「あのお店気になるな…美味しいのかな?」
「この本、ちょっと高いけど…買ってもいいものか」…と
クチコミやレビューをチェック。

今や事前にネットでチェックは普通の事ですね。

同じように、
来院する前にネットでクチコミや、
レビューをチェックするのも
今や普通の事になりました。

ですが、この事前チェックは
「関係者」にとっては少し怖い行動ですよね。

「一部の評判の悪い歯科医院と一緒にされたら困る」
このように考えて、できればあんまり見ないで欲しいと
思っている人も少なくはないのではないでしょうか?

クチコミの読み方を変えると経営のヒントになる

確かに、インターネット上のクチコミや質問は、
そもそもそのサイトの運営者自体の信頼性も
疑わしいように見えますし、
匿名の投稿者の主観によるところが大きいために、
信ぴょう性に欠けるところがあります。

しかし、患者さんはこの「主観」で
歯科医院を評価している
こう考えるとどうでしょうか?

患者さんが「どこを見て、どう思うのか」を
探るヒントにならないでしょうか?

今回はクチコミから
経営のヒントを探ってみました。

選定したクチコミ例は、
「特に多い」と感じた4つです。

悪いクチコミ例①:待ち時間が長い

このクチコミは、
物理的に長時間待たされたという苦情ではなく、
「長く感じた」という感覚を
表しているように思います。

例えば、
「5分が1時間ぐらいに感じられた」
というような。

多くの患者さんは、
不安や緊張を抱えて来院しますから、
そのような気持ちで待つ時間は
長く感じるはずです。

このように解釈すると、
適切な対応は物理的な時間短縮を
無理に目指すことではなく、
患者さんの不安や緊張をできるだけ
取り除けるような工夫をすること、
になるのではないでしょうか。

悪いクチコミ例②:受付の応対が悪い/ヒドい

最も多い印象のあるクチコミです。

例えば、
「予約が無いと診れませんと高飛車に言われた」

この人は、「予約してないけど診てほしい」と
思って歯医者に行ったに違いありません。

不安や痛みが、我慢の限界を超えていたから
歯医者さんのドアをノックしたのかもしれません。

「おつらいでしょう」
「痛みはどうですか?」
などの気遣いのひと言さえあれば、
心証は全く違っていたでしょう。

悪いクチコミ例③:歯科医師の技術不足

根幹治療の予後不良が原因で
歯科医師の技術に不満を抱いている、
こういうクチコミが非常に多いです。

「何回も通わせておいて、痛かったし、
結局他院でやり直しになった」

同種のクチコミをいくつか読むと、
技術不足とセットでよく出てくる語があります。
「説明不足」です。

例えば、根っこの治療をします、と
「すること」は伝えていても、

  • なぜするのか?
  • しないとどうなるのか?
  • 治療期間及び通院回数の目安は?

は伝えていないようなのです。

目的や意味がわからないまま
何回も通うのは「遅い」という
不満につながるでしょうし、
不満を持ったまま麻酔をされれば
より痛く感じるのではないでしょうか?

歯科医師の方は、
早く終わって欲しそうだからと
治療が雑になる。

好ましくないことですが、
こういうことが起こらないとは
言えないのが現実です。

患者さんは、技術不足ではなく、
わかるように説明するという
誠実さが不足していることに不満を抱いている
と言えるでしょう。

悪いクチコミ例④:定期検診に通っているのにむし歯になった

「矯正治療中のむし歯/歯医者に
通っているのにむし歯になった」も多い印象です。

そもそもの意味をなしていないように
見えるクチコミが多いようです。

なぜなら、

  • 定期検診
  • 治療後のメンテナンス
  • インプラントメンテナンス

と、このように予防的な処置は
様々な呼ばれ方をしているため、
意味を混同している患者さんが
非常に多く存在します。

「定期健診って、むし歯が無いか
どうかチェックしてくれるんでしょ?」

「メンテナンスで衛生士が歯垢を取るだけ。
だからむし歯になった」

誤解を生まないように言葉の定義を
しっかり定めるのはもちろんのこと、
目的をきちんと説明することでも、
こういった誤解が防げるのではないでしょうか?

また、ごく小さいむし歯は、
保存のために削らない
歯科医師が多いと思いますが、
「しばらく様子を見る、と言われて
信頼できなくなった」
というクチコミもよくあります。

これは、むし歯は削って治すもの、という
患者さんの固定観念の表われではないでしょうか?

削らなくて済む場合もある、
一度削って詰めたら歯は小さくなる、
としっかり教えてあげて下さい。

行間の主観を理解し先手を打つ

クチコミから本質を捉えるコツを2つ挙げておきます。

  • 字面にとらわれずに、状況を想像する
  • 「感情」(=こうなった、という結果) →
    「出来事」(=なぜならば、という理由) の順に読む

そもそも意味を成していない
愚痴のような書き込みもありますが、
投稿者が抱いた感情自体は、
紛れもない事実です。

そして、先にも言ったように、
患者さんは主観で評価を下します。

その主観にどう対処するか?と
想像することが、
予防歯科を強化した医院経営の
リスクヘッジにつながるでしょう。