「メール応対」は、歯科医院業務の穴になりがちです。
相手との信頼関係をつくるためには、
メール応対は避けて通れません。

例えば、
●採用活動における問合せに対するメール返信
●ホームページに来る見込み患者からの問い合わせ
●通院中の患者への連絡手段としてのメール

様々な用途でメールを活用する機会があります。

電話は、「速い」「確実」という利点が、
歯科医院という業務形態にピッタリですね。
メールと電話なら、電話に軍配を上げる先生が
ほとんどではないでしょうか?

だから、
電話応対はできても、メールはちょっと自信が無い、
というスタッフは実は多いものです。

「作文が苦手」というのが主な理由です。
院長も期待をあまりしていないように見受けられる
こともしばしば…。

しかし、
「電話する時間が取れない」「電話は苦手」な人は
一定数存在します。

最近では、求人活動にも積極活用している
医院が増えてきています。
何度でも、好きな時に読み返すことができるので、
検討・判断の材料として重宝するんだそうです。

メールは、見込み患者や応募見込者を
来院へとつなげるのに有効です。
記録に残る、電話のように相手を拘束しない、
というのもメールの大きな利点です。

メール作成や応対にもある程度決まった方法があり、
これを押さえれば誰にでも書けます。

今回は、
「歯科医院スタッフに身につけてほしいメール術」
について解説します。

メールは目で読むものだと意識する

初めに身につけてほしいのは、
メールは目で読むもの、という意識です。

優先順位の一番は、目で見てわかりやすいことです。

「わかりにくい」メールとは、
1.「、」や接続詞で延々と繋いだ文章が並ぶ。
(改行なし)
2.会話口調で書いてあり、とりとめがない。

大体はこのどちらかです。
わかりにくいという点ではどちらも同じです。

よりマズいのは1の方で、
一方的な印象を与えてしまいます。

こういったメールの返信は遅いもの…。
一方的な印象が返信のモチベーションを大いに下げる
ためです。

なので、
●一文の文字数=30字程度
(一つの文につき一つの情報、が理想です。)
●内容のまとまりで改行する
●箇条書きを活用する
(時系列でまとめたい時は、これがいいです)

これらを心がけて、
目と頭に優しいメールを作成しようと
意識してみてください。

Word(ワード)など、
文字カウント機能が付いたソフトで下書きをすると、
感覚を掴めます。

忘れがちなもの…宛名、メール作成者名、そして件名

うっかり忘れがちなもの、それが3つの「名」です。

宛名「誰に読んで欲しいのか」

宛名がなければ、
相手は「本当に自分宛のメールなのか?」
と思うでしょう。

そのような気持ちで読むメールの内容は、
どこか他人事に響きます。
最悪、「関係ないもの」として、
読まずに削除されてしまいます。

初めて送る際には、
「会社名(歯科医院の名称)+役職+氏名」様
が基本です。

歯科医院の名称は、院長の名字が頭に付いている
ことが多いですよね。
だから、姓だけなく名を付ける方がいいでしょう。

「▲歯科医院 院長先生」という宛名を
見かけることがあります。
これは不特定多数に宛てたような印象を与えます。
止めておきましょう。

メール作成者名

「お世話になります」、「こんにちは」、
初めてであれば「初めまして」など、
最低限の挨拶の後に、
「歯科医院名+自分の氏名」を入れて、名乗ります。

名乗ることをためらうスタッフがまれにいますが、
文章に自信が無いだけで、責任逃れがしたいわけでは
ないようです。

自信が無いと感じているようなら、
「名字だけ書いておいて」と言ってあげましょう。
幾分気楽に感じてくれるようですよ。

件名

件名は最も忘れがちであるとともに、
実は最も重要です。

なぜなら、
受信者は件名で「いつ処理するか」を決めている
からです。

早い返答を求めるのであれば、絶対に書きましょう。
メールを開かなくても内容が想像できるのが理想です。

件名に「こんにちは」「突然失礼します」は、
読む優先順位を下げますので気を付けて。

問合せへの返信はどのようにすればいい?

相手が何を知りたいか、を想像して書くことが大事です。

受け取ったメールの内容や印象を踏まえて、
「こんなことが知りたいのでは?」
ということを書き出してもらい、
院長や先輩に質問させるといいでしょう。

回答をメールに起こしているうちに、
勉強までできてしまいます。
新人スタッフに問合せの返信を考えさせる、
という研修を行う医院もあるようです。

たかがメール、されどメール

まとめると、こうなります。
●メールは目でみてわかりやすく
●3つの「名」を付ける
●相手(読み手)の状況・立場を想像して書く

歯科医院では連絡手段の中心が電話であるため、
メール応対は軽視されがちです。

けれど、外部の窓口という点では変わりはなく、
できれば医院の好感度はきちんと上がります。

LINEやFacebookメッセンジャーを
連絡手段として取り入れる歯科医院が増えていますが、
ビジネスシーンでの主流は依然としてメールです。

今までの電話応対に加え、
メールでの応対もできることが必要でしょう。

基本的なビジネスマナーを押さえることが、
相手との信頼関係をつくる第1歩になります。

「一般常識の教育がきちんとなされている」
という印象は、歯科医院の信頼感を高め、
説明に説得力を付加するでしょう。

見落としがちなメール応対。
予防歯科を強化する医院経営を実現させるためには
必要なことなのです。