近年、世界情勢による影響で物価が上がり、
最低賃金引き上げが行われています。

歯科医院を経営する院長にとって、
人件費の負担が大きくなっています。

最低賃金引き上げに伴い、
院長はどこまで賃上げをすべきなのか、
賃上げをする前に院長がしておくべきこと
について詳しく解説していきます。

毎年最低賃金があがっている事実

院長先生は、歯科医であると同時に、
経営者であり、スタッフの労務についても、
知っておかなくてはいけません。

では、ここ10年でどれほど、最低賃金が
引き上げられているのか、知っていますか?

今回は東京都を例にだしてみましょう。

2010年の東京都の最低賃金は821円でした。

ところが、2015年は907円、そして2019年に
1,013円とついに1,000円を超え、
2023年には物価高をふまえてさらに上がり、
1,113円になりました。

なんと10年で最低賃金が200円以上も
上がっています。

たかが、時給200円と労働者側からは
思われるかもしれませんが、
経営者側にはかなりの負担となっています。

仮にパート8時間勤務、月に20日出勤とすると、
スタッフ1人あたり、月に3万円ほどの負担、
年間で384000円も人件費が上がっています。

チェアー3台でスタッフ5人
雇用しているのであれば年間で192万円、
なんと200万円ほどの支出が増える
ということです。

地域にもよりますが、正社員1人増やせるほどの
人件費が増えているということになります。

一方で、歯科医院の診療報酬は10年前とほぼ
横ばい、もしくは新型コロナウィルス感染症の
影響によって、下がっているところもあります。

さらに物価高および、感染症対策の影響で、
材料費などのコストは確実にあがっています。

これら全てをふまえ、賃上げについてどう対応
していくのかを考えていかなくてはいけません。

賃上げ前に確認しておくべきこと

ただただ人件費が上がり、院長先生への経営的な
負担を我慢していては、いつか、歯科医院経営が
立ち行かなくなります。

院長先生に重い負担がのしかかる前に、
知っておくべきことが2つあります。

1つは、賃上げに伴う、助成金の活用です。

賃上げに伴い、賃上げ額に応じて、
労働時間の適正化に必要な設備投資をすることで、
助成金が受け取れます。

助成金の手続きに関しては専門家である
社会保険労務士に相談しましょう。

そして、もう一つは昇給制度の見直しです。

ほとんどの歯科医院が毎年、スタッフの
能力に関係なく、一定額の昇給をしています。

しかし、毎年一定額上がり続けるような
企業はありません。

必ず昇給試験や、営業成績を考慮しています。

ですから、賃上げに伴い、
スタッフの昇給制度の見直しをすることで、
人件費の適正化を行いましょう。

昇給制度の見直しの際には就業規則の見直しが
必要となりますので、その点に関しても
社会保険労務士に相談しましょう。

スタッフを正しく評価する

賃上げに伴って、正しくスタッフを評価できれば、
歯科医院業務の効率もアップします。

人事評価制度の項目は業種によって違ってきます。

院長の主観ではなく、客観的な評価項目を
作ることをおすすめします。

自費の成約率や、担当患者の人数、もちろん、
普段の勤怠など一定数、達成できていない場合は、
昇給に当たらないと判断できます。

ただ、毎年一定額上がり続ける昇給制度は、
スタッフを正しく評価できないばかりか、
能力のあるスタッフと、頑張っていないスタッフの
間に不満が生まれます。

スタッフを正しく評価することはスタッフ間の
不満も解決します。

賃上げは経営者にとって大きな問題だからこそ、
この機会に労務問題を解決し、正しく評価し、
必要な人件費を払っていきましょう。