大手医療法人の歯科医院では
歯科衛生士の担当制度を導入しているところも
あるようです。

歯科衛生士自体の
モチベーションも上がりやすいため
担当制にすべきだ、
と考えている医院もあるのではないでしょうか。

しかし、本当に歯科衛生士担当制は
メリットばかりなのでしょうか。

メリットばかりではない、
担当制の落とし穴について
詳しく解説していきます。

担当制のメリット

担当制にした場合、
実際にはどんなメリットがあるのか、
まずは主なメリットを整理して
説明できればと思います。

歯科衛生士のモチベーションアップ

歯科衛生士担当性の導入のメリットは
歯科衛生士のモチベーションアップ
と言われています。

一人の患者さんを継続して
担当することになりますので、
病状の改善を患者さんとともに
体感できるのではないでしょうか。

例えば、
患者さんが当初歯周病重度であった際
担当歯科衛生士と二人三脚で
T B I、プロフェッショナルケアを
定期的に実践してくことで
健康な状態へ変化していくはずです。

この大きな変化は歯科衛生士の仕事として
大きなモチベーションアップに
つながるのではないでしょうか。

これは矯正歯科でも同様のことが、
いわれています。

歯並びに大きな変化があるので、
担当制の方が患者さんと一緒に
治療のモチベーションを
あげることができるのではないでしょうか。

やりがいはもちろん、
仕事としての達成感も実感できるのが
歯科衛生士担当性の大きなメリットかと思います。

リコール率のアップ

歯科衛生士担当制では
リコールを上げることができるかもしれません。

なぜなら、毎回
同じ歯科衛生士に担当してもらえることで
患者さん自身の治療に対する
モチベーションが上がるからです。

毎回同じ歯科衛生士が担当することで、

・歯磨きに手が抜けない
・歯磨きを頑張ったら
歯科衛生士も一緒になって喜んでくれる、

といった患者さん自身のモチベーションを
維持しやすくなります。

また、担当制では信頼関係を築きやすく、
歯科衛生士さんと何気ない会話をすること自体が
歯科医院へ行くきっかけになります。

もちろん、
歯がピカピカになってスッキリするという体感も
来院動機になりますが、
何気ない話を聞いてくれる人がいるだけで
患者さんはとてもホッとするかと思います。

もちろん、歯科医院ですから雑談だけでは
よくないと思いますが、
患者さん自身の環境を把握することで
オーダーメイドの診療を
提供しやすくなるかと思います。

その結果、
患者さんが定期的に通える歯科医院となり、
リコール率の上昇につながるかもしれません。

患者さんの状態をいち早く把握できる

歯科衛生士担当性にすることで
患者さんの状態変化を
いち早く把握することができるかもしれません。

例えば口腔がんが代表的です。

毎回口腔内写真を撮影し、
口腔内の状態を記録しているのであれば、
口腔粘膜の異常にも
気づきやすくなるかと思います。

担当制でない場合、
毎回違う患者さんを担当していると、
ちょっとした変化にはどうしても気づきにくいです。

しかし、担当性にすることで
いち早くまずは歯科衛生士自身が
患者さんの異変に気づきやすく、
歯科医師にも報告しやすい体制に
なるのではないでしょうか。

患者さんの健康維持にも
歯科衛生士担当性は大きなメリットがあります。

担当性のデメリット

歯科衛生士担当性は大きなメリットがある一方で、
残念ながらデメリットもあります。

担当制を検討している歯科医の先生は
デメリットも把握しておきましょう。

・歯科衛生士間で差がでる

マニュアルを作成し、
同一の教育をしていたとしても、
歯科衛生士それぞれの個性が
あるかと思います。

どうしても担当制にすると、
指名が多い歯科衛生士と
指名が少ない歯科衛生士と
差が出てしまうことがあります。

指名が多ければいいですが、
指名が少ないとモチベーションが
低下してしまうかもしれません。

・トラブルが起きたときの対応が難しい

歯科衛生士は職業柄、
まだまだ女性スタッフだけのことが
多いかと思います。

そのため、男性患者さんから指名を受ける際に、
ハラスメントのトラブルが起きるリスクが
あるかと思います。

ですので、
そういった患者さんからのハラスメント行為が
起きた場合の対応法を事前にマニュアル化すること
大切かと思います。

担当制を導入された際には、
トラブルが起きないよう、定期的に
スタッフから今の担当患者さんとトラブルがないか
面談で確認しておくことをおすすめします。

担当性導入はスタッフ確保が最優先

歯科衛生士担当制は
メリット・デメリットを比較してから
導入することをお薦めします。

実際に、担当制を導入するのではあれば
まずはスタッフ確保を
優先したほうが良いかと思います。

スタッフを確保した上で、
歯科衛生士業務を
責任持ってできるようになった時点で
定期的に通っている患者さんから
担当してもらうようにしてみてはいかがでしょうか。

スタッフ人員が充足していなければ
担当制を実施するのは難しいかと思います。

担当制を検討している歯科医の先生は、
人材確保を行ってから
ぜひ担当制を徐々に導入してみることを
お薦めします。