毎月一定数の新規患者さんが来院されますが、
他院で治療中の患者さんや、以前まで違う
歯科医院でメインテナンスに通っていた患者さんが
来院されることがあります。

引越しなどが理由でない場合、前の歯科医院の
治療やメインテナンスに不満があって
転院していることが多いです。

セカンドオピニオンで受診される
患者さんもいます。

そういった患者さんが来た場合、どういう対応を
すべきなのか、セカンドオピニオンを通じて
改めて自分の歯科医院のあり方ついても
見つめ直すきっかけにもなります。

今回は転院の理由とセカンドオピニオンからみる、
歯科医院のあり方について解説していきます。

患者さんが転院する理由

引越しなどの理由による転院の場合は、問題はない
のですが、それ以外で転院してきた患者さんは、
・歯科医師への不信感
・治療方針の相違
といった理由です。

治療方針の相違で多いのは、「抜歯」です。

本当に抜歯が必要なのか?
セカンドオピニオンの意見を聞きたくて、
別の歯科医院を受診することが多いです。

その場合は、前医がどうしてその判断をしたのか、
当院でも抜歯を踏まえた治療をするのか、それとも
保存療法が可能なのか、説明する必要があります。

一方で、歯科医師の治療に不信感を持って転院する
患者さんの場合は注意が必要です。

前医が一方的に横暴な態度をとっているような
ケースでは、歯科医師側に問題がありますが、
自分の意見しか主張しないような患者さんは、
最大限できる治療を提供しても、
治療後に不信感が残ってしまうことがあります。

転院される理由はさまざまですが、転院された
理由をしっかりと把握し、患者さんの状態、性格的
な問題をしっかりと見極める必要があります。

セカンドオピニオンのポイント

セカンドオピニオンを受け入れるときに
気をつけるべきポイントが3つあります。

患者さんの話を聴く

まずは患者さんの話をしっかりと聞きましょう。

いきなり歯科医師が1から10まで
聞いてしまうと、前医の不満ばかり聞く可能性も
あるため、先に歯科助手や歯科衛生士が転院した
理由をある程度、簡潔にしてまとめて歯科医師に
報告しましょう。

理由もなく転院してくる患者さんはいないので、
前の治療でどんな不満があったのか、
把握しましょう。

口腔内の状態を入念に把握する

患者さんの不満を聞いたうえで、
口腔内の状態をしっかりと把握しましょう。

患者さんの不満の話ばかりだと、
前医が完全に悪いように思ってしまいがちです。

ですが、あきらかにプラークが多く、清掃状態の
悪い口腔内ではCR充填はすぐにとれますし、
歯肉の腫脹が治まるわけがありません。

また、義歯の適応なのに、必要にブリッジを
希望した場合、すぐに脱離します。

そういった歯の状況も診察とレントゲン写真で
総合的に判断し、患者さんの主観だけでなく、
客観的なデータをしっかりと把握しましょう。

前医の治療を全否定しない

明らかに不十分といえる治療ケースもありますが、
口腔内の状況によっては前医が全て悪いという
ケースが限られてきます。

前医の診断や治療法を否定することは、
患者さんを不安にさせたり、
混乱させたりする可能性があります。

また、歯科医師同士の信頼関係を損なうことにも
繋がりかねません。

ですから、現在の症状や検査結果などを
踏まえた上で総合的に判断し、
必要な治療の選択肢を提供しましょう。

セカンドオピニオンを通じて
歯科医院のあり方を歯科医院全体で考える

セカンドオピニオンを通じて、
歯科医院としてはその患者さんにとっての最善策を
提案するとともに、今の歯科医院のあり方を
見直すきっかけにしましょう。

歯科医院への不信感のせいで、転院してきたので
あれば、受付や診療スタッフ、そして歯科医師の
診療態度やカウンセリングに不備がなかったか
見直すきっかけになります。

不信感といっても、リスクの高い治療後に痛みが
でやすいケースでは、事前の説明によって
患者さんの印象は大きく変わります。

説明の不備はないか?接し方に問題はないか?
しっかりとスタッフと一緒に普段の診療を
振り返りましょう。

その一方で、コンプライアンスの悪い患者さんは、
自身のせいで口腔内状況が悪化している
こともあります。

転院を繰り返す患者さんの中には、
自身のセルフケアに問題があることもあります。

そういった場合は、セルフケアの重要性、
メインテナンスの重要性をしっかりと伝えて、
きちんと通院しないと治らないことを事前に
説明しておくことで、治療中、その後の
トラブル回避にもつながります。

セカンドオピニオンはとても難しい問題です。

だからこそ、歯科医院として改めて見直す
きっかけにしましょう。