「雑用」と聞くと皆さんはどんな印象を受けますか?
めんどくさい、やりたくない、手間がかかる・・・
なんとなくネガティブな印象でしょうか。
そうはいっても、やらなければいけないこともありますよね。
それを解消する簡単な方法があるんです!

経営や診療に集中したいのに雑用が多すぎる。
そう感じる院長先生は少なくありません。
また、院長先生も人間ですから
「やりたくない、苦手だ」
と感じる仕事もあるでしょう。

そのような仕事は
取り組んでいるうちに時間ばかりが経過し
院長でないとできない重要なこと
たとえば、
難症例の検討や,資金計画・・・
そんなことに取り組む時間を奪ってしまいがちです。

そしてまずいことに、
やる気まで削いでしまうことがあるのが困りもの。

「これがなければ○○ができるのに…。」

そう感じるのであれば、
日常のさまざまなこまごまとした用事(雑務)を
専門にこなしてくれる専門のスタッフを
思い切って雇うのも一つの手かも知れません。

ケース:ちょっとしたお付き合いのつもりが・・・(A院長の場合)

ある歯科医院のA院長は、
患者さんの紹介でRクラブに入会することになりました。
この患者さんは全顎的な治療をA院長に任せ,
全幅の信頼を寄せています。
所属のRクラブには歯科医師はおらず、
「入会のあかつきには紹介したい人がいる」
と熱心に勧められたのです。

少し手間ではあるけれど、
「これもお付き合いのうちだろう」
とA院長は考えて入会することにしました。

入会してしばらくたった頃、
A院長の奥さんがFAXを持ってきました。
Rクラブの会合への出欠を問うFAXのようです。

奥さん「これ、返事しなくちゃならないみたいなんだけど、
    どうしたらいいの?」
A院長「どうって・・・
    予定が空いているところに、
    適当に入れておいてくれればいいよ。」
奥さん「診療時間内のことは
    予約表を確認しないとわからないわ。」
A院長「じゃあ、悪いんだけど
    受付で予約表を確認しておいてくれないか?」

よくある会話のようです。
奥さんはA院長にいわれたとおり
予約表を確認し、会合への出席の連絡をしました。

そして会合前日、
A院長は翌日の予定を確認していると
Rクラブの会合と市の3歳児検診が
重なっていることに気づきます・・・

3歳児検診のために空けておいた予約枠を
奥さんは「診療の予定が空いている」と見なし、
会合を入れてしまったようでした。

市の検診は地域の歯科医師としての仕事ですから
行かなければなりません。
A院長は止む無くRクラブの事務局へ連絡し、
会合への参加をキャンセルしました。
しかし会合の前日であり、
すでに料理などの予約しているため、
キャンセルはできるが参加料が必要ですと
事務局から回答され、
何となく士気が下がる心地です。

さらに別の日には、
診療後にA院長が携帯電話をすると
何件も着信が入っています。
Rクラブの事務局からの着信のようでした。
折り返そうとしますが、
事務局はもう業務を終了している時間です。
留守番電話にも伝言がなく、
FAXやメールを確認しましたが
何も届いてはいません。
何の用だったのかと気にはなるのですが
これでは確認するすべがありません。
なんだか、もやもやしてしまいました。

苦手なことは人に任せる

A院長は元々スケジュール管理が苦手です。
歯科医師業務に関する予定の管理は
受付とチーフに頼っています。
一方、個人的な予定は自分で管理し、
セミナーや学会などの宿泊を伴う予定は
奥さんにも伝えて共有しています。

Rクラブの予定は、
長期的に見れば医院のためではあるけれど、
現時点では私的な予定に属するもの・・・

ひとつの予定を入れるために、
一体何人に連絡しなければならないのか・・・
A院長は考えただけで気が滅入ります。

「そうだ!全ての予定を一元管理しよう。」
とWebカレンダーの活用を思いつきますが、
入力が面倒で挫折する始末。

悶々と考えた末にA院長が思いついたのは…。

「予定を管理する人を雇おう。」

A院長の発案に対して、
もちろん奥さんは反対しました。
Rクラブの会費や会合への参加費
それに加えて人件費まで・・・

コストパフォーマンスが悪すぎる。
「それなら,Rクラブを退会すればいいじゃない!」
とまで言いました。

しかし,反対を押し切って
新規スタッフを採用した結果は
”大正解“

新しく採用されたスタッフが
A院長専用の窓口になったことで、
奥さんは予約表を頻繁に確認する煩雑さから
解放されました。

A院長個人の予定と診療予約が混在して
見づらかった予約表もスッキリ。
そして何よりも、
苦手で面倒なスケジュール管理から解放された
A院長は気持ちもスッキリし、必要な業務にのぞめます。

「雑用」は実は重要な仕事である

今回のケースでは
院長個人のスケジュール管理という仕事について
考えてみました。

しかし医院単位で考えると
「面倒」とか、「皆がやりたがらない」雑用って
けっこう思い当たりませんか?

例えば,
スタッフルームやスタッフ用トイレの掃除など
誰がやってもいいけど、
忙しいときは誰かやっておいてよ!
と思ったりしますよね?

「いやいや,雑用は雑用。
そんな求人を出しても応募者は来ないだろう・・・」

そう考える先生もいらっしゃるかもしれません。

しかし雑用は雑然としたことが
多くあるから雑用なのです。
集めて分類して専門職たりえそうな職種名をつければ、
立派な仕事になります。

掃除が主な内容であれば「クリーンスタッフ」
件のA院長は「院長秘書」として求人を出したそうですよ。

開業医の院長先生は、
地域の頼れる歯科医師であると同時に
「経営者」でもあります。

苦手なこと、院長先生がやらなくても良いことは、
得意な人に任せてしまい、
院長先生にしかできないことに集中しませんか?

これにより「予防歯科」への取組みの
スピードにも拍車がかかることでしょう。

ヘルスケアチーム コーディネーターmyより