以前のブログで、スタッフの成長のためには
「スタッフ自身が自分で考えること」と
「仕事を任せること」
が大事だとお話しました。
今回はスタッフが院長や歯科医師、
先輩歯科衛生士にする「質問」に焦点をあて、
「スタッフが自ら考え行動できるようになるには?」について、
もう少し深く考えてみたいと思います。
質問にはすぐ答えていい質問と答えてはいけない質問がある
日頃、院長や歯科医師、リーダー格の歯科衛生士のところには、
そのほかのスタッフが色々と質問にやってくることがあると思います。
その質問には、尋ねられた方が
すぐに答えを教えていい質問と、
そうでない質問
の2つがあることをご存知ですか?
もっと平たくいえば、
質の良い質問と悪い質問ということができるかもしれません。
すぐに答えていい質問・質の良い質問とは、
スタッフ自身がその質問の内容について
考えた上での意図ある質問です。
また、スタッフ本人では判断ができず
院長や歯科医師の判断が必要な質問もこちらに当てはまります。
すぐに答えを与えてはいけない質の悪い質問とは、
スタッフ自身がその問題について考えることなく、
ただ分からないからと答えを求める質問をさします。
これは問題を自分で解こうとせずに
解答ページをめくるようなものです。
具体的な例をあげると、
「この患者さんの次の予約は何ですか?」と聞くのは、
後者の質問です。
一方で、
「今日の内容が××だったので、次の予約は
○○で間違いないですか?」という質問は、
スタッフが聞きたいことについて一旦自分で
考えていることが分かります。
これは一例ですが、日々の診療の中で、
みなさんにもお心当たりがあるかもしれません。
スタッフがあなたにぶつけてくる質問に
「それは自分で判断してほしいな」と思ったこと、
「これくらいのことも分からないのか」と
思ったことはありませんか?
すぐに答えていけない質問が出たら、スタッフに考えさせる機会にしよう
スタッフ本人がもっと考えるべき質問が
出てきたときには、どうすればいいのでしょうか?
もちろんすぐに答えを教えてはいけません。
効果的なのは、
スタッフがしてきた質問に質問で返すことです。
「これはどうして○○なんですか?」
→「どうしてだと思う?」
「これは△△でいいですか?」
→「あなたはどう思う?」「どうしてそう思ったの?」
「次はどうしたらいいですか?」
→「あなたがしたらいいと思うことはある?」
「前までの流れを考えたら、次は何かな?」
といった具合です。
スタッフそれぞれの性格や考え方にもよりますが、
深く考えずにしてきた質問には、それ以上に
何か考えてもらえるような質問で上手に返すことができれば、
そのスタッフが自分で考える機会になります。
くれぐれも
「そんな質問をしてくるなんて、君は何も考えていない!」と
言ってしまわないように気を付けましょう。
そう言われた方は、「そんなことないのに!」と思ってしまいます。
こんなときに大事なのは、スタッフに自分で
「私、考えが足りていなかったな」と気付かせることです。
自らの気付きがあれば、
「人に聞く前に一旦自分の中で考えてみる」ということが
少しずつできるようになってくるはずです。
スタッフが自ら気付けるような環境をつくる
「今の質問は考えが足りていなかったな」と
スタッフが自分で気付くためには、
気付きを得やすいような環境をつくることも大切です。
何も情報がないまま、
ただ質問に質問で返していただけでは、
「あの先輩は聴きたいことに答えてくれない」と
感じさせてしまうおそれもあります。
歯科医院全体が、分からないことを聞けない雰囲気に
なってしまっては本末転倒なので、気をつけたいところです。
朝礼やミーティング、勉強会などの全体の場で、
自分で考えることが重要であること、
そのために、自分でもう少し考えれば答えにたどり着ける
であろう質問には簡単に答えないこと、
自分でしっかり考えてきたことが分かる質問に対しては
きちんと教えることなどを知らせておくなど、
歯科医院のスタッフ育成方針をスタッフ全員に伝えることが大事です。
そして質問を受けた方は、
聞かれたことに対して丁寧に答えてあげるようにしたいものです。
「きちんと自分で考えたり調べたりした質問には、
きちんと教えてくれる」という経験は、スタッフを勤勉にし、
先輩と後輩の信頼関係を築いてくれます。
バランスが難しいかもしれませんが、
「自分で考えていない質問は気軽に教えてくれない」
という厳しさと、「自分で分からないことには
親身になって教えてくれる」という優しさの両方を
兼ね備えた歯科医院になりたいものです。
ヘルスケアチーム 歯科TC Nより