ひとくちにコミュニケーションといってもさまざまな相手がいます。
まったく同じ言葉で説明をしても
すごく響く人、まったく他人事のような反応しかしない人など
さまざまではないでしょうか。
なぜ、このような差が生まれるのでしょうか。
これは、患者さんなどコミュニケーションをとる相手の
特性もあると思いますが、
あなたのコミュニケーションに癖がある場合もあります。
コミュニケーションを円滑にする手段の1つとして
今回は、「自己主張レベル」と「感情表現レベル」の
2つの軸から考える4種類の行動傾向について
ご紹介したいと思います。
4つの行動傾向を見極めるためのチェックポイント
4つの行動傾向を分類するために、
まずは「自己主張レベル」と「感情表現レベル」が
高いか低いかを確認します。
自己主張レベルは自身の考えを強く主張するかどうかを
図るための1つの指標です。
一般的に使われるチェックポイントは以下の項目です。
- 話すスピードは速いですか?
- 話す内容量は多い方ですか?
- 声の大きさは大きいですか?
- 話をする際の手の動きは何かを指したりするなど大きいですか?
- 話をする際の姿勢は前傾姿勢ですか?
- 話をする際に目線を合わせる方ですか?
これらの項目によく当てはまる方は
自己主張レベルが「高い」方です。
その特徴としては活発な印象があり、てきぱきと、
物事をはっきり伝える印象があるといえます。
一方、あまり当てはまらないなと思う方は
自己主張レベルは「低い」方です。
その特徴としては、やわらかい印象があり
物事を丁寧に順序立てて伝えようとする印象があると
いえます。
感情表現レベルは、コミュニケーションをとる際に
表情や身振りなどで伝えようとするかどうかを
図るための1つの指標です。
一般的に使われるチェックポイントとしては、
- 話をするときに表情豊かですか?
- 話をするときの姿勢はくつろいでいますか?
- 手の動きは開放的に開いたような感じですか?
- 話の表現は、自身の意見やストーリー性を持たせた主張が
中心ですか? - 話の話題は人物のことですか?
- 声の表情は抑揚がありますか?
これらの項目によく当てはまる方は
感情表現レベルが「高い」方です。
その特徴としては、
感情表現が豊かで、感情に訴えかけるような話し方を
します。
一方でこの項目にあまり当てはまらないと感じた方は
感情表現レベルが「低い」方です。
その特徴としては、
感情より、事実を正確に伝えることに重きを置く
傾向が強いといえます。
さらに、この2つの軸を掛け合わせることで
4つの行動傾向のタイプに分けることができます。
それが、
現実型/社交型/理論型/友好型
の4つのタイプです(下図)。
次からはこの4つのタイプについてみていきましょう。
ここで、一つ重要なことはこれらのタイプは
コミュニケーションの1つの形であり、
どれがよいとか悪いとかいうものではないということです。
4つの行動傾向とは
4つの行動傾向を順に見ていきましょう
1)現実型
自己主張レベル : 高い
感情表現レベル : 低い
結果や事実を重要視する傾向があり、
自身で判断したいという欲求を持ちやすい
といえます。
回りくどい説明嫌い、細かに指示されたり
相手に主導権を握られるような
コミュニケーションを嫌がる傾向があります。
このようなタイプでは
- 単刀直入に内容を説明する。
- ポイントを絞って簡潔に話す。
- 最後の判断は自分でしてもらう。
といったところがコミュニケーションの
ポイントになるでしょう。
2)社交型
自己主張レベル : 高い
感情表現レベル : 高い
他人とコミュニケーションをとることが好き、
時に感情が先行してしまうことがあります。
同じことを繰り返したり、単調な作業を嫌い、
興味のあることには熱中しますが、
興味のないことには見向きもしないことがあります。
このようなタイプでは、
- ゲーム性も持たせるなどあきさせない仕組み
- 大まかな指示をしてあげる
- 意見を尊重し、やり方は任せてあげる
といったポイントがコミュニケーションを
円滑にさせると考えられます。
3)理論型
自己主張レベル : 低い
感情表現レベル : 低い
事実やデータを元に分析をした根拠を元に行動する、
行動が慎重すぎて、臨機応変な対応が苦手な傾向が
あります。
正確に実行することを第一に考えます。
あいまいな根拠を嫌がり、
急な変更で自分のペースを乱されることを
好みません。
このようなタイプでは
- 本題を単刀直入に説明する。
- 目的や方向性、方法、期限などを明確に提示。
- 計画を立てて、自分のペースを守って行動させる
などに注意してコミュニケーションを
するのがよいでしょう。
4)友好型
自己主張レベル : 低い
感情表現レベル : 高い
調和を重んじ、協調性が高い特性を持ちます。
対立を避ける傾向にあり、人の意見を受け入れやすい
です。
みんなと一緒がよく、周囲を気遣いすぎることが
あります。
争いや対立を嫌い、孤立することを恐れます。
周囲の役に立つことで認められたいという欲求が
強いタイプともいえます。
このようなタイプでは
- 感情に働きかけ、寄り添うような説明をする
- 時間をかけて理解し、承認する。
- 結果だけでなく経過も認める。
といったポイントでコミュニケーションをとる
とよいでしょう。
さて、あなたはどのタイプ?
ここまで4つのタイプを順に見ていきましたが、
いかがでしたか?
あなたは?
あなたの患者さんは?
あなたの同僚は?
どのタイプに当てはまるでしょうか。
ここで、「あれ?」と思われた方もいらっしゃるかも
知れません。
そうです!
この行動傾向は個人の絶対的なものではありません。
コミュニケーションをとる相手との
相対的な関係性に左右されるのです。
私は
Aさんとコミュニケーションをとるときは「社交型」だけど、
Bさんとコミュニケーションをとるときは「友好型」だな。
ということも十分ありえます。
また、これらのタイプはそれぞれに特徴がありますが、
どれがよい悪いということではありません。
自身とコミュニケーションをとる相手の
タイプの関係性を推測することで、
両者が取るコミュニケーションの癖を
理解します。
そして相手が最も受け入れやすいコミュニケーションの
手法を選択することが重要なのです。
まずは、
あなたの患者さんや、同僚の方が
あなたとの関係性ではどのタイプになるのか。
推測してみましょう。
それが、より良いコミュニケーションの
第一歩になるかも知れませんよ!
- 投稿タグ
- カウンセリング, 患者コミュニケーション