私はこれまで
トリートメントコーディネーター(TC)として
多くの患者のカウンセリングを担当してきました。

その中では以前にブログにも書いた通り、
患者と話すことはできても自分で口腔内に
治療を施すことはできないTCならではの
もどかしさを感じたことも多くあります。

そんな時に予防歯科への思いを同じくする
歯科衛生士が素晴らしい患者対応をしてくれたら、
もどかしさは消え「私は私にできることを!」と
やる気になるものです。

どんなに上手にカウンセリングをしても、
予防歯科の主役はやはり直接患者の口腔内に
触れることのできる歯科衛生士だと実感する
瞬間でもあります。

今回は私の体験で、
これから歯周病治療が始まる患者
と歯科衛生士の会話を聞いて
すごく嬉しかったことをご紹介します。

カウンセリングの内容を踏まえた歯周病治療

予防歯科を実践されている歯科医院では、
2度目の来院から歯周病治療を始めることが
多いかと思います。

私の勤めていた歯科医院でも、
2度目来院時に初診時の検査結果を伝える
セカンドカウンセリング※と、
歯周病治療の1回目を行っていました。
※ブログ:予防歯科を成功させる
セカンドカウンセリングとは?参照。

つまり、通院2度目になる患者は、
セカンドカウンセリングで私と話をした後に
担当歯科衛生士から歯周病治療を受ける
ということです。

私は歯周病治療を担当する歯科衛生士に
セカンドカウンセリングについての
引き継ぎをした後も、患者と衛生士の会話を
ドアの外で(歯周病治療は個室で行っていたので)
こっそりと聞いていることがよくありました。

ベテラン歯科衛生士Aさんに患者を引き継いだ後
いつものように様子を伺っていた時のことです。

こんな会話が聞こえてきました。
「さきほどのカウンセリングで歯周病についての
 お話がありましたね?」
「聞かれてどうでしたか?」

患者との会話のきっかけとして
セカンドカウンセリングの内容を利用し、
私がきけないカウンセリングについての
率直な感想を聞き出してくれていました

それがあるのとないのとでは、
いよいよ始まる歯周病治療への患者の受け入れ態勢が
全く違ってくると思うのです。

初診時の情報を活用した患者コミュニケーション

続けてAさんは、
初診時の口腔内写真とその時の口腔内を比べます。
初診時にTBIを受けて患者のホームケアの成果が
出ている箇所などを、
鏡で見せながら丁寧に伝えてくれていました。

患者の立場になって想像してみてください。

口を開けて見せただけで
「歯磨き頑張ってくれたみたいですね。
前回と比べてここの歯茎の腫れが引いていますよ!」と
言われたら…

嬉しくて「これからも歯磨き頑張ろう!」と
感じると思いませんか?

更に鏡を見て実際に歯肉の状態が改善しているのを
実感できたら、どうでしょう?

これはもちろん患者とのコミュニケーションが
上手というのもポイントです。

しかし、それ以前に

  • 患者の口腔内の現状を確実に診る眼
  • 事前に初診時の資料を振り返り
    口腔内を把握しておくこと

この衛生士としての技量がしっかりしているからこそだと思います。

カウンセリングを有効利用した治療内容の決定

初めて予防歯科にかかる患者は、
歯周病治療だけでなく
虫歯治療も必要になるケースが多いです。

歯周病治療を担当したAさんは
患者の口腔内をきちんと把握しているので、
虫歯治療や口腔外科治療についての
カウンセリングが必要になる時には、
その前ふりまでしてくれていました。

「歯周病治療はあと○回かかるのですが、
それが終わったら次は虫歯治療です。
○○さんは治療箇所が多いので、
どこにどのような治療をするのか、
その治療の相談やご希望は次にする
カウンセリングでお話しくださいね。」と。

そして患者の口腔内の実態を把握しているからこそ、
カウンセリングの指示が的確なのです。

「この箇所についてこの内容で
カウンセリングしてほしい。
治療の選択肢はA、B、Cがあって、
ここまで説明しているからこの先は詳しくお願い。」と。

何度も述べているように、
TCはカウンセリングはできても口腔内を
診ることはできません。

もちろん診断や必要な治療内容を
決めることもできません。

患者の口腔内について必要な情報がないと
カウンセリングのしようがないのです。

ですがここまで完璧に口腔内を診て
対応してくれると、カウンセリングを
する時も話が早いことを実感します。

患者もAさんの歯周病治療を通して
自分の口腔内を理解してくれているので、
余計な説明をしなくてもあっと言う間に
治療計画が立ってしまうのです。

なんてありがたいんでしょう!

スタッフ同士のコミュニケーションが患者の満足度向上につながる

歯科衛生士Aさんが
患者にとっても私にとってもすごく嬉しくて
きめ細かい対応をしてくれるのは、
もちろんご本人の力量(そしてその力量に
達するまでには相応の努力があってのことです)が
その理由として真っ先に考えられます。

ですが今思い返してみると、
私(TC)がAさん(DH)を信頼し、尊敬していて、
患者のことをよく相談していた…というのも
少なからずプラスの影響があったと思うのです。

業務上必要な時だけでなく、
Aさんの予約枠にキャンセルが出た時には
我先にとAさんを捕まえて患者のことや
歯科知識のことなどを相談していましたし、
Aさんも何かあれば私に話をしてくれていました。

よく話をするからこそ、
お互いの考え方も分かっていたように思います。

このようなスタッフ同士の信頼関係があるからこそ
患者に提供できるものがきっとあると思うのです。

今までもいろいろなブログで書いてきましたが、
いつも最終的に大事だと思うのは、
やはりスタッフ間の円滑な人間関係と
コミュニケーションであると
思わずにはいられません。

あなたの医院では患者についての話、
スタッフ同士でどれくらいできていますか?

特に歯科衛生士のあなたは、
是非この記事を参考に他のスタッフや患者と
たくさん話をしてみてくださいね。

 

オーラルヘルスケアチーム 歯科TC Nより