
診療スタッフ、特に歯科衛生士は歯科医師の治療に
関して、クレームを受けることが多くあります。
歯科医師がいる場でクレームがおきれば、
歯科医師が対応することもできますが、いない
ところで延々とクレームを言う患者さんもいます。
そんな診療に関するクレームを未然に防ぐため、
今回は診療スタッフができる患者さんの
クレーム対策について詳しく解説していきます。
予防的なコミュニケーションをとる
予防的コミュニケーションとは、問題やトラブルが
起こる前に、患者さんに治療についてよく理解して
もらい、患者さんとスタッフとの相互理解を深め、
円滑な関係を築くためのコミュニケーションです。
予防的コミュニケーションには、
3つのポイントがあります。
情報提供の明確化
歯の治療は1回ですむことはほとんどありません。
だからこそ、歯の状態がどれくらい悪いのか、
治療回数は最低でもどれくらいかかるのか、
治療期間、治療費用といった情報を
患者さんに明確に伝えましょう。
患者さんは自身の状態を把握していないからこそ、
不安を感じやすい状態です。
さらに、わからないことはしっかりと
質問するように最初から伝えておきましょう。
リスクの説明
治療には必ずリスクがあります。
治療後に痛みがでることは、歯科治療では
よくあることで、治療を行う前に治療のリスクを
必ず説明しましょう。
治療方針が決まった段階で、歯科衛生士や、
歯科助手が治療後におこるリスクを説明し、
さらに歯科医師からも説明することで、
患者さんは2度繰り返しリスクについて、
認知することができます。
さらに初めに聞いた後に疑問に思ったことを
質問することもできます。
リスク説明をすることで、治療後に起きる
痛みについての不安や診療に対する不信を
抑えることができます。
患者さんサイドが理解しやすい説明
患者さんからすれば、抜髄、感染根管処置、
ブリッジなど、わからない用語ばかりです。
特に抜髄に関しては、神経を抜くとは
どういうことなのか、歯がなくなってしまうのか?
とよく質問され、どういった状況なのか
理解しにくい病態です。
そのためあらかじめ、よくある治療に関しては
イラストを用いてわかりやすい説明ツールを
使って説明するといいでしょう。
専門用語もなるべく言い換えることで、患者さんは
自分の疾患について理解でき、不安が減ります。
エンパシーの表現を使おう!
エンパシー表現とは、相手の気持ちに寄り添い、
共感していることを伝える表現のことを指します。
患者さんは、歯が痛くて辛い状況で
来院することが多いです。
そこで診療スタッフはただ状態を聞くだけでなく、
患者さんの状況に共感することが非常に大切です。
エンパシー表現のポイントは以下の3つです。
傾聴
傾聴はただ聞き流すだけではありません。
患者さんの主訴を聞く際、アイコンタクトを
しながら相槌をうち、患者さんの意見に対して
共感することが傾聴です。
傾聴するだけでも、患者さんの不安を
軽減させることができます。
感情の共感
患者さんが痛みなどで辛そうな感情を
共感してあげましょう。
共感のフレーズとしては「お気持ちお察しします」
や「しんどかったですよね」といったものです。
歯科疾患によって引き起こされたトラブルに
対しての感情を理解して共感することで、
その後のクレームに発展しにくくなります。
言葉以外のコミュニケーション
患者さんの気持ちに寄り添うためには、
非言語コミュニケーションも重要です。
痛みが強くて食事ができなかった、と強く訴える
患者さんに対しては、「そうだったんですね」と
辛かったことを聞くときのような辛い表情をして、
共感し、治療を説明する前には「不安なことなど
質問があればなんでも言ってくださいね」と
柔らかな笑顔を見せることで安心感を
与えることができます。
同じフレーズでも表情を変えるだけで、
患者さんの不安感を減らすことができます。
診療スタッフがこういったことに取り組むことで
大幅に患者さんの治療に対する不安を軽減させる
ことができクレームを減らすことができます。
すぐにでも取り組めることなので、ぜひポイントを
意識して、明日からの診療に役立てましょう。