶ月に1回の定期検診」は
なかなかハードルが高く感じてしまうものです。

・症状がない限りこない人
・治療途中でも症状が緩和されれば
来なくなってしまう人

このようなタイプの患者さんにも定期的に
通ってもらうことがリコール率アップのカギ。

「定期検診に通う」ということを
定着化させるためには、まずは1回でも
症状がない状態で来院してもらうことが大切です。

そこで、3ヶ月に1回の検診を最終目標に、
まずは半年に1回の来院予約をとるのも
おすすめの戦略です。

まとめ

定期検診の良さをアピールするのも大切ですが、
具体的なリスクやタイムパフォーマンス、
コストパフォーマンス面からの定期検診と治療の
比較など別の角度からのアプローチも効果的です。

院内掲示やホームページのコラムを活用するなど、
相手の心に響く伝え方でリコール率UPを
目指しましょう。