ブラッシングにより歯垢が
どの程度とりきれているかを測る
「歯垢染色剤」は、
予防歯科において非常に有効的です。
大人の患者さんにこそ、
積極的に使用するべきだと言われている理由や、
患者さんの気持ちに寄り添った治療への
取り入れ方などを解説します。
大人こそやるべき理由
予防歯科の理想は、
日々のブラッシングで清潔を保ちながら
定期検診で適切なケアを行い、
口腔内の健康をキープしていくことです。
大人は年齢と共に唾液の分泌量が減少し、
口腔内の清潔を保つことが難しくなります。
大切な歯の健康を守るためにも、
ホームケアの質を高めることは極めて重要です。
歯垢染色剤を使うと、
自身の歯磨きの癖や磨き残しやすいポイントが
理解できます。
染色結果を意識して歯磨きすることで、
毎日のホームケアの質は
何倍にも高まるでしょう。
患者さんの抱く歯垢染色剤に対するイメージ
歯垢染色剤に対して
マイナスイメージを抱いている患者さんは多い
と言われています。
患者さんがどのように考えているのかを理解し、
寄り添った対応をすることが求められます。
患者さんの抱く歯垢染色剤に対するイメージ
・歯茎や唇まで染まってしまいそうで困る
・口をゆすいだ時、
服に液がはねてしまいとれなくなった
・歯磨きをする暇がない状態で行った時に限って
染め出しを行われ、「磨き残しが多い」
と言われて嫌だった
・こども向けの指導だと思っていたので、
まさか自分がやることになるとはと驚いた
・身体に悪そうなので、できればやりたくない
事前予告なく歯垢染色剤を使うことは、
患者さんに嫌な思いをさせてしまうリスク
が高まります。
事前に使用の許可を取ってから
行うようにしましょう。
患者さんへの効果的な勧め方・丁寧な声のかけ方
予防歯科の一環として
歯垢染色剤を取り入れる場合、
まずは歯垢染色剤がどのようなもの
であるかを含め、
患者さんが不安に感じるポイントを
丁寧に説明することが大切です。
説明のポイント
染め出しを行う理由
・磨き残しや磨き方の癖が分かる
・ホームケアの質が上がる
歯垢染色剤は安全
・色素は、食品添加物が元になっている
・用法用量を守れば健康上問題は無い
歯ぐきや唇が染まる可能性
・半日~1日程色が気になる場合もある
・自然と落ちる
衣類が汚れる可能性
・色素は食品添加物なので、洗濯用漂白剤が有効
・エプロンはするが念のため恋色の衣類が好ましい
患者さんへの声のかけ方例
次回の治療で歯垢染色剤を使って
磨き残しをチェックしたいと思いますが、
いかがでしょうか?
・歯茎や唇に薬液がつくと、
半日~1日ほど色味が残る場合があります。
自然と落ちていきますし、
溶けだした唾液を飲み込んでしまっても
問題ありません。
・大きめのエプロンを付けていただきますが、
お口をゆすぐ時に液が跳ねることもあるため、
念のため色の濃いお洋服を
着てきていただけると安心かと思います。
・歯茎や唇に色がついてしまう可能性があります。
お仕事や大事なご予定があるようでしたら
1日はあけて予約してください。
・普段の磨き残しをチェックしたいので、
普段通り歯を磨いてきてください。
普段使用している歯磨きをお持ちいただいて
来院してから磨いてもらっても構いません。
医師は、歯垢染色剤が予防歯科に効果があることの
説明し次回使用の許可を取ります。
その上で、受付スタッフが次回予約を取る際に
詳細な注意事項を説明するのがおすすめです。
医院によっては、
「次回“歯垢チェック”をされる方へ」と
注意事項をまとめた紙を
渡しているケースもあります。
販売時は使い方のレクチャーも忘れずに
院内販売にて、
歯垢染色剤を取り扱う医院は増えてきています。
歯垢染色剤は、
1回の使用量が非常に少量で済むため、
1本買えば家族皆で使うことができる
非常にコスパの良いホームケア用品です。
ただし、
衣類に付くと落ちない・歯茎や唇に色が付くなどの
デメリットもあります。
販売する際には、
使い方や注意点をきちんと説明することが
求められるでしょう。
購入者へ渡すリーフレットを
独自に作成してもいいですし、
メーカーが発行する案内書をまとめて
受け取っておくと便利です。
いずれにしても、
販売するだけでは不親切です。
院内販売として取り扱う場合には、
購入してくれた患者さんへの気遣いも
忘れないようにしましょう。