歯科に努めるプロとして、
患者さんへの説明は非常に大切な業務の1つです。

説明の仕方によって、
患者さんの受け入れかたも違ってきます。

あなたの医院では、
全ての患者さんに対して、
同じような治療説明の内容になっていませんか?

それでは、
自費の補綴は決まらないし、
定期検診にも通ってもらえない可能性が高い
です。

今回は、
患者さんを惹きつける説明方法について
ご案内いたします。

相手の関心を引くこと

そう言われても、
説明の仕方をどう変えたらいいのか、
わからないのも本音ですよね。

結論から言うと、

  • 相手の関心度
  • 信頼関係

この2点が説明のポイントです。

患者さんの関心度によって説明を変えないと、
患者さんは聞く耳すら持ってくれません。

なぜなら、
興味がないことに
高い自費の補綴を選ぶ人なんていませんし、
定期的に検診に通うことも無いからです。

でもそうなっては、困りますよね。

では、
具体的にどのような説明方法をすれば
興味を持ってもらえるのでしょうか。

説明の仕方は2種類

アメリカの心理学者
ハロルド・スポンバーグ氏は

「提唱する相手を説得する際に、
自分にも好感を持たせながら、
興味や関心を引き出す2つの方法はある」

という説を発表しました。

その方法は

  • クライマックス法
  • アンチクライマックス法

という方法です。

この2つの話法について
詳しく解説していきます。

クライマックス法

クライマックス法とは、

“状況やデータなどを先に説明して、
そこから導かれる結論を最後に提示すること“

という方法です。

例えば、

「○○さんのお口を検査して
見つかった虫歯を除去しました。」

「神経まで虫歯は進んでいませんでしたが、
歯の一部分を削るくらいの大きさでした。」

「今後の治療ですが、
プラスチックの詰め物では、
耐久性の不安やしみる可能性があるので、
被せ物をする必要があります。」

「被せ物の種類は保険の物と自費の物があって、
保険の物は料金がお手頃ですが、
使っている内に隙間や段差ができやすく、
虫歯になる可能性が高くなります。」

「自費の物は費用がかかってしまいますが、
その分、長い間使用しても隙間や段差が
できにくい物もあります。」

「長い目で見て自費の被せ物をお勧めします。」

といったように患者さんへ説明をする方法です。

このように、
患者さんの興味や関心がある場合は
順を追って説明していくことで
患者さんに安心感と誠実感
与えることができます。

逆に、
短く簡潔に説明してしまうと

「しっかり診てくれたのかな?」
「自費にしてほしいだけじゃないの?」

などの不信感や不安を覚えてしまいかねません。

また、
“メリットだけを伝えるのではなく
デメリットも説明する“
ことで、
患者さんは

「欠点もしっかりと説明してくれる!」

と感じて、
あなたへの信頼度がさらに深まり、
提示した治療方法を、
すんなりと受け入れてくれる可能性が
高くなります。

アンチクライマックス法

アンチクライマックス法とは、
“結論を最初に提示してから、
その根拠を説明していく方法“
です。

例にすると、
「○○さん、虫歯を除去しました。」

「○○さんにお勧めする被せ物は、
△の材料を使った物です。」

「虫歯になりにくく、
歯に馴染みやすいのが特徴です。」

「費用は保険の物より、
かかってしまいますが、
長い目で見ると安心な被せ物になります。」

といったように説明する話法です。

患者さんが
話しに興味や関心がないと感じた場合には、
結論を先に言うことで、
相手の関心を惹きつける
アンチクライマックス法が有効
です。

最初に提示する内容によっては、
相手を一気に話しの中に引き込むことができる
可能性があるのがこの手法の特徴です。

話しに興味が無い患者さんに
クライマックス法を使って
順を追って説明すると、
途中で話しを遮られたり
最後まで話しを聞いてもらえなかったりする
可能性があります。

そのため、
冒頭にインパクトのある言葉を使ったり、
メリット・デメリットを明確にすること

患者さんの興味を惹くと同時に、
印象に残りやすくなります。

また、
印象に残った言葉は選択されやすくなるので
なるべくポイントを押えながら話すと
より効果的
です。

まとめ

色んな患者さんがいるように
説明の仕方も三者三様あります。

特に治療説明をする時には、
同じような説明になりがちです。

しかし、
患者さんからすると
初めて聞くことや
すぐに理解しづらいことの方が
多いと思います。

説明する側は、
いつでも患者さんの
立場になって説明することが大事
です。

そうすることで、
自然に患者さんの状況を見て
どのような話し方をするのが
最適なのかを
見極める術が身に付くでしょう。