口腔内をパッと見て
「この患者さんのブラッシング指導は
こういう風にしよう!」
とすぐに考えられると良いと思いませんか?

患者さん一人ひとりにあった
歯磨きの仕方を提案するのも一苦労で
ブラッシング指導ってなかなか難しいですよね。

そこで、
ブラッシング指導をどのようにするのかを
考える時に一つの目安にしてもらいたいのが
歯肉のバイオタイプ」
になります。

歯肉のバイオタイプを理解できると
例えば、患者さんにブラッシング指導の説明時に

「●●さんの場合、
歯肉は○○のタイプなので
△△の磨き方だと歯ぐきを傷つけずに
しっかりと汚れを落とすことができますよ。」

といった感じに
患者さん一人ひとりにあった指導ができるため、
患者さんは

「口腔内をしっかり見てくれていて、
私にあった歯磨きの仕方を教えてくれている。」

と感じてくれます。
この特別感が患者さんに良い印象を与えるのです。

  • ブラッシング指導が同じ内容になってきている。
  • 自分のブラッシング指導があっているか不安だ。

こんな悩みを解決する歯肉のバイオタイプについて
歯科衛生士の観点から簡単にお伝えします。

具体的には

  • バイオタイプについて
  • それぞれのタイプの特徴
  • バイオタイプ別のブラッシング指導
  • まとめ

の項目になっています。

簡潔ですぐに実践できる内容になっているので
最後までぜひお付き合い下さい。

バイオタイプについて

バイオタイプとは、
生物学的性質のことです。

歯科では
歯周組織の形態について言及されることが多く
歯と歯肉の形態により

  • thick-flat(フラットタイプ)
  • thin-scalloped(スキャロットタイプ)

の2つに大きく分けられます。

次はフラットタイプとスキャロップタイプには
どういう特徴があるのかを見ていきましょう。

それぞれのバイオタイプの特徴

フラットタイプ・スキャロップタイプの特徴を
簡単にまとめてみました。

【フラットタイプの特徴】

  • 歯肉の密度が高く、線維性である
  • 歯肉は厚く歯根の豊隆は確認できない
  • 辺縁歯肉の形は平坦(flat)でなだらか
  • 歯槽骨頂からコンタクトポイントまでの距離は短い
  • コンタクトポイントから切端までの距離は長い
  • 歯根幅は、歯冠幅と似ている
  • 歯の形は四角形(square)

【スキャロップタイプの特徴】

  • 歯肉の密度は低く、弱々しい
  • 歯根の豊隆が確認できる
  • 歯根部は貧血を起こしたように白く見える
  • 歯肉辺縁の形は帆立貝に似ていることから
    scalloped typeと言われている
  • 歯槽骨頂からコンタクトポイントまでの距離は長い
  • 歯根形態はテーパー状傾向
  • 歯の形は三角形

患者さんの口腔内には
たくさんの情報が詰まっています。

口腔内をよく観察して
どちらのバイオタイプなのかを見極めましょう。

バイオタイプ別のブラッシング指導

次にフラットタイプの方、
スキャロップタイプの方には
どんなブラッシング指導があっているのか
一緒に考えていきましょう。

まず、フラットタイプの方には

  • フォーンズ法
  • ローリング法
  • バス法

などのブラッシング法がオススメです。

フラットタイプの歯肉は厚く、
歯槽骨の豊隆が見えない
程のため、
ローリング法やバス法が向いています。

また、フラットタイプの歯の特徴は

  • コンタクトポイントから切端までの距離は長い
  • 歯の形が四角い

以上2つのことから歯の面積が広いため、
フォーンズ法の磨き方も有効です。

さらに、
電動歯ブラシを使うこともオススメです。
歯の面積が広く、ブラッシングには
時間がかかってしまいます。
歯肉が厚いため、
電動歯ブラシがずれにくく、
安定して磨くことができます。

次に、スキャロップタイプの方には

  • 立て磨き法
  • スクラッピング法
  • バス法

のブラッシング方法がオススメです。

スキャロップタイプの歯は
三角形で縦に長い形をしていることが多いため、
立て磨き法がプラークを落とすのに効果的です。

また、ストロークが大きいと
歯頸部にプラークが残りやすい
ため、
スクラッピング法で磨くといいでしょう。

ローリング法は、歯肉が薄く傷つきやすいので
オススメはできません。

まとめ

今回は歯肉のバイオタイプについて
簡単に説明しましたがいかがでしたか?

どちらかのバイオタイプの特徴に、
全て当てはまらないといけない訳ではなく

【特徴がいくつか当てはまり
見た目からもフラットタイプだと思う】

でも問題ありません。

口腔内は患者さん一人ひとりで違うため
どちらかのバイオタイプの特徴が多い方で見ていく
といいと思います。

患者さんの口腔内をしっかり観察し
特徴を考えていくうちに
どちらのバイオタイプかを
すぐに判断できるようになります
よ。

最後に、
患者さんの歯肉のバイオタイプを知ると
ブラッシング指導の提案がやりやすくなります。
ブラッシング指導には正解はありませんが、
少しでも参考にしてみて下さいね。