治療を中断してしまう患者っていますよね?

例えば、根管治療は虫歯治療の中でも日常的に行われる
治療ですが、この根管治療を途中で止める患者さんが
後を絶ちません。

根管治療は最後まできちんと行うことが大切なことを、
患者は理解しているのでしょうか。

理解していないのならば、中断してしまう訳は
容易に理解できます。

あなたの医院では、キチンと患者に伝えることが
出来ているのでしょうか。

痛みが治まればもう大丈夫、という患者の誤った認識

先日、受付をしていると、1人の10代後半の新患が
やってきました。

ズキズキする痛みのため診てほしいということでした。

C3、抜髄を行い次回からRCTとなり、会計の際、
痛み止めをお渡ししたところ、

「もう痛みないから大丈夫だし、
忙しいから来れないかも」

と言われます。

RCTを途中で辞めることでどんな影響が出てくるかは
容易に想像がつくため、

「根の治療は最後まで行わないと、後で大変なことに
なりますよ。きちんと来てくださいね」

と声をかけると、

「そうなんですか!知らなかった」

と次回予約を取って帰っていきました。

とりあえずその場の痛みを取り除き、
さらに痛み止めを処方することで、患者は

「酷い痛みは治まった。もう大丈夫

と思うのでしょう。

この患者が次の予約日にきちんと来るかどうか、
正直半分不安です。

また次は来院しても、回数を必要とする根治を
最後まで必ず行うかというと、
それは疑問となってしまいます。

なかなか歯医者に行ける時間がない、という口実で、
ついそのまま放置してしまうことも考えられます。

この患者が治療を放棄するかどうかは、
もちろんわかりません。

しかし、根の治療の途中で何らかの理由により
来なくなり、そのままというケースが
実は多々あるのです。

痛みが残っていれば治療を続けるが、痛みがなくなると
患者は意識が薄れるのでしょう。

もう大丈夫、と思い込んでしまうことが、
根管治療の放置に繋がるのではないかと思います。

次に来院したときはどんな状態になっているのか、
想像がつきますよね。

根管治療の必要性の説明不足による治療放棄?

ではなぜ、患者は根管治療を途中で
止めてしまうのでしょうか。

それは歯科医師をはじめとした
スタッフの説明不足が原因です。

モチベーションの低い患者にも問題はありますが、
そもそも歯に関心のない患者は
「根の治療?何それ??」状態です。

痛みに耐えられなくなったとき、
初めて自身の歯の状態を知ります。

そのような患者に対し、

・根の治療とは何か
・この治療がどれほど大切なのか
・この治療を中断するとどんな影響が出てしまうのか

をわかりやすく噛み砕いて説明しているでしょうか。

ほとんどの患者は歯のことについて知識はありません。

わかりやすく、簡潔に」だけを意識し、
患者に根管治療の大切さを伝える必要があります。

難しい説明をされると混乱し、かえって
治療が面倒くさくなってしまう恐れがあるからです。

説明するのはもちろん歯科医師ですが、
TCをはじめとしたスタッフも必ず、
ひと言添える
べきです。

お疲れさまでした!お大事に!だけですか?

患者の帰り際に、

「お疲れさまでした!お大事に!」

とだけ伝えていませんか?

アシストについていたスタッフ、
会計時の受付スタッフも含めて、
次の来院に繋がるひと言
伝えるべきでしょう。

特に受付は、患者の特徴をある程度掴む
必要があります。

最初に書いたケースのように、

「痛みが治まったからもう大丈夫かな」

というモチベーションの低い患者に対し

「根の治療は回数も必要なため大変ですが、
途中で止めるとあとでもっと大変なことになります。
頑張って来てくださいね」

と伝えなければ伝わりません。

このように、
患者に危機意識を持ってもらうための言葉掛けを、
スタッフ全員が持っていますか?

スタッフの情報の共有が不足していることが、
結局は「抜け」になります。

治療放棄の原因を作り出してしまうのは、
患者への危機意識を植え付けることができない
スタッフに大きな原因があるのかも知れません。

危機意識から予防意識へ

患者は、悪くなってから初めて
健康な歯について考えるものです。

今回は根管治療について述べましたが、
どの治療にも同じことが言えます。

治療した歯を今後悪くさせないため、
そして今ある歯を大切にするためには
患者の意識を変える努力が必要です。

その意識改革をどのように行わなければいけないか。
これは我々歯科従事者にとって大きな課題です。

削って詰めて、数年後にはまた削って被せて、
最終的には抜歯となる。

この旧式とも言える歯科治療が当たり前だと思う患者は
まだまだ存在し、予防と言う意識にはほど遠い。

ただ単純に治療内容を説明するだけでは
伝わりません。

きちんと悪い歯を治すこと。
そして最終的な目的はもちろん、
予防歯科へと意識をつなげることです。

まだまだ残る古い意識の変革を促すために、
我々ができることはまだまだあるのでは
ないでしょうか。

まずは医院で行動を変えてみる!

例えばTCが在籍する歯科医院では
治療後にカウンセリングを行い、

・根管治療の継続の必要性
・放置した場合に起こりえる可能性

をじっくりと説明する。

TCが在籍せずカウンセリングが難しい場合は、
わかりやすい冊子などを作製し、

・根や根管治療について
・放置の危険性について

などを目で見て理解してもらう。

この場合、根管治療の必要性よりも
放置のデメリットや危険性を強く説明するほうが
効果的でしょう

例えば、

・余分な時間とお金がかかる
・抜歯も必要な状況になってしまうかもしれない

などです。

そしてさらに、補綴物セット終了後に
これ以上悪くならないように、
定期的な通院の重要性を説明します。

患者は「もう治療に通うのはこりごりだ」と
思っているでしょう。

そうならないためにも、予防が大事であることを
患者に認識してもらう行動が必要ではないでしょうか?

患者に予防歯科の重要性を認識してもらうには、
歯科医院サイドの行動も変える必要があるでしょう。

治療後にカウンセリングを行う。
その時に予防の大切さをわかってもらえるような、
冊子やレターを渡すように行動を変えてください。

少しずつですが、確実に患者に伝わります。

その第一歩が、予防歯科を浸透させる
秘訣ではないでしょうか?