医療におけるプレパレーションとは、
子供が治療を受けるときに行う、
子供の発達に合わせた説明や配慮のこと

いいます。

説明によって、
子どもの恐怖心や不安が少しでも
解消してあげることができれば、
治療に対する頑張りを引き出すことが
できる可能性が高まります。

子供の頃から歯の予防をすることは
非常に重要
です。

かといって
子供全員が大人しく歯磨き指導や、
治療をする訳ではないですよね。

円滑に治療を進めたり、
子供が歯科医院を嫌な場所と思わないためには、
歯科医院に来る前の準備と
歯科医院での準備が大切
になってきます。

そこで今回は、
子供とのコミュニケーションについて
一児の母として、多くの子供と接してきた
歯科衛生士が解説
していきます。

子供に誤魔化しは、逆効果

まず、

「子供だから、誤魔化そう」

という考えは、
子供の恐怖を増大させる原因の1つ
になります。

例えば、
虫歯治療をする時に

「痛いことはしないよ」
「すぐに終わるよ」

と言った声かけをして、
痛みが出たり、
治療に時間がかかってしまったりすると
子供は、不安と恐怖でいっぱいになります。

さらに子供は、
新しい場所や、
初めてのことには敏感に反応します。

歯科医院での色んな音、
雰囲気、知らない大人に対して
不安になるのも当然です。

プレパレーションの目的

プレパレーションの目的は次の通りです。

  • 正しい知識を提供する
  • 子供自身が自己表現する機会を与えること
  • 心理的な準備を通じて、
    医療者との信頼関係を築く

プレパレーションを意識して実行すると
子供とコミュニケーションが取りやすくなって
治療もスムーズに出来るようになります。

子供と接する時に重要な「3つのこと」

プレパレーションの目的を達成するために、
必要なのは、次の3つです。

  • 歯科医院に来る前の準備
  • 治療説明をする
  • 治療後の言葉

順番に詳しく解説していきます。

歯科医院に来る前の準備

何の説明もなく、
突然知らない場所に連れて来られたら
誰だってビックリします。

特にほとんどの子供は、
歯科医院に着いた途端、
緊張と不安でいっぱいになって
院長やスタッフの説明も
耳には入りません。

そんな状態では、
口を開けることも難しいでしょう。

だからこそ、
初診や来院が久しぶりの場合には、
事前に歯科医院に行くことを
伝えるように、親に話しておきましょう。

子供に伝えて欲しいポイントは次の5つです。

  • 歯科医院に行くことを、
    3日前~1週間前の間に話しておくこと。
  • 歯科医院は
    歯を綺麗にしてくれる場所だということ
  • 先生やスタッフがいること
  • 口を開ける必要があること
  • 座わったまま、又は寝る状態になること

あらかじめ子供に、
歯科医院が何をする場所で、
どんな人がいるのか、
子供が何をするのかを話しておくことで、
不安が和らぎます。

前日だけの説明だけでは
不十分な可能性があるので、
できれば1週間前や遅くても3日前から、
歯科医院についての説明を毎日しておくよう、
お伝えしておくと良いでしょう。

治療説明をする

虫歯があった場合、
子供にどうやって説明していますか?

低年齢(0~6歳)までの子供本人には、
治療の説明はしていないという先生も
いるかと思います。

しかし、
低年齢の子供にも、治療説明は必要です。

なぜなら子供は、
イメージできない物に
恐怖を覚える傾向がある
からです。

例えば、

「道具を使って虫歯を退治する」

という説明では、
具体的なイメージが出来ません。

子供は、

「道具でどうやって虫歯を退治するの?」
「何で虫歯を退治するの?」

と、イメージできずに
混乱だけが残って、怖くなります。

子供が想像しやすいように、
治療についてなどの
動画絵本を見せると良いでしょう。

検診をするにしても、
どういったことをするのかを
事前にわかりやすく
説明しておくことで
不安が和らぎ、
治療がスムーズになります。

治療後の言葉

検診や治療ができた後は、
大げさなくらい褒めたほうが良いでしょう。

親ではなく、
先生やスタッフに褒められることは
子供の自信になります。

また、歯科医院に行くと
毎回すごく褒められると印象づけることで、
子供はヒーロー気分になります。

お手伝いをして褒められたら
嬉しいのと同じように、

「出来る自分はかっこいい!すごい!」

という感情が芽生えて
歯科医院に行くのが楽しくなるはずです。

子供が小さいことでも達成できたら、
存分に褒めて下さいね。

まとめ

子供の特徴を知って
コミュニケーションを上手く取ると
治療もスムーズになりやすいです。

また、
子供と信頼関係が築けると
親とも信頼関係を築きやすくなります。

子供の治療ができる歯科医院は
親にとって、
信頼できる歯科医院になるからです。

プレパレーションを取り入れ
子供の心だけではなく
親の心も掴みましょう。