安定した医院経営のためには、
定期検診等でコンスタントに通院してくれる
患者さんを獲得することは非常に重要です。
「今まで通ってくれていた患者さんが
急にぱったりと来なくなった」という
経験はありませんか?
原因は、定期検診の時の声かけかもしれません。
現在通ってくれている患者さんを
途絶えさせない為にも、
「適切な声かけ」について考えてみましょう。
声かけの失敗例
3ヶ月から半年に1度、定期検診を兼ねて
スケーリングをしにくる患者さんのように
コンスタントに通ってくれる方を
大事にしたいと思いますよね。
「患者さんを大事にしよう」という気持ちは
大切ですが、「褒めすぎる」のは逆効果です。
実際に起きた定期検診時の声かけと、
患者さんの動向の変化を紹介します。
- 3ヶ月に1度欠かさずに通院していたが、
都合が付かずに半年間通院できない時があった。
久しぶりに検診を受けると
「とっても綺麗に磨けていますよ。
毎日丁寧に歯磨きを
していらっしゃるのですね。」
と言われた。
『半年に1度でも何も問題がないと分かり、
以降は3ヶ月に1度の通院をやめて
半年以上開けてから通院することにした。』
- 数年ぶりに歯科医院に通院して
検診とクリーニングをお願いした。
最後に歯科医院に通院したのはいつかと聞かれ
「覚えてないくらい昔」と答えたら、
「歯石全然溜まっていませんよ。
素晴らしいですね。」と言われた。
『定期的にクリーニングしなくても
大丈夫なんだなぁと思い、
痛み等が出ないかぎり
通院しないことにしている。』
良かれと思って言った褒め言葉が、
思わぬ方向に影響していることが
読み取れるでしょう。
このように、過度に褒めすぎてしまうと
「なら、痛い訳でもないし通院しなくてもいいや」
と捉えられてしまうリスクが生じます。
適切な声かけと程よい注意喚起
では、定期検診に来た患者さんの
“歯に対する意識”を
低下させないためには、
どのように声をかけたらよいのでしょうか?
ポイントは
「褒める」と「程よい注意喚起」を
セットで行うことです。
これにより、気分を害することなく
通院の意欲もキープできるでしょう。
- 全体的によく磨けているので綺麗です。
左奥の部分だけ他と比べて
若干とりきれていない所があるので、
気にかけてみてください。
- 目に見える部分には歯石はほとんど
ついていません。
普段からブラッシングを
丁寧になさっているからだと思います。
ただ、歯と歯茎の間の汚れは
歯ブラシだけでは落とせないものなので、
そこを重点的に綺麗にしていきますね。
このようにただ褒めちぎるだけではなく、
注意喚起も一緒に伝えましょう。
患者さんに
「今日定期検診に来たことは意味があったんだ」
「これからも定期的に通おう」
という気持ちになってもらうことで、
受診控えを防ぐことにつながります。
患者さんに合わせた柔軟な対応
毎日の丁寧なブラッシングで3ヶ月経っても
全く歯石がついていない人がいる一方で、
日々頑張って磨いていても
歯垢が溜まりやすい人もいます。
定期検診のスパンを
一律で〇ヶ月とするのではなく、
患者さんの口腔状態を見て
柔軟に期間を設定してあげましょう。
1回目の検診で判断するのは難しいですが、
1年程お付き合いをしていくと
どのくらいの期間で検診やクリーニングを
するべきかが判断できるのではないでしょうか?
患者さんの様子に応じて
3ヶ月・半年・1年などスパンを決め、
無理なく定期検診に通い続けられる環境を
整えてあげるのも大切なことです。
まとめ
歯科検診や定期的な歯石除去は、
予防歯科にとって大切なカギとなる項目です。
患者さんの歯に対する
モチベーションを維持するため、
適切な声かけと柔軟な対応を心がけましょう。