
歯科医院を経営していると、
どうしても「今月の売上はいくらだったか」
に目が向きます。
もちろん、売上は経営の土台です。
しかし、売上が増えていても、
それ以上に人件費や材料費などが増えていれば、
利益は残りません。
患者数が多く、毎日忙しく診療しているのに、
なぜか資金に余裕がない。
そのような医院では、売上だけでなく
「生産性」を見る必要があります。
まず確認したい3つの数字
歯科医院の院長が、最低限確認したい数字は次の3つです。
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売上
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人件費率
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営業利益
人件費率は、次の式で計算します。
人件費率=人件費÷売上×100
※中小企業庁『中小企業実態調査』指標定義に準拠
歯科医院は、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、
受付など、人がいなければ成り立たない事業です。
そのため、人件費は経費の中でも
大きな割合を占めます。
売上が増えても、それに合わせて
人を増やし続ければ、
人件費率は下がらず、
忙しいのに利益が残らない医院になります。
ただし、人件費率が高いからといって、
すぐに「スタッフが多すぎる」
「人を減らそう」と考えるのは危険です。
人件費率は、人件費だけでなく
売上との関係で決まります。
同じ人件費でも、
売上が下がれば人件費率は上がります。
見るべきなのは人数ではなく、
その人数と労働時間で、
どれだけの売上をつくれているかという点です。
生産性を見る「人時売上高」
医院全体の生産性を確認するために、
分かりやすい指標が「人時売上高」です。
人時売上高=売上÷スタッフ全員の総労働時間
※中小企業庁『中小企業実態調査』指標定義に準拠
例えば、
月の売上が500万円、
院長を含めた総労働時間が1,000時間なら、
人時売上高は5,000円です。
厳密には、
粗利益や付加価値額を総労働時間で割る
「人時生産性」という指標もあります。
しかし、歯科医院で
毎月簡単に確認するなら、
まずは人時売上高を見る方が分かりやすく、
実用的です。
人時売上高が下がっている場合、
単純にスタッフが多いとは限りません。
予約枠に空きが多い、
キャンセルが多い、
診療の流れが悪い、
院長が診療以外の業務に追われているなど、
業務設計に原因があることもあります。
数字が悪いときに必要なのは、
すぐに人を減らすことではなく、
どこで時間が使われ、
どこで売上につながっていないのかを
確認することです。
歯科衛生士の力を最大限に活かす
歯科医院の生産性を考えるうえで、
特に重要なのが歯科衛生士です。
かつての歯科医院は、
院長が治療を行い、
スタッフはその補助をするという、
院長一人の生産性に依存した経営でも
成り立ちました。
しかし現在は、
人件費や材料費が上昇し、
院長一人が診療量を増やすだけでは、
利益を残しにくくなっています。
これからは、院長だけでなく、
医院全体で生産性を高める必要があります。
その中心となるのが歯科衛生士です。
歯科衛生士による歯周病治療や
継続的なメインテナンスは、
患者の口腔内の健康を守ると同時に、
医院に安定した診療枠と売上をもたらします。
リコール患者が安定すれば、
翌月以降の予約や売上も予測しやすくなり、
医院経営の安定にもつながります。
ただ歯科衛生士を雇うだけでは、
生産性は上がりません。
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メインテナンスの予約枠が安定しているか
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空き時間やキャンセルが多くないか
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次回予約につながっているか
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本来の業務に集中できる環境になっているか
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歯周病治療や継続管理の流れが院内で統一されているか
こうした仕組みを整え、
歯科衛生士が専門性を
十分に発揮できる状態をつくることが重要です。
これは歯科衛生士に
単に多くの患者を担当してもらう、
という意味ではありません。
限られた勤務時間を無駄にせず、
患者に必要な診療を適切に
提供できるようにすることです。
歯科衛生士の時間を最大限に活かすことが、
医院全体の生産性を高め、
結果として人件費率の改善にもつながります。
生産性向上は「人を減らすこと」ではない
生産性を上げるというと、
少ない人数で多くの患者を診ること
だと思われがちです。
しかし、無理に予約を詰め込み、
スタッフを疲弊させれば、
診療の質が下がり、
離職にもつながります。
本来の生産性向上とは、
同じ人数、同じ労働時間でも、
無駄な作業や空き時間を減らし、
それぞれが本来の役割に
集中できるようにすることです。
その結果として、
人時売上高が上がり、
人件費率が安定し、
営業利益が残るようになります。
売上だけを見ていても、
医院の問題は分かりません。
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売上
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人件費率
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人時売上高
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営業利益
この4つを毎月確認し、
数字が変化した理由を考える。
それが、歯科医院の経営を安定させる
第一歩です。
人を減らすのではなく、
人の力を活かせる医院を設計する。
特に、歯科衛生士が
専門性を最大限に発揮できる仕組みを
つくることが、
これからの歯科医院に必要な
生産性向上ではないでしょうか。






