最近の保護者は、
子どもの歯の健康に対して
意識が高い傾向があります。
フッ素塗布は、
う蝕の予防として認知度が高まっており、
子どもの定期健診の受診率は
比較的高いと思います。
では保護者の予防意識はどうでしょうか。
子どもに対する予防意識は高い
多くの自治体の幼稚園や小学校で
フッ素洗口が行われていることからわかるように、
子どもの歯の予防意識は高まっています。
これに比例するように、
フッ素塗布を主な目的とした
子どもの定期健診の受診率が高まっています。
中には乳歯が生えて間もないお子さんに対する
フッ素塗布を希望する保護者も意外と多く、
お母さんに抱っこされて泣きながら
歯ブラシを歯に当てる姿や、
大粒の涙を流して泣いているという
微笑ましい光景も目にする機会が
増えてきました。
情報ネットワークの普及で
フッ素の重要性理解している親も多く、
子どもの定期健診の予約を必ず取って帰る、
リコールはがきによる案内で予約を取るなど、
子どもの予防治療に対して熱心であることが
大きな特徴と言えます。
子には熱心、では保護者自身は?
自分の子どもに対して予防意識が高いことは
とても良いことですが、
肝心の保護者はどうでしょうか。
多くの保護者、特に母親は、育児に大変で
自分のことに構う時間はほとんどありません。
まずは子ども優先、
そしてつい自分のことは後回しに
なってしまいます。
少し風邪気味である、
腰が痛いなどの症状でも、
母親はなかなか病院へ足が向かないものです。
体のちょっとした不調のときでさえ、
病院は後回しになってしまいます。
これではなかなか歯のケアにまで
意識が向きません。
そろそろ行かなければ、
とやっとの思いで歯医者へ行ったときには
既に虫歯や歯肉炎、歯周炎などの症状が出ており、
中には歯がボロボロになっている母親も
決してめずらしくありません。
よくこんな状態になるまで放置していたな、
と思えるようなケースも多々あります。
これは、育児が忙しく
自分の歯のケアにまで構っていられない
ことが大きな原因と考えられます。
子どものフッ素塗布の時間を
確保するだけでも大変なのに、
子どもを連れて
歯医者に行くことができない
という状況が、保護者、
特に母親の予防意識の低さに
繋がってしまっているのでしょう。
子ども連れでも安心して来院できる環境づくりを
「預け先がない」
「母親と離れると泣いて収拾がつかない」
など、小さな子どもがいることが
歯医者に通えない理由であるならば、
子ども連れでも受診ができる
環境を整えることが改善策です。
キッズルームを設置する、保育士が常駐する、
といった体制が整えられればいいのですが、
新たにキッズルームを設置するのは
コストがかかってしまいます。
経済的に余裕があればいいのですが、厳しい場合、
手の空いたスタッフで対応するしかありませんが、
それほど難しく考える必要はありません。
多少なりともコストはかかりますが、
絵本や塗り絵、ちょっとしたおもちゃなどを
少しだけでも揃えておきます。
手の空いているスタッフと一緒に
遊んであげましょう。
月例の低い赤ちゃんの場合、
スタッフが抱っこしてもいいでしょう。
どうしても母親の近くでなければ
泣いてしまう子どもの場合は、
処置の間、思い切って
母親のひざの上で過ごさせます。
ずっと泣いているよりは、
お母さんの近くにいるほうが子どもは安心し、
母親も子どものそばについていながら
歯のケアができるため、
意外とおすすめの方法です。
このとき、処置中の衛生士だけでなく、
周りのスタッフが常に状況を気にかけておく
ことが大切です。
子どもと一緒にアポイントを取ってもらうことがベスト
予約を取ってもらう際のポイントは、
子どもの定期健診の予約の際、
お母さんも一緒にどうですか?
と提案することです。
リコールのサイクルは
だいたい同じであることが多いことから、
親子で一緒に受診できる日時を
提案してあげましょう。
もし一緒の来院が難しい場合、
「お子さんは私達スタッフが見ますよ」
という声かけをしてあげると、
保護者も気が楽になります。
また親子で歯磨きのグッズを揃えるなど、
親子で予防歯科の意識を高めてあげるよう、
こちらから積極的に提案、
声かけをしてあげましょう。
大切なことは
子どもの虫歯予防だけではありません。
親子で予防治療の受診を通じて、
保護者自身の予防意識を高めてもらう
環境づくりを提案してあげると
よいのではないでしょうか