毎日何気なく行っている歯石除去やPMTCですが、
あなたの施術は患者さんを満足させることが
できているでしょうか。

患者さんが満足し、
「これからも歯を守るために通い続けたい!」
と思われるにはどうすればよいのでしょうか。
考えてみましょう。

単なるルーティンワークだけになっていませんか?

歯科衛生士の仕事は、
患者さんの歯の健康を維持することです。
そのための歯石除去やPMTCは
なくてはならないものであることは、
予防意識を浸透させるためにも非常に重要です。

ある意味患者さんの歯の寿命を握っているのは
歯科医師よりも歯科衛生士といっても
いいかもしれません。
極端に言えば、歯科医師は歯を治すことが仕事、
そして歯科衛生士は歯の健康を守ることが仕事
なのです。

患者さんも、
定期健診の重要性をようやく理解しはじめ、
積極的にメンテナンスへ通う人が
増える傾向にあります。

しかしせっかく通い始めたメンテナンスも、
歯科衛生士の応対ひとつでその後のリコール率が
がらりと変わってしまう
ことがあるのです。

ただ単に歯石を取ること、
歯をクリーニングすることだけで
患者さんは満足するのでしょうか。

初心を忘れ、いつの間にか単なる
ルーティンワークになってしまっていませんか?

スタッフ間で行う相互実習のメリットとは

歯科衛生士は、普段は施術を提供する側です。
そのため、自分が行っている施術が
どんなものであるのかを把握することは
なかなか難しいのが現状です。

歯科衛生士ひとりひとり、
手の癖や力加減などが異なり、
強めにぐいぐい取る人、
ソフトタッチで取る人など千差万別です。

しかし施術以上に大切なことは、
患者さんとのコミュニケーション
です。

自分が気づかないうちに
患者さんに不快感を与えるような
言葉の選び方や行動を取ってしまっている

可能性も否定できません。

しかも流れ作業的に仕事をすすめると、
患者さんに伝えるべきこともきちんと伝わらない

こともあります。

これではリコールの定着率に悪影響
出てしまうでしょう。

そんな些細なこと?と思うかもしれませんが、
例えば患者さんの顔にタオルを置く動作
ひとつ取ってもずいぶん違うもの
です。

顔の上にバサっと乱雑にかけるのと、
丁寧に置くのとでは
患者さんの感じ方はどうでしょうか。

これを実際に体験するのが、
スタッフ間の相互実習です。

普段は施術を行う側である歯科衛生士が
患者役になることで、
これまであまり意識しなかった部分が
見えてくるのではないでしょうか。

「このタオルのかけ方はあまりよくないな」
「口角が引っ張られて少し痛い」
「もうちょっと頻繁にチェアを起こして
くれないと辛い」など、
患者さん側に立ってはじめて
見えることも多々ある
ことでしょう。

また相互実習の相手
必ずしも歯科衛生士ではないと
いけないわけではありません。
助手や受付など、
実際に施術を行えない相手に対して行うと、
より有効でしょう。

歯科衛生士相手の場合、
専門的な技術に対して気づきがありますが、
歯科衛生士以外の場合
説明や声かけ、タオルのかけ方など、
技術面以外で改善点を発見できる
効果が期待できるでしょう。

このように相互実習を行うことは、
自分では感じ取ることができない部分を発見し、
見つめなおす絶好の機会です。
これは技術面だけでなく、
接遇面に対してスキルを得ることができる
でもあるのです。

特に転院してきた患者さんや、
予防処置がまったく初めての患者さんは
リコールへ繋げるため、
より慎重な対応をしなければいけません。
そこで相互実習で学んだことを生かし、
患者さんを定着させるような接遇を行いましょう。

いちばん最初が最も重要

患者さんをリコールへ繋げるためには、
最初の歯石除去やPMTCが最も重要です。
ここから早速相互実習で得たことを
実践してください。

自己紹介からはじまり、
歯石除去やPMTCの必要性と重要性
そして何よりも定期的に継続して
予防処置を受けることが、
ご自身の歯を長持ちさせるために
最も大切であることをきちんと説明します。

処置が始まってからも
痛みはないか、気分は悪くないかなど
マメに声をかけ、患者さんが安心して
処置を受けることができるよう、
気遣ってあげましょう。

そしてその日の処置が終わったら、
必ず患者さんの口腔内の状況などを
パーソナルシートに記入
してください。
大半の歯科医院では患者さんごとに
記入をしていると思いますが、
中には施術が終わってハイ終わり、
というところもあります。

患者さんの口腔内の状況は
誰一人同じではありません。
今回の処置前はどのような様子だったか、
施術の内容、使ったペースト類やブラシ類などを
きちんと記入し、次へ繋げてください。

またプライベートなことが話題になった場合
患者さんとのコミュニケーション構築にも
非常に役立ちます。
趣味などの話題になったら、
是非積極的に会話をすることをお勧めします。

相互実習は、自分ではわからなかったことを
気づくことができる
有効手段です。
自分が受けて良かった点、
不快であった点などがあると、
次からの処置に役立てることができます。

そして常に患者さん目線で接するようにすると、
患者さんからの信頼と人望が集まり、
リコールへと繋げることができるでしょう。