開業して最初の数年は
なかなか経営が安定しないのは
仕方がないかもしれませんが、
10年以上経過しても、
年間売上(前年比)に増減があり、
常に不安を抱えている院長先生は
多いのではないでしょうか。

そこで今回は経営が安定するために
どんなことが求められるのか解説していきます。

経営の安定の3本柱

経営が安定するといっても
どういった状態が安定した状態と
いえるのでしょうか。

まずは財務面、ある程度資金繰りに
困っていない状態を言います。

法人や個人事業主によって
財務面の捉え方は変わってきますが、
突然、設備投資が必要になったときに
必要な資金を調達できる状態を
財務面で安定しているといえます。

次に事業的な安定です。

これは既に定期的に通ってくれる
患者さんがいる状態で、
地域に必要な歯科医院として
認知されている状態のことです。

新規患者さんも重要ですが、
リコール患者さんが一定数いることが
事業的な安定となり、
経営の安定へとつながります。

そして最後が、組織的安定です。

これはスタッフ数が足りている状態で、
人材育成でも問題がなく
離職率が低いことを意味します。

人材が常にいることで、
安定した歯科医療を提供できることから、
経営面で安定をもたらせてくれます。

経営安定のための3本柱の具体的行動

安定した歯科医院経営において、
何をすべきなのか、
主に3つに絞って解説していきます。

メンテナンス患者さんの維持、増加(事業的安定)

今では予約制の歯科医院がほとんどですが、
一般病院のようにその日来た患者さんを
ただ診察する歯科医院もあります。

しかし、痛い時にだけ来院される患者さんは
痛みが引けば通院しなくなる可能性が
高くなります。

このような患者さんの割合が多いと、
定期的に来院するわけではないので、
患者数としては安定しません。

一方、メンテナンス患者さんは、
3か月、半年に一度、
検診のために来院してくれます。

この患者さんは歯科医師の診察は必要ですが、
歯科衛生士がほとんどの業務をこなしてくれます。

しかも材料費もほとんど変わりません。

ですから、メンテナンス患者さんの
安定した数を確保することで、
安定した見込み患者数が予測でき、
歯科医院経営の安定につながります。

そのためにも歯科医は
歯科衛生士と一緒に患者さんに対し
メンテナンスの重要性を伝え、
定期的に検診に通ってもらうように
周知、行動していくことが重要です。

患者さんに伝えるには口頭だけでもいいのですが、
やはり簡単なものでも
手渡しできるものを用意したほうがよいでしょう。

人材管理(組織的安定)

特に歯科医院経営の安定のためには
メンテナンス患者数の維持が重要ですが、
メンテナンスには歯科衛生士
という人材が不可欠です。

例えばチェアー3台の医院の場合、
チェアー2台をメンテナンス枠として
埋めることができます。

歯科衛生士がメンテナンス業務をしている間に、
歯科医師は診療業務ができます。

歯科衛生士が歯科衛生士業務を
しっかりと業務できるように、
他のスタッフ(歯科助手、受付)を
しっかりと確保していくことが重要です。

採用が厳しい業界ではありますが、
売り上げを伸ばし、
安定した経営をしている歯科医院では
歯科衛生士も歯科助手も長く勤務されています。

院長先生はスタッフが働きやすい環境を整備し、
それぞれの役職のスタッフが
それぞれの業務に専念できる環境を
整えることが求められます。

コスト管理(財務面)

最後はコスト管理です。

意外とできているようで
できていない歯科医院が多いです。

材料の種類が多すぎて、
期限切れで使わなくなってしまった材料、
毎日使う、マスクや手袋といった
消耗品の管理など、
歯科医院には人件費以外にも
材料のコスト管理が必要です。

治療の質にこだわることはとても重要ですので、
治療以外の衛生面で
大量に使用する衛生材料などは、
コスト管理を行えば、
かなり経費を抑えることができます。

まずはマスクや手袋といった
必ず毎日のように大量に使う材料から
管理していきましょう。

小さなことから始めることで、
コストは年間で大きく変わり、
節約できた分を新たな設備投資にも使えます。

しかし、コスト管理にも注意点があります。

それは患者さんの満足度に
影響を与える可能性がある
コストカットになります。

そのコスト管理により現状よりも
医療サービスの質が落ちる可能性があるなら
注意を払う必要があります。

報酬や労働環境に影響を及ぼすコスト管理は
優先的に手を付けるべきではないでしょう。

以上3つのことは一度やってしまえば、
そのまま継続してあとは手間がかかりません。

しかし、大切なことがあります。

それは、
この取り組みが医院全体で周知され
意思統一されていることが前提になります。

院内のミーティングを通じて
3本柱の課題について
話し合うことが求められるでしょう。