「チーム医療」と聞くと、大学病院や
それと同等レベルの大きな病院が
一人の患者さんに対し、
あらゆる科と連携して万全の治療を行う、
というイメージがあるかもしれません。

しかしチーム医療は医療だけでなく、
歯科医療、特に予防歯科においても
大変重要な意味を持つのではないでしょうか。

今回はチーム医療と予防歯科について
考えてみました。

■歯科治療もチームワークが大切

私は仕事柄、
色々な歯科医院のホームページを見るのですが、
予防治療に力を入れている歯科医院は
歯科医師を中心に、歯科衛生士、助手、受付が
一体となったチームワークが良い医科医院、
という印象を持ちます。

インプラントに特化した
実績の高い歯科医院なども
特にそういった印象があります。

ひとりの患者さんに対し
最も効果が得られる治療方針の立案から治療、
その後のケアに至るまで、スタッフ全員が
真摯に向き合っていることが特色です。

これは予防治療においても非常に重要なことです。

電話応対から始まるチーム医療は
治療だけでなく、スタッフ一丸となって
患者さんの歯の健康を支えることは、
患者さんの体の健康を守ることに
大きく貢献することになります。

■ホームページは便利だけど・・・?

予防歯科の概念は「歯の健康を守るため、
定期検診などを受診することで
虫歯や歯周病などのトラブルから予防すること」です。

しかし、
予防歯科の認識は一般的にそれほど高くなく、
メンテナンスの案内を出しても
一向に連絡がない患者さんは
まだまだ多いということが現状です。

そうではありませんか?

特に中高年から高齢層は
予防歯科の認識度が低く
「予防歯科?それは何?」と思うのも
無理はありません。

この年齢層はまさに
「歯の調子が悪いから歯医者に行こうか」
という考えの方が多いのは事実です。

「歯を大切にしなければ」
という心構えがある人か、
「もうあんな痛い目に合うのは勘弁」と
思う人でない限り、
なかなか自ら歯科医院へ通おうとは
思わないでしょう。

その理由のひとつに、
「若い人のようにパソコンやスマートフォンなどで
歯科医院のホームページを
わざわざ見ることがないから」
ということが考えられます。

どんなに
・治療実績が高くても
・衛生環境が素晴らしくても
・そして予防治療を推進していても

ホームページを目にすることがなければ
伝わることはありません。

高齢層の中でも
パソコンを触ることが好きで
検索などにも慣れている人は
歯科医院のホームページを見て、
その医院の特徴などの情報を
得ることができます。

しかし見ることがない、
あるいはパソコンなどを操作できないため
見ることができない患者さんにとっては、
どれほど優れたホームページであっても
知ってもらうことができません。

ホームページはとても便利で
集患するために必要なツールです。

しかし、見てもらうことがなければ
ただの飾りでしかなくなってしまうわけです。

■スタッフ一丸となり、患者さんをサポートして来院を促す

ではどうすればあらゆる年齢層の患者さんを
予防治療へ導くことができるのでしょうか。

ここで重要となるのは、
「現場でのナマの声とチームワーク」です。

治療や施術を行うのは
歯科医師、歯科衛生士の仕事です。

しかし、それ以外のスタッフは
患者さんを予防治療に誘導する
という大きな仕事が待っています。

特にTCがいない歯科医院の受付は、
受付スタッフが予防歯科への架け橋的な
存在となります。

『お疲れ様でした。
今日で治療は終わりましたが、
次は歯の健康を守るための定期検診のご案内を
差し上げます。
歯の健康のためにも是非起こし下さい』と
治療を終えた患者さんを定期検診に導くような
声かけを行うと、患者さんの中で「定期検診」
という4文字が残りやすいでしょう。

新人スタッフは
なかなか慣れないかもしれません。

しかし患者さんからすると、
新人もベテランも同じです。

新人スタッフが応対する際は、
ベテランがフォローしてあげることで
新人の意識も芽生えることでしょう。

ただ会計と次の予約を取るだけではなく、
患者さんを定期検診の来院に繋がるような
声かけをすることがひとつのポイントです。

■名前を呼んでいますか?

そして患者さんを予防治療に誘導するための
もうひとつのポイントは、「名前を呼ぶこと」です。

患者さんとの会話時、説明時に
患者さんの名前を入れて説明してみましょう。

ただ単に予防治療の案内や内容の説明をするだけでなく、
「〇〇様(さん)、お疲れさまでした」などと
患者さんの名前を口にすると、
実は非常に喜ばれます。

その後説明を行う際にも名前を入れることを
意識するようにしてみて下さい。

特に受付は意識して名前を呼ぶようにして下さい。

患者さんが来院した時も、
「○○さんこんにちは」
と出迎えることで
「自分の名前を覚えてくれているんだ」と思われ、
心象も良いものになります。

ホームページを見てもらえることは
来院への大きな足掛かりになり、
とても有効手段となります。

しかしホームページを持っていない歯科医院や、
患者さんの年齢層によってはホームページの効果は
ゼロになってしまいます。

予防歯科への来院を促すためには、
スタッフによるチーム医療が威力を発揮し、
「ここの歯医者さんは、スタッフ全員が
ちゃんと自分を見てくれている」という思いを
抱いてもらうよう、努力する必要があります。

その努力が実れば、
定期検診への来院へと繋がる大きなきっかけに
なるのではないでしょうか。

追伸
名前を呼ぶことは、今からでも簡単にできます。
特別なトレーニングも必要ありません。
これだけで患者さんとの信頼関係は
大きく前進できるものです。