「生活習慣病」といわれてあなたはどんな病気を連想しますか?
高血圧症、糖尿病、高脂血症・・・
さまざまな病気がありますよね。

では、「虫歯」や「歯周病」も生活習慣病です!
はっきりとあなたの患者さんに説明していますか?

説明していないあなたは損しているかも知れません。

例えば人間ドッグや健康診断で
高血圧症や糖尿病にかかっている、
もしくはその予備軍であると言われたら・・・

塩分や糖分の摂り過ぎなどを見直して食生活を改善しようとしたり、
ウォーキングを始めてみたり、
という人は多いでしょう。

一方、虫歯や歯周病は…?
虫歯や歯周病も細菌感染症であると同時に「生活習慣病」です。

ですがそれを知っている(認識している)日本人は
今どれくらいいるでしょう?

そして他の生活習慣病と同じように
虫歯も歯周病も予防できる病気であるということを
どれくらいの患者さんが知っているでしょうか。

正しい知識が提供できていないことにより、
いまだに多くの日本人が
虫歯や歯周病に「なって当たり前」
と思っていないでしょうか。

予防歯科を成功させるためには、
虫歯や歯周病の病因論を
医療を提供する側である私達だけでなく
患者さんも知っておくべきだと思います。

実際に患者さんに説明した時に反応がよかった説明のポイントを
虫歯編と歯周病編の2つに分けてお伝えしましょう。

説明のコツ①:虫歯 編

病因論といっても、患者さんに説明をする時には
難しい専門用語や細かいメカニズムは不要です。
豊富な知識があれば、
患者さんにとって分かりやすい言葉で簡潔に
説明することができるはずです。

一言でいうと虫歯は、
「虫歯菌が出す酸で歯に穴があく病気」です。
その穴から神経に刺激が届くと痛みが出るのです。

患者さんに説明する時にはこのように簡潔な一文
かまいません。
詳しく伝えようとするあまり話が長くなってしまうと、
患者さんの集中力が続かず聞いてもらえなくなるからです。
そして虫歯の原因やリスクとなるものを伝えることが
大事です。

虫歯といえば、虫歯菌の量が多いと罹患するという
イメージが強いと思います。
しかしそれ以外にも、

  • 食生活
  • 唾液の量や抵抗力

などがリスクになること、
そして生活習慣を変えてリスクを改善すれば、
虫歯は必ず・確実に予防できることを
はっきりと言い切ってしまいましょう!

これまで予防歯科にかかったことのない患者さんは、
虫歯治療が済んだ=虫歯が治った
と思っている人も少なくありません。

本当のところは、
虫歯治療をしても虫歯が治ったことにはなりません。
削った歯が元通りになることも二度とありません。
削った穴に人工の被せ物をして修理しているだけなのです。

お金と時間をかけて修理をしても
虫歯のリスクが取り除けていなければ、
当然いつかまた虫歯ができてしまいます。
本心からそれを望んでいる患者さんはいません。

知識がないために、
「虫歯治療をすればもう大丈夫だろう」
と思ってしまうのです。

虫歯治療と虫歯予防は全くの別物。

虫歯治療をしても
虫歯の原因を取り去ったことにはならない。
この事実を伝えるだけで、
歯に対する意識が大きく変わった患者さんを
私は大勢みてきました。

説明のコツ②:歯周病 編

歯周病は初期に自覚症状が出にくいため、
痛みという分かりやすい症状が出る虫歯に比べて
「あなたは歯周病です」と言っても
ピンとこない患者さんが少なくありません。

歯周病について説明する前に
まず患者さんに
「歯周病という言葉は聞いたことがありますか?」
「どんな病気かご存知ですか?」
と聞いてみてください。

そのリアクションから患者さんの歯周病についての認識を
読み取れるはずです。

歯周病は虫歯と違って歯そのものの病気ではありません。
「歯を支えている歯茎と骨の病気」です。
歯周病の原因菌が出す毒素で
最初は歯茎の出血や腫れという症状から始まり、
重症化すると歯を支えている骨が溶けていきます。

この骨吸収が進むということ、
溶けた骨は基本的に元に戻らないということ、
はっきりとした自覚症状が出る頃には
重度まで進行していることが多いということ
を伝えるのが、歯周病の怖さを伝えるポイントです。

よくCMなどで耳にする
「歯茎がやせる」とか
「歯茎が下がって歯が長くなる」という状態は、
歯肉そのものが減っているというより
歯槽骨が溶けて無くなっているのだ、
と患者さんに説明すると、イメージしやすいようです。

自覚症状が出にくい分、初診時に撮影したパノラマを使って
患者さんの骨吸収の現状を確実に伝えましょう。
私はよく
「本来はここまで骨があるけど、今はここです」と
ラインを引いて見せていました。

それから私の経験上、
歯肉からの出血を甘く考えている患者さんが多い!!
ということも声を大にして言いたい。

「歯磨きの時強く磨きすぎたらそりゃあ血も出るでしょ」
くらいに思っている人が少なくありません。

そんな時にはよくこんな話をしていました。
「歯茎も皮膚です。
例えば手の甲の健康的な肌を歯ブラシでこすった時に血が出ますか?
それくらいで血が出たらびっくりしますよね。
あなたの歯茎はそういう状態なんです。」と・・・

虫歯も歯周病も怖い病気。だけど必ず予防できる!

予防歯科ではたくさんの検査をします。
ですがまず虫歯や歯周病がどのような病気であるかを
患者さんに理解してもらえていなければ、
その検査結果の本当の意味が伝わらないと私は思っています。

ただそれだけでは患者さんを怖がらせるだけで
終わってしまうかもしれません。
中には病状を伝えるほどネガティブになってしまう人もいますし、
どんなに説明しても危機感がまるでない人もいるので
患者さんに合わせたさじ加減が難しいところです。

病気のメカニズムが明確に分かっているということは、
虫歯も歯周病も確実に予防できる病気であるということ。
それをしっかり伝えることが患者さんの意欲を支えます。

そして大まかにでも
歯周病や虫歯について理解をしてもらえた時、
歯磨きの上達や食生活の改善といった患者さんの行動が
変わってくるのです。

みなさんも虫歯と歯周病について自分の知識をフル活用し、
どうすればその病気を簡潔に分かりやすく
患者さんに伝えることができるか、
考えてみてください。

そして是非毎日のお仕事で試してみてくださいね!
患者さんの嬉しい反応が待っているはずです。

オーラルヘルスケアチーム 歯科TC Nより