院長であるあなたは、
カウンセリングに割く時間を、
治療や他の院長業務に充てたい。

そう思ってはいないでしょうか?

カウンセリングほど高度じゃなくてもいいから、
チェアサイドの会話の流れに乗って勧めるぐらいなら、
スタッフで何とかならないかなあ…

こう考える院長はもっと多いでしょう。

けれど、スタッフの方は至極消極的。

院長に面と向かって「できません」とは言いませんが、
患者さんは忙しいと思うので
時間を取らせるのが申し訳ない…等かわされることが
ほとんどだと思います。

それならばと、
こうこうこういう風に言ってきて、と頼むと
「院長がこう言ってるんで~…」
などと患者さんに言ってしまったりすることもあります。

スタッフ達は一体何が嫌で
「勧める」ことを避けるのでしょうか?

勧める行為へ苦手意識を持つ理由

スタッフの性格にもよりますが、多いのは
1.自分のせいにされたら嫌だ
2.売り込んでいるようで罪悪感を覚える
3.患者さんは忙しいのに申し訳ない
この3つです。

それぞれをもう少し詳しく見ていきましょう。

1. 自分のせいにされたら嫌だ

「勧める」には責任が伴います。

自分が勧めたことが患者さんの為にならなかったら、
自分のせいにされるかもしれない。

こう考えるスタッフは多いものです。

また、「患者さんに断られたら、院長に怒られるかもしれない」と
考えるスタッフもいます。

実際は怒ったりすることは無いと思いますが、
医業収入目標などを共有している医院のスタッフが
このように考えるのは、ごく自然かもしれません。

対策としては、
トップセールスでも30人と話して
興味を持ってくれるのは2,3人。
成約することはそのうち1人いるかいないかだよ、など、
「プロでもこのぐらいですよ」という話をして
気を楽に持ってもらうといいと思います。

2.売り込んでいるようで罪悪感を覚える

歯科医院のスタッフは総じて若く、
お金を払って健康を買う、という価値観を
まだ持っていない可能性があります。

「私だったらそのお金で海外旅行に行きたい!」
という感覚を持ちながら「勧める」のには、
確かに罪悪感を覚えるでしょう。

ただ、何に価値を感じるかというのは、
人によって様々ですよね。

このことを伝えてみてはいかがでしょうか。

ベテランスタッフでも、日本人が強く持つ「お金儲けは悪」
という幼少のころから刷り込まれた価値観があります。

また、そもそも勧めようとするサービス・考え方を
あまり理解していないと、
やはり「不要なものにお金を使わせる」感覚に
なってしまうと思います。

予防であれば、
・定期メンテナンスに通うことでどんな利益が患者にもたらされるのか
・定期メンテナンスは、歯に保険をかけるようなものだ
などなど、スタッフにわかりやすく伝えてみて下さい。

スタッフ自身が価値を感じることができれば、
適切な人に勧めるようになるでしょう。

3.患者さんは忙しいのに申し訳ない

これもやはり、勧めようとする物の価値を
あまり理解していない為に持つ考え方だと思います。

自分が価値を感じられない物を勧めるために、
時間を取ってもらうなんて申し訳ないのです。

また、自分に自信が無いというのもあると思います。

「私の話のために時間を取ってもらうなんて…」です。
自信は一朝一夕に持てるものではないので、
自分に自信が無さそうに見えるスタッフには、
勧める行為は不向きだと言えます。

嫌がることはさせない方がいい?

スタッフが嫌がることはさせない、
辞めてしまうから。

このようなセリフをよく聞きます。

確かに、理由も聞かずに無理強いすると、
辞めるまではいかなくとも、悩んだり、
やる気をなくす可能性は大いにあります。

精神的な苦痛は、見方を変えることができれば
逃れることができると思いますので、
まずは苦手意識を持つ理由を探ってみて、
「こう考えてごらん」と提案するといいでしょう。

このような見方の選択肢を与えるというのは、
院長またはチーフにしかできないことです。

スタッフとの信頼関係を築く上でも非常に大事な事だと思います。

予防歯科に「勧める」行為は不可欠

予防歯科推進に、「勧める」という行為は不可欠です。

院長やチーフだけでは限界がある為、
スタッフにも協力してほしいと思うのはごく自然な事です。

だから、スタッフに勧めてほしいのであれば、
「勧めたい」と思わせることが肝要です。

ここで挙げた苦手意識の理由は、
スタッフに「そんなにいいことなら、勧めてみようかな」と
思ってもらうのにきっと役に立つはずです。

スタッフを指導する立場のあなたは、
患者さんが得られる価値を
スタッフにキチンと説明していますか?