一言でホームケアといっても、
治療内容や患者さんの歯の状態によって
適切なケア方法は異なります。

説明が手薄で不親切…と思われないよう、
次の来院までの過ごし方については分かりやすく
丁寧な対応が求められます。

具体的な声掛け内容を交えながら、
患者さんとの接し方についておさらいしましょう。

ホームケアと言われてもピンとこない人は多い

むし歯や歯周病を予防するためには、
定期的な検診や機械清掃も大切ですが、
何よりも「日々のホームケア」が大切です。

普段当たり前のように使っている“ホームケア”
という言葉ですが、患者さんの中には
ホームケアって何?とピンとこない方も
多いということを理解しましょう。

また、歯科医院が苦手という人の中には、
「いつも仮の詰め物や被せ物が取れてしまうので
困っている」
「矯正中はむし歯に気を付けてと言われたが、
どう気を付けるのか分からない…」
と、医院側の説明不足を訴える声も聞かれます。

歯科医療従事者の間では当たり前な事柄でも、
患者さんへの説明は丁寧に行うことを
心がけてください。

治療内容別、ホームケアの説明フレーズ

説明に使えるフレーズを、案内のポイントと
あせて紹介します。

矯正治療

矯正治療中はむし歯になりやすい、という情報を
知っている人は多いものの、理由まで正しく
理解している人はあまり多くありません。

・唾液にはむし歯を予防するための効果がある
・器具により唾液が歯の隅々まで広がりにくくなる
・器具に溜まった汚れをエサに菌が繁殖する
・不衛生な状態でマウスピースを付けると
菌が繁殖する
といった内容を分かりやすく説明しましょう。

「矯正治療中は、どうしても様々な原因から
むし歯が発生しやすくなります。
基本は、適切なブラッシングやフロスの活用と
なりますので、普段以上に心がけてください。
細かい原因やホームケアの方法をまとめてあり
ますので、ご自宅で目を通してくださいね。」

ホームケアの仕方を紙などにまとめて、
患者さんにお渡しするのもおすすめです。

補綴物装着前

根治の途中やインレー装着前など、
「仮歯や仮詰めが取れてしまった。」
「違和感がすごい…」
といった声は多く聞かれます。

痛みがなくなったと、根治の途中で来なく
なってしまう患者さんも少なくありません。

・現在の歯がどのような状態なのか
・仮歯や仮詰めの目的
・次の来院までに気を付けてほしいこと
・取れてしまった時の対処法

これらを写真や図などを交えて説明しましょう。

特に、次の来院までに“どのように気を付ければ
よいのか”については、具体的な対処法を
交えて話をしてください。

「あくまでも仮のものなので、ブラッシングの
際にはなるべく力を入れずに、優しくなでる
程度にしてくださいね。」

「歯ブラシはもちろんですが、舌で触れすぎて
しまうと取れてしまうので注意してください。
食事も、なるべく反対側で噛むことを意識して
みてください。」

「もし取れてしまった場合には、元に戻そうと
しないで、すぐに電話をしてください。
診療時間外の場合には、舌等で触らないよう
気を付けて過ごしてください。」

単に“気を付けてください”や“注意してください”
では判断に困ることも多いため、患者さんの
気持ちに寄り添った対応が求められます。

クリーニング後

スケーリングやPMTC後、24時間程度は着色に
注意した食事を心がける必要があります。

また、「綺麗にした状態を維持しよう」と
意識して、質の高いホームケアをはじめる
良いきっかけにもなるでしょう。

・避けるべき食べ物や飲み物を具体的に
・歯間ブラシやデンタルフロスの活用
・歯ブラシができない時の対処法

着色に関しては、具体的な食品をあげて
説明するのがポイントです。

こちらも、案内用のリーフレットを作成しても
よいでしょう。

「クリーニング後で歯が敏感な状態になっています
ので、24時間は着色しやすい食べ物は避けて
いただけると綺麗な状態がキープできます。」

「赤ワインやコーヒー・ココアなど色の濃い飲み物
だけでなく、お茶のタンニンも着色の原因となり
ますので、飲み物はお水がおすすめです。
ケチャップやソースといった色の濃い調味料にも
気を付けてくださいね。」

クリーニングの後は、正しいホームケアをはじめる
最高のタイミングです。

普段は歯ブラシだけという人にも、歯間ブラシや
フロスを使った質の高いホームケアをすることで
今日の綺麗さを少しでも長く維持することを
勧めてみましょう。

歯ブラシができない時は、洗口液やうがいだけでも
効果があると伝えるのもおすすめです。