近年の人件費高騰は、歯科医院経営に
大きな打撃を与えています。

歯科衛生士の給与相場は高い水準にありますが、
歯科助手であっても、給与水準は上昇しています。

そのため毎年の昇給シーズンに年間コストを考え、
適切な昇給をしない場合もあります。

ですが、それは間違ったコスト管理といえます。

今回は、人件費に関わる間違ったコスト管理とは
何か?改善策についてもご紹介していきます。

コスト削減で昇給なしは納得できない!

歯科医院は人件費以外にも、材料費や技工料など
変動費予測が難しく、思った以上に支出が
多くなってしまうことがあります。

電気代も高騰しており、歯科医院を
稼働していく上で大きな支出です。

賃貸の場合であれば、毎月の賃貸料もかかります。

様々なコストがある中で、一番手っ取り早く
取り組めるものとして、年に1回程度しか
変わらない人件費があります。

しっかりと人事評価制度を取り入れて適切に
昇給している歯科医院も多いですが、その一方で、
長年昇給がないスタッフがいるのも現実です。

歯科医院に貢献していない人材であれば仕方が
ないですが、貢献しているスタッフまでコストを
抑えるために昇給しないのであれば、将来的に
離職となり歯科医院経営に大きな打撃を与えます。

ですから、コストがかかるから昇給はしない!
という考えは間違ったコスト管理であり、
信頼されない院長の特徴となります。

適切なコスト管理は正しい評価から

給与を上げずにいると、スタッフから影で
「ケチ」というレッテルを貼られます。

一方でスタッフが定着し、チームとしてうまく運営
されており、レセプト枚数も多い歯科医院は、
スタッフの人事評価を正しく行い、
適切にコスト管理を実践しています。

人事評価制度を取り入れるのは難しいですが、
大きな項目3つ取り入れるだけでも、
毎月のスタッフを評価できます。

例えば歯科衛生士であれば、
・積極的に患者さんを導入し、歯科衛生士業務を
徹底している
・ケア用品の説明、自費治療を積極的に
説明している
・担当しているメインテナンス患者さんの人数
などです。

歯科医院によって項目は違いますが、歯科衛生士は
直接売上に関する評価だけでも導入することで、
昇給もしくは賞与に評価させることができます。

歯科医院にマイナスになるスタッフは、
動きが遅く、患者さん導入数が他のスタッフよりも
極端に少ない、歯科衛生士業務はするが、ケアの
説明や治療の説明は不十分な傾向にあります。

また、担当制を導入している歯科医院では、
担当した患者さんから、担当の歯科衛生士を変えて
ほしいという申し出があまりにも多い方は
技術的にも評価が低い可能性が高いです。

あくまでも一例ですが、こういった評価項目を
満たしているスタッフは、メインテナンス患者さん
の割合を増やしてくれます。

このように適切な評価をして、貢献している
スタッフに投資すればさらに歯科医院にとって
プラスになります。

正しいコスト管理は、正しい人事評価が
あってこそできます。

ですから、貢献しないマイナススタッフは
それに見合った昇給しかありません。

ただ嫌われる院長ではなく、正しく評価ができる
経営者であることが重要です。

適切なコスト管理はスタッフの定着化も促進

過度なコスト削減は、ケチな院長である
ととらわれてしまいます。

しかし適切なコスト管理をすれば、余剰資金が
増え、昇給や効率化のための設備投資ができます。

正しい人事評価をすれば、スタッフの
モチベーションは上がり、定着化も促進できます。

また、在庫数を必要最低限に減らせば、
管理する時間を削減でき、スタッフの負担を
減らすことができます。

効率化により無駄な残業時間が減り、必要ない
人件費も削減、さらに子育て中のスタッフも
働きやすい環境づくりへと繋がります。

スタッフ定着化に頭を抱える院長先生も多いので、
ぜひ適切なコスト管理をして、人件費へ投資や
診療効率化のための設備に投資しましょう。