近年、歯周病はさまざまな全身疾患の
リスク因子であるという研究が進んできました。

よく知られている2型糖尿病以外に
関節リウマチも、歯周病との関連が
指摘されています。

歯周病をはじめとする歯科的介入は、
口腔環境の改善を通じて、
関節リウマチの病態に良い影響を与える
可能性があると期待されています。

歯周病と関節リウマチとの関連

関節リウマチの研究が進み、
歯周病と関連する可能性が報告されています。

Pg菌の関与が注目されている

歯周病原細菌であるPg菌
(Porphyromonas gingivalis)は、
タンパク質をシトルリン化する酵素である
PAD(Peptidyl arginine deiminase)を
産生します。

関節リウマチはPADによってシトルリン化された
関節のタンパク質を異物(自己抗原)として
作られた、自己抗体ACPA(抗シトルリン化
タンパク抗体)によって生じる免疫異常が
原因の一つと考えられています。

Aa菌も関節リウマチとの関連が指摘されている

また、歯周病原細菌である
Aa菌(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)も
関節リウマチとの関連が報告されています。

Aa菌が産生したロイコトキシンAは、
好中球のPADによるシトルリン化を促進して
関節リウマチを発症や増悪に関与する
可能性があると考えられています。

腸内細菌が関節リウマチに関与する報告

さらに、リウマチ患者さんが歯周病原菌を嚥下し、
腸内細菌に影響して炎症を起こしている
可能性があると報告されました。

関節リウマチの症状の推移

関節リウマチの初期症状は、
関節の炎症やこわばり、腫れや痛み、発熱です。

病気が進行すると、関節の骨や軟骨が破壊され、
脱臼や骨の変形が生じます。

さらに、病状が進行すると、機能障害によって
日常生活に支障が出ることがあります。

関節リウマチと口腔

関節リウマチの患者さんに対しては、
歯科領域からもアプローチできることがあります。

関節リウマチの患者さんと歯科治療

関節リウマチの口腔症状としては、
口腔乾燥症に加え、顎関節の変形がみられます。

また、関節リウマチの患者さんは生物学的製剤や
免疫抑制剤、ステロイドといった薬を
服用しているため、感染しやすい状態です。

関節リウマチの方では、口腔衛生状態を良好に
保つことが重要であり、歯科治療の際にも
十分な注意が必要です。

関節リウマチの方は、歯周病になりやすい

最近の研究では、関節リウマチの患者さんに
歯肉や歯周組織に関する問題がみられることが
報告されています。

具体的には、歯みがき時の出血が31%、
歯周病の診断歴が18%、
歯周病の既往が20%とされています。

関節リウマチの方の歯周病に関する因子

関節リウマチの方の歯周病には、高齢、女性、
喫煙歴、骨折歴、身体機能障害、ステロイド投与量
が関連している可能性が指摘されました。

また、関節リウマチの患者さんが歯を失う原因には
喫煙、大腿骨の骨密度の低さ、血中ビタミンDの
値が関係している報告があります。

関節リウマチの方に歯科治療を行う際の
参考になる知見といえるでしょう。

関節リウマチの患者さんに歯科医院でできること

歯周病治療は、口腔内の炎症コントロールを
通じて、関節リウマチの病態に良い影響を
及ぼす可能性があります。

リウマチの患者さんに対しては、
歯科治療に伴う感染が起きないように
体調管理を含めた注意が必要です。

手の骨の変形で、歯ブラシがうまく使えない
患者さんには、歯科衛生士と協力して指導するほか
電動歯ブラシを勧めてもいいでしょう。

関節リウマチの研究は現在進行形

関節リウマチの研究は進んでいますが、
はっきりとした原因はまだ明らかではありません。

今後、さらに研究が進み、歯科との関わりが
より明らかになるかもしれません。

歯科医院でリウマチ患者さんを治療する際は、
主治医と医科歯科連携を行うことで、
より安心で効果的な治療につながります。

最近は、内科やリウマチ科でリウマチと歯周病の
関連に関心を持つ医師が増え、
研究も進んでいます。

口腔領域の専門家である歯科医師が協力して治療
すると患者さんとの信頼関係も深まるでしょう。

<参考資料>
1)Looh, S. C., Soo, Z. M. P., Wong, J. J., Yam, H. C., Chow, S. K., & Hwang, J. S. (2022). Aggregatibacter actinomycetemcomitans as the aetiological cause of rheumatoid arthritis: what are the unsolved puzzles?. Toxins, 14(1), 50.

2) 佐藤圭佑, 山崎和久(2019)歯周病と関節リウマチの新たな関連メカニズムの可能性, 日歯周誌 61(3):142-147.

3)FuruyaT,et al.Age and female gender associated with periodontal disease in Japanese patients with rheumatoid arthritis:Results from self-reported questionnaires from the IORRA cohort study.Mod Rheumatol.2020 May;30(3):465-

4)MochizukiT,et al.Smoking,Serum Albumin and 25-hydroxy Vitamin D Levels,and Bone Mineral Density are Associated with Rheumatoid Arthritis.Intern Med.2023 Feb 22.

おすすめの記事