教育はする方もされる方も学びになると
よく言われています。

できれば、指示した内容を相手に理解してもらい、
実践につなげていってほしいですよね。

そこで今回は、
スタッフ指導で活用できる
MOREの法則について紹介していきます。

具体的に伝えてみよう

スタッフに指示や指導をする時には、
具体的な行動で表してみるといいでしょう。

例えば、歯科医院で次のような
目標を立てたとします。

・リコール率を上げる
・新規の患者さんを増やす
・チーム力を上げる

上記の3つの目標は一見、
わかりやすいように思えます。

しかし、実際には抽象的な表現を使っているため
何となくしかわからない人が多いようです。

抽象的な表現を使って目標を立ててしまうと、
相手はどうしたらいいのかわからないので、
努力することも難しくなってしまいます。

目標を達成するために、実践すべき行動を
院長や指導者が具体的に表現すると
スタッフは努力しやすくなるはずです。

MOREの法則を活用しよう

行動を具体的に言語化する時には、
行動分析学の世界で
行動を定義する時に使われる
MOREの法則(具体性法則)を
活用してみることをおすすめします。

MOREには、次のような意味があります。

・Measured
計測できる=数値化できるという意味

・Obserrable
観察できる
=誰が見てもどんな行動をしているのかわかる

・Reliable
信頼できる
=どんな人がみてもそれが同じ行動だと認識できる

・Specific
明確化されている
=何をどうするかが明確になっている

上記の4つの条件を満たしていないものは、
行動とは呼べないと定義されています。

では、最初にあげた例をもう一度見てみましょう。

・リコール率を上げる
・新規の患者さんを増やす
・チーム力を上げる

この目標は、行動の定義である
4つの条件を満たしていないようです。

それでは、
MOREの法則を活用して
目標を立て直してみましょう。

【改善前】
リコール率を上げる目標

【改善後】
患者さんの口の状態をよく観察して
虫歯や歯周病のリスク、定期検診の重要性を
歯科衛生士が歯磨き指導の時に伝える。

助手のスタッフは、治療終了後の患者さんに
虫歯や歯周病予防をするメリットを伝える。

受付のスタッフは、定期検診のハガキを送るか
電話でのお知らせのどちらが希望かを
患者さんに確認する。

【改善前】
新規の患者さんを増やす

【改善後】
1週間に一度は必ず
ホームページのブログを更新する。

【改善前】
チーム力を上げる

【改善後】
診療開始前に当日の
患者さん情報を全員で共有する。

このようにやるべき行動を具体的にすれば、
それぞれが実行できているのかが
はっきりとわかります。

もし、できていない場合も指導するべきポイントが
非常に明確なので、指導者も悩むことが
少なくなるのではないでしょうか。

また、行動しているのに成果がでない場合には、

・ブログの回数を増やす?
・他の行動を取り入れてみるか?

などの具体的な検討がしやすいのもポイントです。

イラストや写真を活用する

教える内容によっては
イラストや写真などのビジュアルで
見せた方がわかりやすいことがあります。

その時には、視覚支援プログラムを
活用してみてはいかがでしょうか。

視覚支援プログラムとは、1960年代に
アメリカのノースカロライナ州立大学を
中心に体系化された

TEACCH
「自閉症及び関連する
コミュニケーション障害のある
子供たちのための治療と教育プログラム」
などで、活用されている学習法です。

自閉症やアスペルガー症候群などの子供たちは、
視覚による学習能力が優れている傾向にあります。

その日のスケジュールや身支度の手順などを
ビジュアル化するとスムーズに理解し、
実践しやすくなることがわかっています。

この方法を上手く院内指導にも
取り入れてみることをおすすめします。

例えば、診療開始前の朝の準備の手順、
診療終了後にやっておくべき業務内容を
イラストにしたポスターを作って
スタッフルームや消毒・滅菌室に提示してみます。

新人スタッフがやっても
同じ結果が得られるようになるので、
業務も短期間で覚えやすくなります。

まとめ

スタッフに指導する時には、
抽象的な伝え方は止めて
MOREの法則に当てはまるように
具体的に伝えてみませんか。

また、言葉や文章だけではなく
イラストや写真を活用することで、
よりスタッフの理解が深まる場合もあります。

1度、指導内容が
MOREの法則に当てはまるかどうか
確認してみませんか?