口腔内を清潔にし歯の健康を守るのは
歯磨きであることは当たり前のように
知られています。

しかし、海外と比べて
残存歯数率が圧倒的に低い理由のひとつに、
「歯間ケア」が積極的に行われていないことが
考えられます。

口腔ケアの中でも重要な位置を占める歯間ケアはどのくらい認知されているのか

歯磨きをしない人はまずいません。
適切な歯磨きは、毎日の歯のケアの基本であり、
歯と口の中の健康を守るために
欠かすことができません。

しかし、
フロスや歯間ブラシなどを使った歯間ケアは、
いったいどのくらいの割合で
使われているのでしょうか。
またそもそも歯間ケアとはいったい何なのかを
知らない人も案外多いものなのです。

予防治療は、
患者さんにとってわかり辛い表現でもあります。

そのため患者さんには
「歯のそうじ」や「歯のクリーニング」
「歯石取り」などと言った言い方で
案内されることが多いでしょう。

特に歯石除去は
「歯のそうじ」の代名詞と認識されており、
歯石取りさえ行っていれば歯周病や虫歯にならない
と思い込んでいる患者さんが大半
です。

つまり、歯間ケアの重要性は認識されておらず、
「歯石取りの合間に少しだけ行われている」
程度の認識でしかないでしょう。

確かに歯石除去の時間と比べると、
フロスや歯間ブラシを使う時間はずっと短く、
患者さんにとってはそれほど重要性があるとは
思っていません。

それに加え、
歯科医師や歯科衛生士によって
歯間ケアの重要性がきちんと説明されていない

ことも原因のひとつと考えられます。

そもそも歯科医師は治療がメインであり、
メンテナンスは全て歯科衛生士にお任せ状態
なっているのではないでしょうか。
メンテナンスは歯科衛生士の仕事領域であるため、
細かいケアについてまで指導は行わないでしょう。

患者さんにとっていちばんは、
やはり歯科医師でしょう。

歯科医師自らが
歯間ケアの重要性を患者さんに説明する
ことで、
患者さんの歯間ケアの意識が芽生えるのでは
ないでしょうか。

また、歯科衛生士も、
ただ単に歯間ケアを行うだけでなく、
なぜ歯間ケアが大切なのかを
しっかりと説明すべき
でしょう。

一般的に、
フロスを使った歯間ケアを行わず
歯ブラシのみでケアを行った場合、
プラーク除去率は6割程度
と言われています。
この数字を患者さんは知っていますか?

メンテナンス処置の最後でも構いません。

口腔内の状態や、
この日行った施術内容の説明にプラスして、
歯間ケアの重要性を患者さんに話すように
してください。

「歯間ケアなんて面倒くさい」
と思われるでしょうが、
この歯間ケアを行うことにより、
プラーク除去率が60%から90%へと
格段に飛躍することを是非説明してください。

毎食後個別包装のフロスや歯間ブラシを渡し、
寝る前の歯磨きの際に歯間ケアを行うように
指導することで、
患者さんの口腔内に対する意識も
変わることでしょう。
積極的に歯のケアを行うきっかけに
なると思います。

受付スタッフも意識を共有すること

実際に指導を行うのは歯科衛生士の仕事です。

しかし患者さんが歯間ケアをきっかけに
口腔ケアに対する意識を持ち、
しっかりとリコールに繋げるためには
スタッフ全員が意識を共有しなければいけません。

例えば受付の場合、
患者さんと歯間ケアの話題になったとき、
なぜ歯間ケアが大切であるのかを
ある程度説明できる会話力を持っておく

ようにしましょう。
もし歯間ブラシのサイズがわからない場合は、
担当の歯科衛生士に聞いても構いません。

受付カウンターに
口腔ケアグッズを並べている場合、
フロスや歯間ブラシを目立つような
レイアウトして陳列する、
あるいは歯間ケアの重要性について書かれた
リーフレットを会計時に一緒に渡すなど、
患者さんの歯間ケアに対する意識を
少しでも高めるよう
にしてみてください。