患者さんが予防のために
歯科医院へ通い続けるためには
何が大切でしょうか。

医療設備?
立地?
診療時間?
歯科医の腕?

どれも影響を与えるとは思いますが、
決定的な要因にはなりません。

患者さんが思わず通いたくなる歯科医院とは?
その要素について考えてみましょう。

■患者さんにとって歯科医師の腕は重要であるが実際は?

公開されている各種患者アンケートを見ると、
歯科医院選びの重要要素として
「歯科医の腕が良いこと」が
必ず上位にランクインされます。

患者意識とすれば当然なのですが、
予防を目的とした歯医者通いを
続けてもらうために必要なことは、
歯科医師の優れた腕なのでしょうか。

もちろん、調子が悪い歯を治すのは
歯科医師の治療が必要です。

精密な技術を必要とする
根管治療やインプラントなどは
特に歯科医師の技量が予後を左右します

しかし、はっきり言って、
患者さんに歯科医師の治療技術は
わかりません。

つまり、
「上手か下手かということが問題ではなく、
不調だった個所が治ったかどうか」
ということが重要なのです。

歯科医師の腕はもちろん重要です。

しかし、患者さんの判断は
歯科医師の技術の上手さではなく、
症状が改善されればそれでいいのです。

実際に、治療が終わったら
ぱったりと姿を見せなくなった
患者さんは山ほどいます。

そして、その患者さんが次に来院するときは、
また歯が痛くなったときです。

なぜこの患者さんは
定期メンテナンスに通わないのでしょうか。

歯科医師の治療の技術ばかりが
クローズアップされ、
肝心の患者さんとの信頼関係や
コミュケーションはきちんと取れていますか?

リコールが定着しない理由は、
まさにここにあるのではないかと思われます。

■患者さんが本当に求めていることとは?

患者さんが行きやすい歯科医院とは、
歯科医師の丁寧な説明とスタッフの明るさや
親しみやすさです。

どんなに歯科医師の腕が優れて高い技術を
提供していても、先生の説明がなく
周りのスタッフが不愛想だと
患者さんは気分が悪くなり、
通いたくなくなるでしょう。

歯科治療で最も大切なことは、
歯科医師をはじめとした
スタッフと患者さんのコミュニケーションです。

コミュニケーションはやがて
信頼へと繋がるのです。

患者さんとの良好なコミュニケーションは、
治療の腕よりも患者さんにとって大切なものです。

よく耳にするのが
「あの歯医者さんは、行きやすいし何でも相談できる」です。

現にそのような歯科医院はいつも込み合っており、
メンテナンスの予約が取りにくいと言われています。

インプラントや精密根管治療を行っているわけでもなく、
普通の一般歯科であり、
最新の医療機器が揃っていないにも関わらず、
リコール患者の定着率が良いのは
信頼関係が築けているからです。

■歯科医師に必要な「カウンセリング力」

歯科医師はとにかく「俺様」は捨て、
患者さんの話を聞くカウンセリング力が
その後のリコールに大きく影響します。

歯科医師は一方的では
絶対に信頼を得ることができません。

どんなに優れた技術を持っていても、
俺様な態度を出していては、
治療終了とともに姿を見せなくなります。

リコールの案内を出しても、
来院する可能性は極めて低くなってしまいます。

歯科医師が患者さんから信頼を得るためには、
歯の治療だけを行っていてはいけないのです。

そこに必要なことは丁寧な説明です。

笑顔であればなおよいですが、
歯科医師が行うべきことは、
まず丁寧な説明だといえるでしょう。

説明は何度行っても
行いすぎることはありません。

何も説明せずに治療だけを行うことは、
絶対に避けるべきといえます。

■歯科衛生士をはじめとするスタッフに必要な「コミュニケーション力」

歯科医師が患者さんの信頼を得るための
説明力と技術が必要ならば、
それ以外のスタッフはコミュニケーション力が
不可欠です。

特に予防治療を行う歯科衛生士は、
歯科医師からバトンタッチを受けて
歯石除去などの処置を行います。

患者さんの歯の健康を守る、
非常に重要な役目を担う歯科衛生士は
担当制を取っているところもあるでしょう。

担当制の良いところは、
同じ患者さんを担当することで
患者さんの口腔内の状況を把握できることです。

また患者さんにとっても、
同じ歯科衛生士が処置を行うことで
「この人なら任せられる」という
安心感を抱くことで、
ここでも歯科衛生士と患者さんの信頼関係を
築くことができるのです。

受付、歯科助手の対応も当然患者さんの
「行きやすい歯科医院」の大きなウエイトを占めます。

特に受付は歯科医院の顔です。

顔が見えない電話応対で、
その歯科医院の雰囲気がある程度わかるものです。

どれだけ歯科医師の技術や説明が優れていても、
受付の応対が悪ければ、
その歯科医院全体のイメージダウンにも繋がり、
リコールに繋がることも期待できないでしょう。

受付スタッフや助手は、
患者さんの名前を呼ぶことをおすすめします。

受付スタッフなら何時に誰が来院するか
把握できることを生かし、
診察券を受け取るときなどに
「〇〇さん(様)、こんにちは」と
名前を呼んであげると非常に喜ばれます。

歯科助手も積極的に声をかけてあげると
よいでしょう。

エプロンをかけてあげるときなどに
「〇〇さんこんにちは、エプロンお掛けしますね」
などと声をかけると
「自分のことをちゃんと認識してくれている」と
思われます。

これは患者さん側にとって
非常に嬉しいことであるため、
コミュニケーションを取るためにも
非常に有効です。

患者さんとの信頼関係やコミュニケーションを
しっかりと築き、通い続けたいと思われるような
歯科医院づくりをスタッフ全員で共有することを
是非おすすめします。