「怖い」「痛い」
これは、一般生活者が感じている
歯科医院のイメージです。
歯科医院は、怖くて痛い思いをするところだ、
と思っている人は多くいます。
今回は、このような気持ちで来院された
患者さんの気持ちをときほぐすのは
一体どんな応対なのか、
考えていきます。
歯科来院時の患者さんの状態
まず、患者さんは歯科医院を訪れる時には、
(ボロボロのお口の中を見せたくない。)
(持っているお金で足りるかな。)
(今日はどんなことをするのだろう、
痛いのは嫌だな。)
という、ひとことで言うと不安な気持ちでいる、
ということを肝に銘じておきましょう。
歯科医院に行きたくて来ている人は
ほとんどいないのです。
こんな気持ちから生まれるのは身構えや緊張です。
気持ちに身体が付いてきて心拍数が上がってしまう
こともあるでしょう。
程度の差はあれ、
初診に近ければ近いほど、
また悩みの深さに比例して、
患者さんの不安度は高くなります。
患者さんの気持ちをときほぐす2つのポイント
もし、治療に入る前の応対により
患者さんの気持ちをときほぐすことができれば、
結果的により効果の高い治療・処置に
つながります。
また、患者さんの気持ちがほぐれるとともに
信頼関係も生まれてきます。
患者さんの気持ちをときほぐすには
2つのポイントがあります。
- 患者さんの居心地に気を配る
- 治療や処置の大まかな内容を伝える
順にひとつずつ見ていきましょう。
1.患者さんの居心地に気を配る
居心地は非常に重要な要素です。
患者さんが思う「治療や処置の技術の高さ」は、
居心地にも大いに左右されると言っても
過言ではありません。
レストランでも、
どんなに料理がおいしかったとしても、
例えば空調が効きすぎていたり、
お皿をガチャガチャ鳴らしながら
サービングされたりすれば
「料理はおいしかったんだけどね…」
と歯切れの悪い感想になってしまうのと
同じですね。
具体的に配慮すべきは
- 室温
- 清潔/不潔
- におい
です。
よくクレームで聞くのが、
スピットンの汚れと
顔にかけるタオルのにおいです。
どちらも
実際に体験してみなければ
わからないものですし、
患者さんの方からは
とても言い出しづらいものです。
一度実際にタオルを顔に当ててみたり、
チェアに座ってみて
患者さん視点を確認してみることを
お勧めします。
2.治療や処置の大まかな内容を伝える
「今日は噛み合わせの調整をしますね」など、
大体こんなことをするんだろうな、と
予想がつく状態になれれば
不安がやわらぐようです。
実際の調査によると、麻酔などの
痛いことがわかっている処置を予告しておくと、
実際に痛みを体感することに変わりが無いものの、
感じる痛みの程度が小さくなったように感じられる
患者さんが存在するそうです。
「今日は麻酔をしますから途中チクッとしますよ」
この程度の声掛けで十分だと思います。
また、レントゲンを撮ることが
決まっているのであれば、
「今日はレントゲンを撮るので、
いつもより●円ほど多くかかりますが、
よろしいですか?」
と予告しておくなど、
点数が多い処置などは、
料金と共に概算を伝えておくといいと思います。
大事なのは、麻酔でもレントゲンでも、
歯科医院側からすれば自然の成り行きであっても、
患者さんからすれば予想外であるということを
知っておくことです。
予想していなかった驚きが、
患者さんの不安と痛みを増幅させてしまったり、
「今日は何でこんなに高いの?」という
不信感を生んだりします。
気持ちのこもった配慮はきちんと伝わるもの
痛くてどうしようもなくて
来院した患者さんでも、
痛みに苦しみつつ、
こういった配慮はありがたいと
思っているものです。
顔はしかめっつらであっても、
これはしてあげたほうがいいだろう、
言っておいてあげたほうがいいだろう、
と思うことは
迷わずして差し上げれば
いいのではないかと思います。
患者さんの不安は2種類あり、
1つは避けようが無い身体的苦痛から
生まれる不安です。
しかし、もうひとつの不安は、
実は「気の持ちよう」で
増えたり減ったりします。
この増減可能な不安を減らす配慮こそが、
信頼関係の構築につながります。
ミーティング等で何ができるか
話し合うのもお勧めです。
スタッフ全員の配慮に統一感が生まれれば、
それは医院としての信頼感につながるからです。
できそうなところから、
ぜひやってみてくださいね。
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