歯科医院が成長していくためには、医院で働く
スタッフにも成長してもらわなければなりません。

歯科衛生士や歯科助手に成長してもらうために、
スタッフそれぞれに目標をたてて頑張ってもらおうと
考える方は多いのではないでしょうか。

ですがその目標、効果を出すことができていますか?

目標をたてたままになってしまったり、
たてた目標がその後の行動につながっているかが
分からなくなったりしていませんか?

今回は、目標をたてる時に気をつけておきたい
5つのことについてお話したいと思います。

① 目標でなくスローガンになっていないか?

はじめに分かっておきたいことは、
歯科医院に勤めるスタッフはふつう、
目標のたて方を知らないことが多いということです。

自分に合った個人目標をたてましょう、
というと、知識がない限り
「○○を頑張る!」
「××に気を付ける!」
といったものになってしまいがちです。

これでは目標というよりスローガンです。
目標のたて方、なんていうことは、
歯科衛生士学校では教わらないので無理もありません。

個人目標をそのままスタッフ本人に丸投げしても、
うまくいかないことがよくあります。

個人目標をたててもらう前に、
一度全員に目標のたて方を教えておきましょう。

② 目標よりも目的が大事

目標をたてる前に、目標以上に大事なことがあります。
それは目的です。

目的とは、「何のために」その目標に取り組むのか
ということです。

目的は、スタッフが頑張って目標を達成するための
エンジン、モチベーションになります。

テレビでスポーツ選手がこんなことを語っているのを
みたことがありませんか?

「オリンピックで優勝をして子供たちに夢を与えたい」
「自分の頑張る姿を見せて地震で被害を受けた地元を勇気づけたい」
これこそが目的です。

目的のない目標は、
何に向けて頑張っているかが分からない状態になります。

ゴールが見えないまま「全力で走れ」と言われているようなものです。

目的は立派なものでなくてもかまいません。
スタッフ個人が歯科医院どんな働き方をしたいか、
どんな衛生士になりたいか、
また仕事と家庭の理想的なバランスのとり方は?
そのような身近なことで理想を考えていくと
分かりやすいと思います。

歯科医院としてもスタッフにどんな人間になってほしいか、
歯科医院でどんな働き方をしてほしいか、
今一度考えてみて下さい。

③ 目標は数字で明確に

目標をたてるときには、
必ず数字を入れるようにします。

数値化されていないと、
目標達成されたかどうかの判断ができないからです。

クリアできたかどうか判断しづらい目標は、
取り組みがおろそかになりがちです。

一方達成できたかどうかはっきり分かる目標なら、
クリアできたときにモチベーションが上がり、
できなかったときにはきちんと反省することができます。

例をあげてみましょう。

「スピードアップを意識する」
「シャープニングを頑張る」
「患者さんに分かりやすい話し方をする」

どの目標も、掲げている項目そのものは良くても、
これが達成できたかどうかは個人の主観と裁量にゆだねられています。

同じ目標を数値化すると、このようになります。

「インレー調整にかかる時間を○分短縮する」
「毎日○本シャープニングする」
「患者さんに分かりやすい話し方ができているか、
1日1回●●さんに聞いてもらってアドバイスをもらう」

これなら目標が明確かつ具体的になります。
目標が達成できたかどうかを判断しやすいだけでなく、
スタッフ本人も毎日目標に向かった行動をとりやすくなります。

④ 大きな目標から毎日の目標に落とし込む

個人目標をたてるときには、大きな目標から毎日の目標まで
計算して落とし込んでいきます。

単純計算すると、
年間目標を12で割ったものが月間目標、
さらにそれを30(もしくは診療日数)で割ったものが
毎日の目標になります。

単純計算できないものでも、
年間から逆算した進捗度を、
月間目標や毎日の目標に取り入れていきます。

例えば新人衛生士の目標をたてるとき、
1年後の到達目標をまず設定します。

入社から1か月後には一人で歯科医師のアシスタント業務を
できるようになる、
3か月後には一人で印象採得ができるようになる、など、
個人の能力と歯科医院の求める成長スピードに合わせた目標を
設定していくのです。

そして最後に、
それなら毎日○回印象採得の練習をする、という風に、
具体的な数値目標に落とし込んでいけば、
デイリーの目標が完成します。

毎日の目標から大きい目標を計算するのではなく、
理想的な成長スピードに合わせて大きな目標から
逆算して毎日の目標をたてるのがポイントです。

大事なのは、個人の能力に合わせて
「少し頑張ればクリアできる」目標にすること。

簡単にクリアできるようでは、成長につながりません。
かといって身の丈よりも高すぎる目標をたててしまうと、
目標に取り組むのが辛くなったり、クリアできない日が
続いてモチベーションが続かなくなったりしてしまいます。

どちらにも傾かないよう、
「今はできていないけれど意識をすればできる」位のものにすれば、
目標をクリアしていく達成感と、医院が求めている成長スピードの
両方を叶えることができやすくなります。

⑤ 目標に対する反省と見守る空気が大事

これらを全部取り入れた目標をたてようとすると、
それだけでもかなり時間と頭を使うことが分かると思います。
目標とは決して気軽に立てられるものではありません。

だからこそ、スタッフが自分でたてた目標は、
先輩にあたるスタッフや歯科医師、院長が必ずチェックを
してあげてほしいと思います。

そのとき、ここでご紹介したポイントが生かせているかを
みてあげてください。

そして目標をたてたからには、
毎日それに合わせて行動に移すこと、
それを振り返って評価することが大事です。

たてた目標がクリアできたか、
できていなければその原因は何か、解決策はあるか、
クリアできたのなら次はどうレベルアップするか。

スタッフが自分で考えることも大事ですが、
それを見守る人が必ず必要です。

目標がクリアできるかどうかは個人の頑張りが
大きいように思われますが、周りのそれを応援する空気や、
みんなが自分の目標に取り組んでいる雰囲気が
それぞれの目標に向かって前向きな影響を与えます。

それぞれの個人目標を歯科医院全体で共有して、
全員で上に向かって成長していきましょう。

そうすれば、歯科医院そのものが良いチームに
成長していけるはずです。

ヘルスケアチーム 歯科TC Nより