現在は
「患者さんを定期検診に通わせるのは
衛生士さん次第」

と言われる時代だそうです。
そんな事言われたら
「責任重大だな。」
と、感じてしまうかもしれませんね。
でも、患者さんには
定期検診に来てほしいし
長期的に通ってほしい
ですよね。

どうしたら患者さんが

  • 定期検診にきてくれるのか
  • 長期的に通ってくれるのか

などの悩みを衛生士の観点から解決します。

考えるメインテナンスとは?

まず悩みを解決するのに欠かせないことが
考えるメインテナンス術です。

考えるメインテナンスとは
具体的にはどういう事なのかを

  • 考え方のシステムを身につける
  • 簡単例で考えてみよう。

の2つの項目で紹介していきます。

考え方のシステムを身につける

まずはメインテナンスに入る前に
過去に行った治療はどうだったのか。
患者さんは
治療を受けて原因を解決できたのか
評価する必要があります。

なぜなら、
患者さんの原因が解決していないのに
メインテナンスに移行するのは

  • 患者さんに不信感を与える
  • 不信感から来院が途絶える

ことに繋がっていきます。

メインテナンスに移行する時は
患者さんの原因が解決できてからです。

では、原因の考え方を見ていきましょう。

考え方の3つの要因

原因の考え方は

①原因要因
②結果要因
③時間的要因

といった3つの要因から考えると
非常に簡単です。

例にすると

  • グラつく歯がでてきた。
  • うまく噛めない。(原因要因)
  • 重度歯周病と診断され、
    保存不可の歯は抜歯になった。(結果要因)
  • ○年○月○日に
    左下7を抜歯した。(時間的要因)

が各要因になってきます。

過去の治療の要因がわかる事で
口腔内の傾向を読み取ることが
できるようになります。

  • カリエスリスク寄りなのか
  • 歯周病リスク寄りなのか

などが考えられますよね。

リスクが分かればその後の
治療計画やDH計画も立てやすくなります。

治療歴を遡って根本的な原因を考えると
メインテナンスの方向性も定まりやすい
でしょう。

簡単例で考えてみよう。

前回は3つの要因の考え方について
説明してきました。

ここでは
検診にきた患者さんの口腔内を診るポイント
を簡単例に沿って見ていきましょう。

【口腔内を診るポイント】
① どこに問題があるか?
② おかしいなと思う事を見つける。
③ 患者さんの主訴は何か?
④ 主訴はどのように解決できるか?
その方法は?
⑤ 専門的立場として何が提案できるか?
⑥ 歯科衛生士判断
DH計画(短期、中期、長期)
⑦ 再評価
⑧ プラスαの情報
(習慣、全身的健康、服用薬、生活背景)

【患者さん例】
初診:2000年4月 50才 女性
主訴:奥歯が痛い、検診してほしい。
全身的問題:高血圧  
喫煙歴:なし 
アレルギー:なし
職業:保険会勤務
とします。

ここで、ポイントと例を合わせながら
見ていきましょう。

① どこに問題があるか?
② おかしいなと思う事を見つける。

始めに口腔内をパッと見て

  • いつもと違う箇所
  • おかしいなと思う箇所を見つける。

患者さんの口腔内を見てすぐに歯周検査を
始めるのではなく
口腔内の変化がないか見つける癖
つけましょう。

③ 患者さんの主訴は何か?
④ 主訴はどのように解決できるか?
その方法は?

主訴は「奥歯が痛い」です。

主訴に対して

  • カリエスで痛いのか
  • 固い物を食べて歯が痛くなったのか
  • マウスピースは使用しているのか

といろんな原因が浮かんできますよね。
カリエスなら大きさを把握するために
デンタルを撮影する必要があるのか。
マウスピースなら毎日使用できているのか。

1つの主訴によっても原因が様々にでてきます。

  • 原因が何か
  • 主訴にあった解決法

をそれぞれ考えて提案しましょう。

⑤ 専門的立場として何が提案できるか?

主訴の原因が
「歯ぎしりによる痛み」だとします。
専門的立場として
どういうアドバイスをしますか?
「マウスピースつけて下さい」

と言いたくなりますよね。
でも、患者さんが
マウスピースをつけなくなった理由
を知っていますか?

この患者さんは保険会社勤務です。
最近は仕事が忙しく家に帰るのが深夜になり
ご飯を食べるとそのまま
寝てしまうことが多いようです。

そんな生活背景を知って
「マウスピースつけて下さい」と
指導しますか?
患者さんに寄り添った提案を考えてみましょう。

⑥ 歯科衛生士判断
DH計画(短期、中期、長期)

メインテナンスをしていくと口腔内で

  • ここの部位は
    どのくらいの時にデンタルを撮る。
  • 別の部位は
    歯肉縁下へのアプローチをしたので
    いつの時期に確認したい。

など、
部位によって期間をあけて状態を見たい
場合がありますよね。

そんな時は部位別で

  • 短期間で確認したいか。
  • 短期より少し長めの中期間で確認したいか。
  • この部位は長い期間かけて見る必要がある。

に分けて計画を立てるようにしましょう。

自分でどのくらい期間を空けていいのか
分からないときは
歯科医師と相談して決めるといいですよ。

再評価

実は再評価はすごく大事です。
なぜなら

  • 問題が解決できたのか。
  • その解決は必要だったのか。
    曖昧に終わってしまうからです。

必ず自分が行った処置に対しての
評価をつけるようにしましょう。
もちろん患者さんの評価も忘れずに

⑧ 患者さんの情報

患者さんの情報からも多くの原因を
考える事ができます。

この患者さんは高血圧です。

高血圧の薬は

・アダラート
・ニフェジピン
・ノルバスク

いずれかの
カルシウム拮抗剤を服用している可能性
があります。

この薬の副作用として
繊維性でボコボコしている歯肉
なっている方が多いです。

患者さんの服用している薬が原因で
口腔内に影響がでることがあるため
患者さんの情報をなるべく多く集めましょう。

まとめ

いかがでしたか?
今回は

  • 考え方のシステムを身につける
  • 簡単例で考えてみよう。

の項目で簡単にメインテナンス術の考え方を
解説しました。

最初はどんな小さな事でも良いです。
患者さんの
「おかしいな」
と思う事を見つけて下さい。
「おかしいな」にどんな原因が
あるかを考えてみましょう。

常に考えるクセをつけると、
時間がかからずに
「これはこのパターンじゃないかな」
と考えが結びつく様になります。

今の患者さんに
適したメインテナンスをし
提案
することで
他の歯科医院とは違うと
感じてもらえます。

違いを感じてもらえるようにするには
衛生士の技術や知識が欠かせません。
患者さんに長く通ってもらえるように
あなたも今から
「考えるメインテナンス」
を始めましょう。