相次ぐ物価高が影響し、様々な業界でサービス料の
改定が行われています。
しかし、保険診療の中では、このような物価高
によるコスト増の影響を患者さんに反映させる
ことはできないのが現状。
そこで、保険をベースに診療を行っている
歯科医院の物価高への対処法について考えました。
物価高が歯科業界に及ぼす影響
物価高が歯科医院の経営に与える影響は、
決して小さいものではありません。
電気・水道・通信費といった光熱費、
紙エプロンや紙コップといった消耗品、
他にも印象材や郵便費など、相次ぐ値上げに
頭を悩ませる経営者の方も多いでしょう。
実際、経営難に陥ってしまう医院も多く、
歯科医院の倒産・廃業が増えていると
度々ニュースになっています。
「自分の医院は大丈夫だ」と決めつけるのでは
なく、時代の流れや周囲の動向なども考えながら、
今からできる対応をみつけ、早急に取り組むことが
求められます。
保険中心の医院ができる対処法5つ
保険診療をベースに行っていると、物価高を理由に
患者さんへの請求額を増やすことができません。
医院側ができることはそこまで多くなく、
限られた対処法の中で、キャッシュフローを
より良いものに改善していかなければなりません。
すぐにでも取り掛かれる対処法をご紹介します。
・行政の補助金制度
・保険算定の取りこぼしをチェック
・仕入れ先や技工所の見直し
・郵送でのリコール案内をやめる
・費用をかけない広告活動
まずは、行政の補助金制度について
確認を取りましょう。
自治体によっても異なりますが、
「医療機関等の光熱費等に対する支援」や
「医療機関等物価高騰対策支援事業」といった
名目で、一定の条件を満たすことで補助金が
もらえるものや、実際にかかった光熱費の一部が
還付されるものなど内容も様々です。
貸し付けとは異なり、返済が不要なものも多く
存在するため、条件を満たしていれば申請するに
越したことはありません。
次に確認したいのが、日々の保険算定に
取りこぼしがないかのチェックです。
本当は請求できるのに漏れているケースは、
手書きのカルテを採用している医院で
起こりやすいとされています。
直接収入につながる部分なので、
疎かにならないよう注意してください。
仕入れ先や技工所の見直しも、大きな費用削減に
つながるポイントです。
同クオリティの商品をより安く仕入れられれば、
長期的には大きな節約になります。
また、技工所に費用面の交渉を持ちかけるのも
手です。
同時に、グローブやセメント、CR用のレジン
といった消耗品の品質も見直してみましょう。
「安かろう悪かろう」にならない程度で、
コストダウンを図るのは必要な選択です。
郵送費や宣伝費も、費用のかからない方法は
多々あります。
自院の患者さん層や地域性なども考慮しながら、
効果を発揮しつつコストを抑えられる方法を
検討してみましょう。
経営についての見直しを図る3つのポイント
次に紹介するのは、経営の見直しポイントです。
上述した5つの対処法のように“今すぐできる”と
いうお手軽さはないものの、非常に大きな効果を
発揮する“本気の改革”を望む経営者向けです。
・人員配置の見直し
・保険診療以外の導入
・経営コンサルへの相談
経費の中でも非常に大きな割合を占めるのが、
「人件費」です。
人員を削減する、正社員ではなくパート採用で
必要な時間だけの人員配置とする、歯科衛生士を
増やし受け入れる患者さんの数を増やす…など、
人員配置の検討は経営を大きく左右します。
また、保険診療だけでなく、ホワイトニングや
歯列矯正など、審美性の高い歯科治療のニーズを
満たす自費診療導入も検討事項の1つでしょう。
経営規模での見直しは、プロのコンサルタントへの
相談もおすすめです。