
専門用語を避け、図やレントゲンを使って
丁寧に説明しているはずなのに、
なぜか患者さんに響いていない気がする…。
そんな手ごたえのなさにお悩みの院長先生に向け、
患者さんの心理的背景から考える
コミュニケーションのヒントについて紹介します。
専門用語を使っていないのに伝わらない理由
院長先生は、日々の診療においてインフォームド・
コンセントを意識していることと思います。
患者さんへの説明では、難しい専門用語を
平易な言葉に置き換え、口腔内写真やレントゲン、
図解などを駆使して「分かりやすさ」を
追求していることでしょう。
しかし、どれほど噛み砕いた説明をしても、
患者さんの反応がどこか他人事であったり、
「とりあえず一番安いのでいいです」
と即答されたりと、伝わっている手応えが
得られにくいと感じる瞬間はありませんか?
こうした患者さんの発言の背景には、
分かりやすさだけでは埋められない、
根本的な意識の溝があります。
患者さんが「治るなら何でもいい」という受け身の
スタンスでいる場合、説明の内容や選択肢の重要性
が十分に意識されにくくなる傾向があります。
このすれ違いを解消するためには、
情報の伝え方を見直すのではなく、
患者さんの医療に対する捉え方そのものに
目を向けたアプローチが必要となるでしょう。
「医療=医師にお任せするもの」と感じている人は多い
多くの患者さんにとって、病院とは具合が
悪くなったら受診し、医師の指示に従って治して
もらうものという認識が根強く残っています。
特に、内科や皮膚科など保険診療が中心の
診療科では、治療内容や選択肢が比較的定型化
されているケースも多く、
医師主導で診療が進む場面が多い傾向があります。
そのため、歯科医院で急に
「自費診療と保険診療のどちらを選びますか?」
「将来を見据えてどのような治療方針を
立てましょうか?」と主体的な選択を
求められることに、戸惑いを感じる
患者さんは少なくありません。
「専門的なことは分からないから、
保険の治療を選んでおけばいいかな…」
「とりあえず痛みがなくなればなんでもいい」
このような反応の背景には、これまでの医療体験の
中で『自ら納得して選ぶ』経験が少なかったことが
一因として考えられるでしょう。
患者さんと話す時間を十分に設ける
近年、院内にカウンセリングルームを設置し、
患者さんとしっかり対話する時間を設ける
医院が増えてきています。
ユニットに座った状態での会話では、
治療の“合間”という印象が強く、
患者さん側としても「いいから早く治療して」
という意識が出てしまいます。
一方、カウンセリングルームという落ち着いた
空間に移動することで、歯科医師や歯科衛生士が
患者さんと同じ目線で向き合う
“対話” がしやすくなります。
歯科医師による医学的な診断に、歯科衛生士が
生活背景を考慮したフォローアップを加えながら
親身になって話をすることで、患者さんも自身の
口内環境を自分事として捉えやすくなるでしょう。
丁寧に話す時間を設けることで、患者さん側の
考えを知ることにもつながり、
お互いの信頼関係の構築や長期的な
付き合いにもつなげていけるはずです。
まとめ
説明が伝わらない背景には、言葉の難しさ以上に、
患者さんの『治療してくれれば何でもいい』という
受け身意識が影響しているケースもあります。
患者さんが主体的に治療を考える「場」と「時間」
を提供してみることは、歯や口の健康に対する
意識を高め、結果として定期検診の定着や
自費率の向上にも影響してくるでしょう。


















