初診カウンセリングを導入する準備は進んでいますか?

患者に予防意識を持ってもらい、
継続した通院を実現させるには
初診時のカウンセリングが重要です。

今回は具体的な「患者に訊くべき初診カウンセリング」の
5つのポイントについて踏み込んでお話しします。

必ず患者に訊いておくべき項目が
いくつかありますので、
口腔内の問診編と患者が抱えている内面編の2回
に分けて解説していきます。

今回は口腔内の問診についてです。

1.まずはとにかく主訴の確認

まずはやはり主訴の確認からです。

いきなり
「今日はどのようなことが気になっていますか?」
と伺うよりも、
「問診票には○○と書かれていますが、
詳しく教えていただけますか?」
というように、
問診票を一読したことが伝わる話し方の方が
患者も好印象をもってくれます。

主訴はどの部位で、
いつからどんな風に、
どれくらいか、
と順に深めていきます。

以前も述べたように、
この時は患者が使った言葉を
歯科用語に言い直したりせずに、
患者のニュアンス通りに受け取ります。

「痛くはないけどしみる」
「ずきずきする」
というように患者の細かい言葉選びにも意味があります。

また、同じように「痛い」と言われた時にも、
冷たいもので痛むのか、熱いもので痛むのか、
咬合痛かそれとも自発痛か…など、

歯科医師の診断基準になるポイントについても
注意していきましょう。

そのためには日ごろから歯科疾患の知識を勉強し、
歯科医師や歯科衛生士がどのようなことを聞いてほしいのか
コミュニケーションをとっておくことが大事です。

つい忘れがちになりますが、
患者が理解できる言葉を使うことも重要です。
専門用語は患者に伝わらないという意識を持ってください。

2.主訴以外の口腔内で気になる悩みを聴きだす

主訴以外にも口腔内の悩みを持っている方も多いものです。

主訴を伺ったあとに、
「他にはありませんか?」と繰り返していきます。
この時に注意したいのは、
「気になる」という言葉についてです。

例えば「他に気になることはありませんか?」と伺った時に、
「そういえば最近歯が黄ばんできたように思います。」と
患者が答えたとしましょう。

その「気になる」のが
「他にはないかと聞かれたから答えただけ」のレベルなのか、
それとも「ホワイトニングをして白くしたい」レベルなのかは
さらに質問をして見極めが必要です。

口腔内について全て聴き終わった後、
主訴から順に再度振り返って間違いがないか患者に確認をし、
口腔内についての問診は終了です。

3.前回の治療歴も重要な情報源

主訴などの現在の口腔内の症状以外に
聴いておきたいこととして、
ひとつめに前回の患者の歯科治療歴があります。

直近で歯科医院を受診したのはいつか。
そしてその時にどのような治療をしたか。

その患者は歯科にかかるのがかなり久しぶり、
もしくは初めての方かもしれませんし、
短いスパンで治療を繰り返してきた方かもしれません。

伺うと患者の口腔内の状態を予想することができ、
これまで歯科医院とどのような付き合い方を
してきたのかのスタンスが分かります。

特に治療途中でやめてしまった経験がある方の場合は、
今後通院を続けていただくために必要なものを
探るヒントにもなります。

4.ホームケアの現状を把握する

初診患者が訴える主訴の原因として
患者の日常のホームケアが大きく関係しているのは、
あなたも日々実感されていることと思います。

どのような歯ブラシを使って、
または歯ブラシ以外の補助具を使って、
どの位の時間、1日に何回ケアしているか、
確実に伺いましょう。

そしてその理由も聞いてみてください。
いくら正しいTBIをしても、
そのホームケアに至った患者なりの理由が
解決していなければなかなか受け入れてもらえません。

この時はあくまでも「現状を把握する」ことが目的ですので、
正しいホームケアの仕方を話す必要はありません。

むしろ正しい知識を話そうとすると、
患者は正直な現状を話しにくくなってしまいます。
目的をはき違えないように、決して否定せずに伺いましょう。

正しいホームケアの指導(TBI)は口腔内の診査をして
現状が分かった後(患者が自分の口腔内の「悪さ」を実感した後)
の方が受け入れてもらえます。

それはカウンセリング担当者でなく、
口腔内を診たドクターや歯科衛生士の仕事です。

初診カウンセリングで伺うようにすれば聞きもれがありませんが、
それぞれの医院の実態に即して、
歯科衛生士のTBIの際に聞くのでもかまいません。

5.既往歴と服用薬、喫煙の有無は治療の方向性を決めるポイント

既往歴と服用薬は、治療を進める上で欠かせない情報です。

問診票には書かれていなくても、
チェックに抜かりがないようにしてください。

また、喫煙の有無も口腔内の現状、
今後の治療の予後に大きく関わります。
喫煙歴、1日の喫煙本数を詳しく伺いましょう。

まとめ:初診カウンセリングをすると、その後の診察で得られる情報量が飛躍的に増える!

これらの情報を一通り把握しておくと、
口腔内を診る前から今現在の患者の口腔内の状況が
予想できるようになります。

この情報を得ておいてからパノラマを1枚撮影してみてください。
そのレントゲン画像から読み取れるもの、予測できることが、
確実にそして大幅に増えることは間違いありません。

口腔内を診る時間は変わらなくても、
初診カウンセリングをしただけで口腔内の情報が増えるのです。

それってすごく興味深いと思いませんか?

 

オーラルヘルスケアチーム 歯科TC Nより