あなたは「グルコーススパイク」という
言葉をご存知でしょうか。

グルコーススパイクとは、
空腹時血糖値と食後血糖値の差が大きく、
食後に血糖値が大きく上昇する現象のことです。

先日、NHKスペシャルでも取り上げられた
テーマですのでご覧になった方もいらっしゃる
のではないでしょうか。
参照HP:http://www.nhk.or.jp/special/kettouchi/

この食後高血糖の状態は普段の健診などでも
見逃されることが多く、問題となっています。

しかし、生活改善で解消できることも
わかっているようです。
ですので、何より早く気づくことが大事です。

今回はこの食後高血糖の発見とその改善指導のコツに
ついてお知らせします。

見逃される食後高血糖状態

糖尿病の診断は、初回検査で
①早朝空腹時血糖値≧126mg/dl
②75g糖負荷試験2時間値≧200mg/dl
③随時血糖値≧200 mg/dl
④HbA1c(国際標準値)≧6.5%(JDS値≧6.1%)
のうちいずれかを認めた場合は「糖尿病型」と判定され、
別の日に再検査を行い、再び「糖尿病型」が確認されれば
糖尿病と診断されます。
※糖尿病治療ガイド2016-2017より一部抜粋

実際、糖尿病のある人は、適切な治療を行わないでいると、
糖質を多く含む食品を食べることで、
空腹時に100mg/dLぐらいだった血糖値が、
食後血糖値が一気に200~300mg/dLまで上昇することがあります。

つまり、
空腹時血糖値が110mg/dL以下で正常であっても
食後に血糖値を調べたら高血糖になっている
患者もいて、食後高血糖の状態が
見逃されているケースがあるようです。

この急激な血糖値の変動によって、

  • 強い空腹感
  • イライラ
  • 眠気

などの不調につながり、
日常の生活の効率を大きく下げる
原因となっている可能性があります。

さらに、長期的に繰り返されると、
膵臓を酷使し、血管を傷つけ、
徐々に血糖値が上がっていくことにも
繋がっていると考えられています。

私自身、
健診の結果はいつも正常なので
安心しているのですが、
食後の血糖値を測定する機会は
そう多くありません。

つまり、多くの一般の方々は
自身の食後の血糖状態を
把握できていません。

イライラや眠気などの身体の不調は
日常でストレスなどが生じると
起きることだと思っていますが、
もしかしたら、高血糖状態という可能性も
ゼロではありません。

食後高血糖を知るための方法のひとつとして、
血糖自己測定があります。
食後1~2時間後に血糖値をはかることで、
状態を把握することができます

最近、歯科医院でも血糖測定をされている
ことを良く聞くようになりました。

来院される患者様で糖尿病が疑わしい方の
血糖状態を知ることは
歯周病治療においても非常に大事な情報源
だと思います。

食後高血糖を改善するためのポイント

食後高血糖を改善するのに、
いくつかの方法があります。

(1)カーボカウント

カーボカウントとは、
食品に含まれるカーボ(炭水化物)を計算し、
糖尿病の食事管理に利用しようという考え方です。

カーボカウントの基礎は、
炭水化物の多い食品をきちんと認識するところからはじまります。
次に栄養成分表示や食品成分表などを利用して、
炭水化物の量を見積もります。

この過程を通じて、
食後血糖値と摂取する炭水化物の量の関係が分かりやすくなるようです。

(2)グリセミックインデックス

グリセミックインデックス(GI)は、
食品に含まれる糖質の吸収の度合いを示す指数のことです。

糖質を摂取すると、消化管でブドウ糖に分解され血中に入ります。
血中のブドウ糖の濃度、つまり血糖値が上昇するが、
その食品の消化(分解)から吸収までの速度は食品によって異なります。

GI値が低いほど糖質の吸収がおだやかになり、
血糖値の上昇もゆるやかになる。

逆に高GIの食品を食べると、一気に血糖値を上昇させるため、
血中のブドウ糖を処理するために多量のインスリンが分泌されたり、
分泌が追いつかなくなくなります。

(3)ゆっくり食べる

血糖値を改善するために、
食べすぎない(カロリーをとりすぎない)ことが大切ですが、
食後高血糖の予防で特に注意したいのは、
ゆっくり食べることです。

早食いをするとインスリンの働きが追いつかず、
食後の血糖値が急上昇しやすくなるからです。

また、食事の順番も大切です。
野菜や海藻、キノコ類など食物繊維が豊富に含まれる食品は
血糖値を上げにくいと言われています。

まず、野菜を食べ、次に、肉(タンパク質や脂質)、
最後にごはん(炭水化物)の順にゆっくりと食べると
血糖値の上昇をおだやかにすると言われています。

(4)食後の運動

運動にはインスリンに近い働きがあります。
運動により、血糖(グルコース)と脂肪酸の利用が促され、
血糖値が下がると言われています。

運動には、筋肉で血糖が使われるのを促す効果があり、
さらに、運動を続けることで、インスリン抵抗性の改善などの
慢性効果も期待できます。

 

 

あなたの患者様でも糖尿病が疑わしい方、
いらっしゃると思います。

そのような方に、
「最後に飲食したのはいつですか??」
と聞いて、血糖値測定ができれば
より詳しく状態を把握できると思います。

しかし、そうでなくても、
問診などで糖尿病について伺う際に、
「最近、食後にイライラしたり眠くなったり
していないですか??」と自覚症状を聞いてみたり
することで、何か分かるかもしれません。

自身が気づいていない全身の状態を、
あなたが気づき、
改善のアドバイスをもらえたら、
こんなに嬉しいことはないですよね。

参考資料:糖尿病ネットワーク
「血糖コントロールが改善しない原因は“食後高血糖”かもしれない」
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2013/020929.php