
経営者でもある院長先生、
診療受付時間の前後何分間を勤務時間
と考えていますか?
働くことへの意識が変わりつつある昨今、
暗黙の了解での早めの出社や残業は、
スタッフの離職につながります。
バランスをとった勤務時間、受付時間の
設定について考えてみましょう。
現代の働き方に対する意識
ひと昔前は、
「新人スタッフが1番最初に出社する」
「始業時間20分前には着替えて掃除等を始める」
「多少の残業は当たり前」
という考え方が一般的でした。
しかし、近年では働き方や仕事に対する意識の
持ち方が大きく変化し、昔のようなやり方を
維持していたのでは従業員の離職につながる
恐れがあります。
最悪の場合、労働基準法違反として何かしらの
罰則や注意を受けるリスクもあるでしょう。
よくある例は、規定の就労時間が10:00~19:00
にも関わらず、病院を開けて実際に治療をスタート
させる時間も10:00~となっているケースです。
この場合、実際にはスタッフは9:45頃から開院に
向けて掃除や準備をしているなど、
既定の就労時間よりも早めに業務を始めることが
常態化しているNGパターンです。
規定時間の前後に働くことが“当たり前”
になっている職場環境は、令和の時代「ブラック」
だと捉えられても仕方ありません。
働きやすいと感じてもらえる職場を作ることは、
結果として従業員の定着につながり、
安定した医院運営のカギとなるでしょう。
診療時間と既定の労働時間を見直すためにも、
まずは1カ月全てのスタッフの出勤時間と退勤時間
の記録をとるところからスタートしてください。
受付時間と勤務時間のバランス
「病院の受付開始時刻」と「スタッフの
勤務開始時刻」をそれぞれ何時に設定するかは、
以下のポイントを踏まえて考えましょう。
考えのポイント
・現在、規定の就労時間からの業務で開院が
間に合っているか
・スタッフの平均出勤時間
(規定の就業時間の何分前か)
・既定の出勤時間から開院時間までに
どのような業務があるか
規定よりも早く来ることが常態化している場合は、
規定時間を早めるか開院時間を遅らせましょう。
従業員が規定よりも早く業務を開始していることを
前提とした労働時間の設定はNGです。
開院準備完了までにかかる時間から逆算して、
無理のない時間設定をしてください。
受付終了時間と勤務時間のバランス
「病院の最終受付時刻」と、「スタッフの勤務
終了時刻」をそれぞれ何時に設定するかは、
以下のポイントを踏まえて考えましょう。
考えのポイント
・既定の就労時間までの業務で退社できているのか
・残業となる場合には、どのような業務が
終わっていないため残業になっているのか
・全従業員が月間どのくらいの残業しているのか
・最終受付時間から退勤までにかかる平均時間
法廷の労働時間を厳守した「1日に8時間」を
基本とした勤務時間の設定が必要です。
始業時間から計算し、勤務終了時刻を設定します。
もちろん、急患や治療の進み具合などイレギュラー
が発生することはありますので、100%残業のない
勤務時間の設定は難しいでしょう。
しかし、イレギュラーが発生したため残業が
必要となるのと、数十分~1時間程度の残業が
常態化しているのとでは訳が違います。
スタッフが、既定の退勤時間に帰れるような
ゆとりをもった診療時間の設定が求められます。
まとめ
歯科衛生士や歯科助手・受付事務は
女性スタッフ率も高く、仕事と家事・仕事と
育児を両立させたいと考える人も多いです。
規定よりも早い到着を求められる・規定時間を
過ぎることが多い環境は「働きにくい」と
感じてしまうもの。
『無理のない就業時間』を設定することで、
気持ちよく働ける環境が生まれ従業員の
定着につながるでしょう。