難病指定されているバージャー病

歯周病は多くの病気との関連が知られています。

バージャー病も歯周病とのつながりが
指摘される疾患の一つです。

バージャー病(Buerger病)は、
「閉塞性血栓血管炎」とも呼ばれています。

手足の末梢血管が閉塞して、虚血によって
四肢や指先に低酸素状態が生じる病気です。

重症では、手足の切断が必要な場合があり、
難病(指定難病)となっています。

日本の喜劇王と呼ばれた俳優が、
片脚を切断した報道で知られるようになりました。

バージャー病の患者さんのほとんどが喫煙者

バージャー病の患者さんは男女比8対1で
男性が多く、30代から40代が中心です。

ほとんどの患者さんは
喫煙者という特徴があります。

治療が必要な患者さんは、
全国で約7,000人と推定されています。

バージャー病が重症化すると皮膚が壊死

バージャー病になると、
手足の動脈が閉塞して虚血が起きるため、
手足のしびれやチアノーゼ、強い痛み、
長く歩けなくなる歩行障害を生じます。

さらに進むと、皮膚の潰瘍から
壊死にいたります。

このほか、手足の静脈に炎症が起き、
静脈に沿って発赤や痛みが生じる
場合もあるでしょう。

バージャー病の患者さんは
歯周病の方も多いと報告されています。

主な原因は喫煙、歯周病との関連も

バージャー病の原因には、
喫煙が第一に挙げられます。

さらに、歯周病や感染、栄養障害、自己免疫、
血管内皮細胞の活性化、人種差との関連が
指摘されています。

歯周病の関連を日本のグループが報告

歯科領域では、バージャー病と歯周病に
関する研究が報告されています。

東京医科歯科大学(現東京科学大学)の
バージャー病共同研究グループは、2005年に
世界で初めて、原因不明の難病であった
バージャー病の病変から歯周病菌を発見しました。

アメリカの学術誌 Journal of Vascular Surgery
(2005年7月)に 「Oral bacteria in the occluded
arteries of patients with Buerger disease」
のタイトルで報告された論文をご紹介します。

典型的なバージャー病の患者さん14名から
閉塞した動脈の組織と歯垢(プラーク)、
唾液を採取してDNAを調べたところ、
動脈片14片のうち13片と、口腔内試料は
全例から、口腔細菌のDNAが検出されました。

この研究によって、バージャー病の
発症と悪化が歯周病の慢性感染に関係する
可能性が示されました。

バージャー病の治療には、まず禁煙

バージャー病の治療では、
まず、禁煙が必要です。

手足を清潔にして保温し、
皮膚を保護します。

さらに、抗血小板薬や血流改善薬の投与や
バイパス手術を行います。

皮膚血流を改善させるための交感神経節ブロックや
高気圧酸素療法のほか、血管を新生させる目的で
遺伝子治療や細胞移植も行われ始めました。

バージャー病が進行して治療の手立てがなくなると
手足や指の切断が必要となる場合もあります。

最近では、禁煙を厳守して治療を行い、
四肢の切断にいたる方は少なくなりました。

医科歯科連携して口腔ケア・禁煙指導を

口腔ケアが進んだ国ではバージャー病が
減少していると報告されています。

バージャー病と強い関連がある喫煙は、
歯周病も悪化させます。

歯科では、歯周病予防の観点から
これまでも禁煙を推奨してきました。

歯科は医科とタッグを組んで、今後も禁煙指導を
行うと患者さんのためになるでしょう。

歯周病の治療はバージャー病の治療にも役立つ
可能性があり、今後の研究報告が待たれます。

まとめ

バージャー病は、喫煙および歯周病との
関連が指摘されています。

また、禁煙はバージャー病をはじめ
歯周病を含む多くの病気の予防に有用です。

「禁煙」をキーワードに、
医科歯科連携の取組みを強化しましょう。

<参考資料>

1) 厚生労働省 難治性疾患政策研究事業
難治性血管炎に関する調査研究班
血管炎症候群の診療ガイドライン
(2017年改訂版)
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2017_isobe_h.pdf

2)日本循環器学会 / 日本血管外科学会
末梢動脈疾患ガイドライン
(2022年発行、2025年改訂版)
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/03/JCS2022_Azuma.pdf

3)難病情報センター「バージャー病」
https://www.nanbyou.or.jp/entry/170

4)Iwai, T., Inoue, Y., Umeda, M., Huang, Y., Kurihara, N., Koike, M., & Ishikawa, I. (2005). Oral bacteria in the occluded arteries of patients with Buerger disease. Journal of Vascular Surgery, 42(1), 107-115.

5)東京医科歯科大学 プレスリリース
(2005年6月27日)
研究成果 「バージャー病と歯周病の関連が
明らかにされる」
https://www.tmd.ac.jp/cmn/soumu/kouhou/syousai.pdf

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